ハフマン符号化のJavaでの実装

突然ですが、皆さんはモールス信号をご存知でしょうか?

有名なものは「SOS」ですね。S「・・・」とO「---」を組み合わせて「・・・---・・・」(トントントンツーツーツートントントン)と打ちます。

以下のリンクを辿ってアルファベットのモールス信号の一覧を見てください。(https://www.jrc.co.jp/casestudy/column/04

例えば、eは短く、zは長いですが、これは英文の文字の出現頻度と相関しています。つまり、出現頻度の高い文字は短く、出現頻度の低い文字は長くなっています。これと同じ考え方をするのがハフマン符号化です。

ハフマン符号化は、可逆圧縮アルゴリズムの一種です。

ハフマン符号化は、ランレングス符号化とは異なり、頻繁に出現する文字やシンボルに短いビットパターンを割り当て、まれに出現する文字やシンボルに長いビットパターンを割り当てることにより、圧縮率を向上させます。なお、符号化とはデータを0,1のビットで表現することをいいます。

ハフマン符号化では、まずデータの出現頻度を調べ、その情報を使用してハフマン木を構築します。ハフマン木は、出現頻度が高いデータほど木の根に近く配置され、出現頻度が低いデータほど木の葉に近く配置されます。次に、ハフマン木の左側に0を、右側に1を割り当てて、各データに対応する符号を生成します。この符号は、木の根から各葉に至るまでの0と1の組み合わせで表されます。

ハフマン符号化は、圧縮アルゴリズムの中でも効率的なものの一つです。ハフマン符号化は、音声、画像、ビデオ、テキストなど、様々な種類のデータの圧縮に利用されています。

ハフマン符号化は以下の分野で活用されています。

  1. データ圧縮: ハフマン符号化は、元のデータを効率的に圧縮するために使用されます。特に、テキストや画像、音声、ビデオなど、大量のデータを扱う場合によく使われます。zipやLHZ圧縮でも使われているアルゴリズムです。
  2. 通信システム: ハフマン符号化は、通信システムにおいて、データ転送の効率化や誤り検出・訂正などに利用されます。例えば、音声圧縮の規格であるMP3やAAC、画像圧縮の規格であるJPEGやPNG、さらには通信規格のLTEや5Gなど、様々な通信技術においてハフマン符号化が使用されています。

講師が実際にハフマン木を書いて説明します。

ハフマン符号化の例

基本情報技術者試験の過去問を解いてみましょう。

練習問題1

基本情報技術者試験 平成30年秋期 午前問4

<サンプルプログラム>

import java.util.HashMap;
import java.util.Map;
import java.util.PriorityQueue;

public class HuffmanEncoding {

	private static Map<Character, String> huffmanCodes = new HashMap<>();

	// ハフマンツリーのノードを表す内部クラス
	private static class HuffmanNode implements Comparable<HuffmanNode> {
		char ch; // 文字
		int freq; // 出現頻度
		HuffmanNode left; // 左の子ノード
		HuffmanNode right; // 右の子ノード

		HuffmanNode(char ch, int freq, HuffmanNode left, HuffmanNode right) {
			this.ch = ch;
			this.freq = freq;
			this.left = left;
			this.right = right;
		}

		// 葉ノードかどうかを判定するメソッド
		public boolean isLeaf() {
			return left == null && right == null;
		}

		// 出現頻度を比較するメソッド
		public int compareTo(HuffmanNode node) {
			return this.freq - node.freq;
		}
	}

	// ハフマンツリーを構築する関数
	private static void buildHuffmanTree(String text) {
		// 文字の出現頻度をカウントするためのマップを作成
		Map<Character, Integer> freqMap = new HashMap<>();
		for (char ch : text.toCharArray()) {
			freqMap.put(ch, freqMap.getOrDefault(ch, 0) + 1);
		}

		// 出現頻度に基づいて優先度付きキュー(PriorityQueue)を作成
		PriorityQueue<HuffmanNode> priorityQueue = new PriorityQueue<>();
		for (Map.Entry<Character, Integer> entry : freqMap.entrySet()) {
			priorityQueue.offer(new HuffmanNode(entry.getKey(), entry.getValue(), null, null));
		}

		// ハフマンツリーを構築する
		while (priorityQueue.size() > 1) {
			HuffmanNode left = priorityQueue.poll();
			HuffmanNode right = priorityQueue.poll();
			HuffmanNode parent = new HuffmanNode('\0', left.freq + right.freq, left, right);
			priorityQueue.offer(parent);
		}

		// ルートノードを取得し、符号を構築する
		HuffmanNode root = priorityQueue.peek();
		buildHuffmanCode(root, "");
	}

	// ハフマン符号を構築する再帰関数
	private static void buildHuffmanCode(HuffmanNode node, String code) {
		if (node.isLeaf()) {
			huffmanCodes.put(node.ch, code); // 葉ノードの場合、符号をマップに追加
			return;
		}
		buildHuffmanCode(node.left, code + "0"); // 左の子ノードに0を追加して再帰呼び出し
		buildHuffmanCode(node.right, code + "1"); // 右の子ノードに1を追加して再帰呼び出し
	}

	// テキストをハフマン符号化する関数
	public static String huffmanEncode(String text) {
		buildHuffmanTree(text); // ハフマンツリーを構築し、文字に対する符号を生成します。
		StringBuilder encodedText = new StringBuilder();
		for (char ch : text.toCharArray()) {
			encodedText.append(huffmanCodes.get(ch) + " "); // 各文字の符号を取得して符号化テキストに追加
		}
		return encodedText.toString(); // 符号化されたテキストを文字列として返す
	}

	// メインの処理
	public static void main(String[] args) {
        String text = "baggage";
        String encodedText = huffmanEncode(text);
        System.out.println("Original text: " + text);
        System.out.println("Encoded text: " + encodedText);
    }
}

<出力結果>

Original text: baggage
Encoded text: 110 10 0 0 10 0 111

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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