Eclipse 2022-09 の リファクタリング(Refactor)メニュー について、新人エンジニア向けに詳しく解説します。このメニューは、コードの整理や変更を安全かつ効率的に行うための強力な機能を提供します。リファクタリングとは、コードの振る舞いを変えずに構造を改善する作業 のことです。

リファクタリング(Refactor)メニューの項目一覧と解説

メニュー項目ショートカット機能概要
名前変更(N)...なしクラス名、メソッド名、変数名などをリネームします。
移動(M)...Alt + Shift + Vファイルやクラス、メソッド、フィールドを移動します。
メソッド・シグネチャーの変更(C)...Alt + Shift + Cメソッドの名前、引数、戻り値の型を変更します。
メソッドの抽出(M)...Alt + Shift + M選択したコードを新しいメソッドとして抽出します。
ローカル変数の抽出(L)...Alt + Shift + L選択した式をローカル変数として抽出します。
定数の抽出(A)...なし選択した値を定数として抽出します。
インライン化(I)...Alt + Shift + Iメソッドや変数の内容を直接呼び出し箇所に展開します。
ローカル変数をフィールドに変換(B)...なしローカル変数をフィールドとしてクラスに変換します。
匿名クラスをネスト・クラスに変換(O)...なし匿名クラスをネストクラス(内部クラス)に変換します。
型を新規ファイルに移動(V)...なし既存の型(クラスやインターフェース)を新規ファイルに移動します。
インターフェースの抽出(E)...なしクラスからインターフェースを抽出します。
スーパークラスの抽出(T)...なしクラスから共通部分をスーパークラスに抽出します。
使用可能な場合にスーパタイプを使用(H)...なしクラスの代わりにスーパークラスやインターフェースを利用します。
ブル・アップ(U)...なしサブクラスのフィールドやメソッドをスーパークラスに移動します。
プッシュ・ダウン(D)...なしスーパークラスのメンバーをサブクラスに移動します。
JAR ファイルのマイグレーション(J)...なしJARファイルのアップデートや移行を行います。
スクリプトの作成(R)...なしリファクタリング操作のスクリプトを作成します。
スクリプトの適用(Y)...なし作成したリファクタリングスクリプトを適用します。
ヒストリー(H)...なし過去のリファクタリング操作の履歴を表示します。

各項目の詳細解説

名前変更(N)

  • 機能: クラス名、メソッド名、フィールド名、ローカル変数名などをリネームします。
  • 用途: コード内で使われている名前を一括で安全に変更できます。

メソッドの抽出(Alt + Shift + M)

  • 機能: 選択したコードを新しいメソッドとして抽出します。
  • 用途: 重複コードを減らし、コードを整理する際に役立ちます。
  • :
// 抽出前
System.out.println("Hello");
System.out.println("World");

// 抽出後
printHelloWorld();

private void printHelloWorld() {
    System.out.println("Hello");
    System.out.println("World");
}

ローカル変数の抽出(Alt + Shift + L)

  • 機能: 式や値をローカル変数に抽出します。
  • 用途: 可読性を向上させるためにコードを整理します。

インライン化(Alt + Shift + I)

  • 機能: メソッドや変数の内容を直接呼び出し部分に展開します。
  • 用途: 使い捨ての変数やメソッドを削減します。

インポートの編成(Ctrl + Shift + O)

  • 機能: 使用されていないインポートを削除し、必要なインポートを追加します。
  • 用途: クリーンなコードを保ち、不要な依存関係を排除します。

ブル・アップ / プッシュ・ダウン

  • ブル・アップ(Pull Up): サブクラスの共通要素(メソッドやフィールド)をスーパークラスに移動します。
  • プッシュ・ダウン(Push Down): スーパークラスの要素をサブクラスに移動します。
  • 用途: クラス階層を整理して、継承の関係を最適化します。

JAR ファイルのマイグレーション

  • 機能: JARファイルの内容や依存関係の移行を行います。
  • 用途: ライブラリの更新やプロジェクト移行の際に役立ちます。

まとめ

Eclipseの「リファクタリング(Refactor)メニュー」は、コードの整理や改善を安全に行うための強力なツールです。以下の操作は特に頻繁に使用します:

  • 名前変更(N): 名前を安全に変更する。
  • メソッドの抽出(Alt + Shift + M): コードを新しいメソッドとして分割する。
  • ローカル変数の抽出(Alt + Shift + L): 式を変数に格納し、可読性を向上させる。
  • インポートの編成(Ctrl + Shift + O): 不要なインポートを削除し、整理する。

リファクタリングを適切に行うことで、コードが理解しやすくなり、保守性が大幅に向上します。開発の途中でこまめに使いながら、リファクタリングの習慣を身につけていきましょう!