はじめに:デベロッパーツールとは何か?

こんにちは。ゆうせいです。

この記事を読んでくださっているあなたは、こんな疑問を持っていませんか?

「Google Chromeのデベロッパーツールってよく聞くけど、何に使うの?」
「Webサイトを見るだけの私にも関係あるの?」

結論からお伝えすると、Google Chromeのデベロッパーツール(通称DevTools)は、Webサイトの構造を“のぞき見る”ことができる特別な道具です。主にWebエンジニアやデザイナーが使っていますが、ちょっとした調査やトラブルシューティングをする一般ユーザーにも、とても役立ちます。


デベロッパーツールとは?

Google Chromeに標準で搭載されているWeb開発用の機能群です。
このツールを使えば、たとえば次のようなことができます:

  • WebページのHTML(文章の構造)やCSS(見た目のルール)をリアルタイムで確認・編集する
  • 表示速度や通信の流れを解析してパフォーマンスの問題を発見する
  • スマートフォンでの表示崩れをパソコン上でシミュレーションする
  • Webアプリの内部処理をJavaScriptでデバッグする

いわば、Webサイトの裏側にある設計図や動作の仕組みを覗き見るレントゲン装置のようなものです。


なぜ学ぶ価値があるのか?

「HTMLとかCSSとか、プログラミングができる人向けのツールでしょ?」と思うかもしれません。
たしかに、開発者にとっては必須の道具ですが、次のような人にもおすすめです。

職種・立場DevToolsの使い道
Webデザイナー表示崩れの修正、モバイル表示の確認
マーケターページの読み込み速度・SEOのチェック
初心者エンジニアJavaScriptやDOMの動きの理解
学生・学習者サンプルページの分析、学習の効率化
一般ユーザーページの不具合調査、不要広告の特定など

たとえば、Webサイトの一部だけが崩れて見えるというとき、そのHTMLやCSSを確認することで原因を絞り込めます。
「なんか読み込みが遅い…」と感じたら、Networkパネルでどのリソースがボトルネックになっているのかをチェックできます。


例えるなら「サイトの中身をさぐれる虫眼鏡」

学校の理科室で使った顕微鏡を思い出してみてください。
肉眼では見えない微生物や細胞が、はっきり見えるようになりますよね。

デベロッパーツールも同じように、ふだんは見えない「Webページの中身」を見せてくれるのです。


次は、実際に使ってみよう!

さて、デベロッパーツールの正体が見えてきたところで、次はどうやって開くのかを学んでいきましょう。

デベロッパーツールの開き方

こんにちは。ゆうせいです。
前回は、デベロッパーツール(DevTools)の正体や、誰にとっても役に立つ理由をお話ししました。
今回はその続きとして、「実際にどうやってこのツールを開くのか?」を、3つの方法に分けてご紹介します。


方法1:右クリックメニューから開く(もっとも簡単!)

まず一番手軽な方法です。
気になるWebページのどこかを右クリックして、「検証(Inspect)」を選ぶだけです。

手順:

  1. 任意のWebページを開く
  2. 右クリック → 「検証」または「Inspect(英語版Chrome)」
  3. 画面の右か下にDevToolsが表示される

これは、特定の要素(文字・画像など)を調べたいときにとても便利です。
たとえば、あるボタンの色やサイズが知りたいときに、そのボタンを右クリックすれば一発で見つけられます!


方法2:ショートカットキーで一瞬起動

作業効率を上げたい方には、ショートカットキーが断然おすすめです。

OSショートカットキー
Windows / LinuxCtrl + Shift + I
MacCommand + Option + I

一度覚えてしまえば、いつでもワンタッチで開閉できるようになります。
慣れてくると、「右クリックしてる時間がもったいない…」とさえ思うようになりますよ。


方法3:Chromeメニューから開く(初心者向け)

「ショートカットはまだちょっと…」という方はこちら。

手順:

  1. Chromeの右上「︙(縦三点メニュー)」をクリック
  2. 「その他のツール」→「デベロッパーツール」

ここからなら、迷わずに確実に開くことができます


画面の表示位置を変えるには?

デベロッパーツールは、初期状態では画面の右側に表示されることが多いですが、下部や別ウィンドウにも変更可能です。

方法:

  1. DevToolsの右上にある「︙」メニューをクリック
  2. 「ドッキング位置(Dock side)」から好きな位置を選ぶ

画面を広く見たいときは「下部(bottom)」、モニターが複数あるときは「別ウィンドウ(undock)」が便利です。


モバイル表示を確認する「デバイスモード」も覚えておこう!

スマートフォンでの表示が気になる場合は、「デバイスモード」がとても役立ちます。

起動方法:

  1. DevToolsを開く
  2. 左上の「デバイスアイコン(スマホとタブレットの絵)」をクリック
     ※または Ctrl + Shift + M(Windows) / Command + Shift + M(Mac)

すると、画面がスマホサイズに切り替わります。
iPhoneやPixelなど、具体的な端末を選んで表示確認も可能です。


まとめ:自分に合った開き方を見つけよう

方法特徴おすすめ対象
右クリック要素を調べやすい初心者・ポイント調査
ショートカット高速・便利中級者以上
メニュー操作分かりやすいはじめての方

最初は右クリックかメニューから始めて、慣れてきたらショートカットを活用するのが◎です!


次は画面構成を理解しよう!

いざツールを開いても、最初は「いろんな画面があってよくわからない…」と感じるかもしれません。
でも大丈夫。次の章では、各パネルが何をしてくれるのかを丁寧に解説していきます!


画面構成の基本:デベロッパーツールの“顔”を覚えよう

前の章ではデベロッパーツール(DevTools)の開き方をご紹介しましたね。
開いてみると、たくさんのタブやボタンが並んでいて「どこを見ればいいの?」と迷ってしまいませんでしたか?

この章では、DevToolsの全体像と、よく使うパネル(機能のかたまり)について解説します。
まずは地図を手に入れて、安心して“探検”できるようにしましょう!


DevToolsの全体構成を俯瞰しよう

デベロッパーツールの基本構造は、3つのゾーンに分かれています:

  1. タブエリア(上部):各種パネルに切り替えるための「タブ」が並びます
  2. メインビュー(中央):選択中のパネルの内容がここに表示されます
  3. ツールバー(右上など):検索、設定、ドッキング位置の変更などの操作ができます

下図のようなイメージです:

┌──────────────────────────────┐
│ タブエリア(要素 / コンソール / ...)     │
├──────────────────────────────┤
│ メインビュー(パネルの中身が表示される)  │
│                                    │
├──────────────────────────────┤
│ 下部ツールバー(フィルター・設定など)    │
└──────────────────────────────┘

代表的なパネルとその役割

DevToolsには10種類以上のパネルがありますが、最初に覚えておくべきは次の6つです。

パネル名役割(ざっくり言うと)よく使う操作例
要素HTMLとCSSの構造を見る・編集するデザインの調整・クラス確認
コンソールエラー・ログ・JavaScript実行エラーの原因探し・テスト
ネットワーク通信状況や読み込みリソースの確認APIのレスポンス確認・読み込み速度分析
ソースJavaScriptファイルの表示・デバッグブレークポイント・ステップ実行
アプリケーションCookie、ローカルストレージの管理セッション情報の確認・削除
Performanceパフォーマンス測定表示速度のボトルネック発見

よく使うパネルを“星マーク”で固定しよう!

初期状態では「Elements」や「Console」などが表示されますが、実はパネルはカスタマイズ可能です。
自分がよく使うものに星(★)マークをつけておけば、次からすぐに開けます。

手順:

  1. タブエリアの一番右にある「»」マークをクリック(隠れているパネル一覧が出ます)
  2. 各パネルの横にある「★」をクリックで固定!

パネルの表示位置も変更できる!

DevTools自体の位置だけでなく、パネル内の構成も上下左右にドラッグして自由にカスタマイズできます。
たとえば「Consoleだけ常に下に表示したい」なども可能です。


パネル間はショートカットでサクサク移動!

操作ショートカットキー(Windows / Mac共通)
前のパネルに戻るCtrl + [ または Command + [
次のパネルに進むCtrl + ] または Command + ]

慣れてくると、マウスを使わずにほぼ操作できるようになります


まとめ:まずは「Elements」「Console」「Network」を重点的に

初心者におすすめの基本セットはこの3つ:

  • Elements:ページの見た目を操作したいとき
  • Console:エラーや動作のログを確認したいとき
  • Network:ページが重い原因やAPI通信を見たいとき

まずはこの3つを中心に、少しずつ“開発者の目線”を身につけていきましょう!


次は「Elementsパネル」でHTMLとCSSの中身を操作してみよう!

次章では、実際に「このボタンの色を変えてみる」「レイアウトのズレを直す」といった目に見える変化を確認する方法を紹介していきます!


Elementsパネルの使い方:HTMLとCSSを“その場で”操作してみよう!

前章で、デベロッパーツールの全体構成と、よく使うパネルの役割をご紹介しましたね。
今回はその中でも特に使用頻度が高い「Elementsパネル」について、じっくり解説していきます。


Elementsパネルとは?

WebページのHTMLとCSSをリアルタイムで確認・編集できるパネルです。
Webページは、「HTML(文章の構造)」と「CSS(見た目のスタイル)」でできています。
Elementsパネルを使えば、こうした“設計図”を直接のぞいて、書き換えて、その場で変化を見ることができるんです!

例えるなら「家の壁紙や家具を、試しに配置しなおしてみる模擬住宅展示場」のようなものです。

しかも、表示だけでなく編集も可能。ただし編集内容は一時的な変更で、リロードすると元に戻ります。実験にはもってこいですね。


HTMLを確認・編集してみよう

基本の操作方法:

  1. DevToolsを開く(右クリック→検証)
  2. Elementsパネルが選ばれているか確認(されていない場合はクリック)
  3. 表示されているHTML構造の中で、確認したい要素にカーソルを合わせると、ブラウザの画面上でもハイライトされます
  4. 対象の要素を右クリック→「Edit as HTML」で編集開始!

編集例:

たとえば、次のようなボタンのテキストを変えてみたいとき:

<button>送信</button>

「送信」という文字を「送信する」に変更すると、ブラウザ上の表示も即座に変わります。


CSSを確認・編集してみよう

HTMLの要素を選択すると、右側(または下部)にその要素のCSSスタイルが表示されます。

よく見る項目:

項目意味
color文字の色color: red;(赤色)
background-color背景色background-color: #f0f0f0;
padding / margin余白の設定padding: 10px;
display表示方法display: flex;

編集方法:

  1. スタイル欄で変更したいプロパティをダブルクリック
  2. 値を変更(例:redblue
  3. Enterキーで確定すると、ブラウザ表示が即座に反映!

疑似クラス(:hover など)を確認する

「マウスを乗せたときに色が変わる」などの疑似クラス:hover:focus など)も試せます!

方法:

  1. 編集したい要素を選択
  2. スタイルパネル上部の「:hov(英語UI)」をクリック
  3. :hover にチェックを入れると、その状態が強制的に適用されます

これで、マウスを実際に乗せなくても hover の状態を確認できます!


レイアウトを視覚的に確認する

Elementsパネルの「レイアウト」タブ(あるいは「Box Model」)を使えば、要素のサイズや余白が図解表示されます。


カラー付きのボックス表示で、なぜ隣の要素とくっついてしまうのか?という疑問もすぐに解決できます!


よくある活用例

シーンDevToolsでの操作例
テキストが崩れている該当HTML要素を探して編集してみる
ボタンの色を変えたいCSSのbackground-colorを変更
余白が変になるpaddingmarginを視覚確認
ホバー時の動きを確認:hover状態を強制表示

まとめ:Elementsパネルは“触って覚える”のが早い!

初めての方は「壊しちゃいそう…」と不安になるかもしれませんが、DevToolsでの編集はページを再読み込みすれば元通りです。安心していろいろ試してみましょう!


次は「Consoleパネル」でエラーや動きを調べよう!

見た目の操作ができるようになったら、次はページ内の動作やエラーに目を向けてみましょう。
次章では、Consoleパネルを使って「何が問題なのか?」を探る方法を解説していきます!


Consoleパネルの基本操作:エラー確認とJavaScriptの実験室

ElementsパネルでWebページの見た目を操作できるようになったところで、次は「裏で何が起きているか」を見てみましょう。
その答えを教えてくれるのがConsoleパネルです!

例えるなら、Webサイトの“つぶやき”や“悲鳴”を聞く場所です。


Consoleパネルとは?

Console(コンソール)パネルは、以下のような役割をもつ非常にパワフルなツールです。

  • JavaScriptのエラーや警告メッセージをリアルタイムに表示する
  • console.log() などで開発者が仕込んだ出力を確認できる
  • JavaScriptコードをその場で実行・検証できる

つまり、「画面には現れないトラブルのヒント」を教えてくれる探偵のような存在なのです。


基本の画面構成

Consoleパネルは以下のような構成になっています:

┌─────────────────────────────┐
│ エラーメッセージやログ一覧(出力結果)         │
├─────────────────────────────┤
│ コマンド入力欄(ここにJavaScriptを書ける)     │
└─────────────────────────────┘

上に表示されるのがメッセージのログで、下の入力欄では実験的にコードを実行できます。


エラーメッセージの見方

Webページに不具合があると、Consoleパネルに赤い文字でエラーが表示されます。

例:

Uncaught ReferenceError: aaa is not defined

これは「aaaという変数が定義されていないのに使おうとした」という意味です。

Uncaught = キャッチされなかった
ReferenceError = 参照エラー(変数などが見つからない)

メッセージをクリックすれば、エラーが起きたファイル名と行番号にジャンプできます!


自分でログを出してみよう(console.log()

JavaScriptの中でconsole.log()を使えば、任意の値や変数の状態を出力できます。

例:

console.log("こんにちは!");

と書いてEnterを押すと、次のように表示されます:

こんにちは!

複雑なオブジェクトや配列の中身も、console.log()を使えば中身を展開して確認できます。


変数や関数をその場で実行する

ConsoleはリアルタイムのJavaScript実験室でもあります。

例:

let x = 5;
x * 3

と打てば、すぐに 15 が返ってきます。

関数も定義して実行可能です:

function greet(name) {
  return "こんにちは、" + name + "さん!";
}
greet("ゆうせい")

→ 「こんにちは、ゆうせいさん!」と表示されます。


補完機能も充実!

文字を打ち始めると、候補が自動で補完表示されるため、初学者にも優しいです。
たとえば document. と打つと、使えるメソッド一覧が表示されます。


よく使うログ関数一覧

関数説明用途例
console.log()一般的な出力デバッグ用の情報表示
console.warn()警告(黄色)注意メッセージを出す
console.error()エラー(赤)問題のある処理を目立たせる
console.table()表形式で表示配列・オブジェクトを見やすく

例(テーブル表示):

console.table([
  { 名前: "ゆうせい", 年齢: 30 },
  { 名前: "さくら", 年齢: 25 }
])

これは以下のような表で表示されます:

(index)名前年齢
0ゆうせい30
1さくら25

まとめ:ConsoleはWebの“心の声”を聞く道具!

  • ページに不具合があったら、まずはConsoleを開いてみよう
  • 開発者が仕込んだログも、トラブルのヒントになる
  • 自分でコードを打って、JavaScriptの動きを試せる!

次は「Networkパネル」で通信の流れを見てみよう!

Webページは、裏でいろんなデータをやり取りしています。
「APIって何?」「通信が遅い原因は?」という疑問に答えてくれるのがNetworkパネルです。


Networkパネルで通信をチェックする:Webページの裏側で何がやり取りされている?

これまでに「見た目」や「動作のログ」に注目してきましたね。
今回はもう一歩踏み込んで、Webページが裏でどんなデータをやり取りしているのかを確認してみましょう!

例えるなら、Webページが“何を買いに行っているか”を後ろからそっとのぞく感じです。


Networkパネルとは?

ページを開いたときに読み込まれるすべてのリソース(画像、CSS、JS、API通信など)を一覧で表示するパネルです。
読み込み速度やエラーの原因、APIのリクエスト・レスポンスなどを調べるときに活躍します。


基本の使い方:通信の様子をキャプチャしよう!

手順:

  1. Chromeで任意のページを開く
  2. DevToolsの「Network」タブを選択
  3. ページを再読み込み(F5キー or 右クリック→再読み込み)

これで、ページの読み込み中にどのファイルがいつ・どれだけ通信されたかが一覧に表示されます。


表の見方:各列の意味を理解しよう

列名意味
Nameリソースの名前(ファイル名やURL)main.css, logo.png, /api/userなど
StatusHTTPステータスコード200(成功), 404(見つからない), 500(サーバーエラー)など
Typeリソースの種類script, stylesheet, image, xhr(API)など
Size転送されたデータサイズ15 KBなど
Time読み込みにかかった時間30 msなど
Waterfall読み込みのタイミング棒グラフで視覚表示される

特に注目すべきリソースタイプ

タイプ内容チェックポイント
xhr / fetchAPI通信リクエスト内容・レスポンスのJSON
image画像ファイル表示されない画像がないか確認
stylesheetCSSファイル読み込みに失敗してないか?
documentHTML本体ステータスが200か?

API通信の中身を見てみよう

  1. Type列が「xhr」または「fetch」のリソースをクリック
  2. 右側の「Headers」タブでリクエスト内容を確認
  3. 「Response」タブで返ってきたデータ(JSONなど)を確認

たとえば:

{
  "user": {
    "id": 123,
    "name": "ゆうせい"
  }
}

のようなレスポンスが見えます。


ページが重い原因を探るには?

Networkパネルは、ページの読み込み時間を最適化するヒントも与えてくれます。

チェックポイント:

  • サイズが極端に大きいファイルはないか?(画像など)
  • 時間がかかっているリクエストはどれか?
  • 同時に読み込みすぎて詰まってないか?

Waterfall(滝)表示で、読み込みの“渋滞”が一目瞭然!


キャッシュを無効にして正確に調査する

開発中はキャッシュが効いてしまって、古い情報が表示されることがあります。

キャッシュを無効にする方法:

  1. Networkパネルを開いた状態にする
  2. パネル上部の「Disable cache(キャッシュ無効化)」にチェック
     ※この設定はDevToolsを開いている間のみ有効

通信が失敗しているときの見分け方

ステータスコードをチェック!

ステータスコード意味対処のヒント
200通信成功正常な状態
404見つからないURLミス・ファイル削除
500サーバーエラーサーバー側の処理問題
403アクセス拒否認証・権限エラー

まとめ:Networkパネルは“裏方の交通整理”を見る道具

  • ページ読み込み中の全リソースを確認できる
  • API通信のリクエスト・レスポンスも丸見え!
  • 読み込み速度の改善にも役立つ

次は「Sourcesパネル」でJavaScriptの中をのぞいてみよう!

次章では、Webページ内で使われているJavaScriptファイルを確認し、止めながら動作をチェックする方法(デバッグ)をご紹介します。


SourcesパネルでJavaScriptをデバッグ:コードの動きを“止めて”観察する方法

前章では、NetworkパネルでWebページが裏でどんな通信をしているのかを確認しました。
今回は、JavaScriptのコードが実際にどう動いているのかをリアルタイムで見ていく方法をご紹介します。

例えるなら、「映画の一場面を一時停止して、登場人物のセリフや動きを細かく確認する」ような作業です。

そのために使うのが「Sources(ソース)パネル」です!


Sourcesパネルとは?

Sourcesパネルは、主に以下の3つの機能を持っています:

  • JavaScriptファイルの一覧・中身を見る
  • ブレークポイント(停止点)を設定して、コードの実行を止める
  • 変数の中身や関数の実行状況を観察する

このパネルを使いこなせば、「なぜボタンを押しても動かないの?」「変数が変な値になってる?」といった疑問を解決できます。


JavaScriptファイルを確認してみよう

手順:

  1. DevToolsの「Sources」タブをクリック
  2. 左側のファイルツリーに、.jsファイル(JavaScript)が表示される
  3. 調べたいファイルを選択すると、中央にコードが表示される

もしファイル名が難読化されていたら?

.min.jsや記号のような名前がついている場合は、右下の {} ボタン(Pretty print)を押すと整形された読みやすいコードになります!


ブレークポイントを設定する(コードの“一時停止”)

方法:

  1. コードの左端の行番号をクリックすると青いマークがつく(これがブレークポイント)
  2. 該当の関数が実行されたとき、その行でコードが停止する!

停止すると、画面は以下のように変化します:

  • 右側に「Scope(スコープ)」や「Call Stack(呼び出し履歴)」が表示される
  • 上部に「▶ 再開」「▶▶ ステップ実行」などのデバッグコントロールが出現する

ステップ実行でコードを追いかける

止まった状態から、1行ずつコードを進めて観察できます。

ボタン機能説明
Resume停止を解除し、通常実行を再開
▶▶Step Over次の行へ進む(関数の中には入らない)
▼▶Step Into関数の中へ入って実行を追いかける
⏏▶Step Out関数の外に戻る

Scopeで変数の中身を確認する

コードが止まった状態では、右側の「Scope(スコープ)」でその時点の変数の中身が一覧表示されます。

たとえば:

let total = 5 * 3;

で止まっていれば、Scope内に total: 15 と表示されます。
これで「変な値が入ってない?」という確認がすぐできます!


Watch機能で特定の変数を常に監視する

「この変数の値だけはずっと見ていたい!」というときは、Watch(監視)リストを使いましょう。

手順:

  1. 右側の「Watch」セクションで「+」をクリック
  2. 監視したい変数名を入力(例:user.name
  3. 実行中ずっとその変数の値が追跡されます

Call Stack(呼び出し履歴)で実行経路をチェック

「この関数ってどこから呼ばれたの?」と思ったときは、Call Stackを見れば一目瞭然!

  • 現在の関数の呼び出し順が上から下に一覧表示される
  • クリックすれば、その元の行にジャンプ可能!

まとめ:Sourcesパネルでコードを“分解”して学ぶ!

  • ブレークポイントを使えば、任意の場所でコードを止めて観察できる
  • ステップ実行やScopeで、変数の変化を目で見て追跡できる
  • WatchやCall Stackで、より深く原因を探ることができる

JavaScriptの「なぜ?」を探るには、Sourcesパネルが最強の相棒です。


次は「Responsive Design Mode」でスマホ表示をチェック!

パソコンで作ったページがスマートフォンでどう見えるか、気になりませんか?
次章では、デバイスごとの見え方を簡単に再現できる「レスポンシブデザインモード」の使い方をご紹介します!


Responsive Design Mode(モバイルビュー)の使い方:スマホ表示をパソコンでチェック!

こんにちは。ゆうせいです。

ここまでで、HTML・CSS・JavaScriptの確認や通信のチェックまで、かなり深く踏み込んできましたね。
でも、「スマホで見たら崩れていた!」という経験はありませんか?

Webサイトは、パソコンとスマートフォンでレイアウトや文字の大きさが違って見えることがあります。
そんなときに役立つのが、レスポンシブデザインモード(Responsive Design Mode)です!


そもそもレスポンシブデザインとは?

画面サイズに応じてレイアウトやスタイルを変化させるWebデザインの手法です。
たとえば:

  • 大画面では横並びのメニュー
  • スマホでは縦並びに自動で切り替え

このような仕組みを実装しているWebページが多くなっています。
でも実際に「スマホでどう表示されるか」を毎回スマホで開いて確認するのは面倒ですよね?


そこで登場:Responsive Design Mode!

Chrome DevToolsの中には、パソコン上でスマホやタブレットの表示を再現できる機能が備わっています。

例えるなら、「スマホ画面を再現する仮想スマホ」をパソコンの中に呼び出すようなものです。


モードの起動方法

  1. DevToolsを開く(右クリック→検証)
  2. 左上にある「スマホとタブレットのアイコン」をクリック
     → もしくは Ctrl + Shift + M(Windows) / Command + Shift + M(Mac)

すると、画面がグッと縮小され、スマホ表示モードに切り替わります!


機能紹介:できることいろいろ

デバイスの切り替え

上部のセレクトメニューから、さまざまな端末を選択できます:

  • iPhone SE / iPhone 14 / iPad
  • Pixel 7 / Galaxy Fold など

それぞれの画面サイズ、DPI、ユーザーエージェントが再現されるので、実機にかなり近い表示が確認できます。

表示サイズの変更

自分で数値を入力して、幅×高さ(px)を自由に設定することも可能です。
横画面の確認もワンクリックで切り替えられます(右上の回転ボタン)。

拡大縮小(ズーム)

上部バーの「Zoom」から、表示倍率を調整できます。
デザインの細部までチェックしたいときに便利!


モバイル環境の動作を検証する

タッチ操作のシミュレーション

このモードでは、マウスカーソルがタップのように動作します。
スマホ用のメニューやアニメーションの動作確認もできます!

ネットワーク速度の制限

「3G環境でどうなる?」というテストも可能!

  1. DevToolsの上部バーで「No throttling」→「Slow 3G」などを選択
  2. 実際の通信速度に近い状態で表示を検証できます

ページが遅くなる原因が、画像サイズなのかコードの処理なのか、見分けるヒントになります!


注意点:完璧ではないことを知っておこう

レスポンシブデザインモードは便利ですが、完全なスマホの再現ではありません

たとえば:

  • 実機特有のフォントやOS描画差異
  • カメラやセンサー、バッテリーなどのハードウェア要素
  • モバイルブラウザ独自のバグや制限

そのため、最終確認は実機で行うことをおすすめします。


まとめ:レスポンシブデザインモードで“仮想スマホチェック”!

  • 各種デバイスに切り替えて、スマホ表示を再現
  • タップやスクロール、回転などの動作確認もできる
  • 通信速度の制限も可能で、パフォーマンスチェックに最適

次は「Applicationパネル」でCookieやストレージをチェック!

ログイン状態やユーザー情報の保持には、Cookieやローカルストレージといった仕組みが使われています。
次章では、これらをDevToolsでのぞいて、削除・編集する方法を紹介します。


ApplicationパネルでCookieやローカルストレージを確認:Webサイトの“記憶”をのぞいてみよう

ここまで、デザイン・通信・コード・表示と幅広く見てきましたね。
今回は、Webサイトがユーザーの情報をどのように「記憶」しているかを調べるパネル、Application(アプリケーション)パネルをご紹介します。

例えるなら、Webサイトが持っている「メモ帳」や「引き出し」を開いて、中身を確認する作業です。


Applicationパネルとは?

Applicationパネルでは、次のような情報を確認・操作できます:

  • Cookie(クッキー)
  • Local Storage(ローカルストレージ)
  • Session Storage(セッションストレージ)
  • IndexedDB(インデックス付きデータベース)
  • キャッシュやマニフェスト(PWA関連)

これらはすべて、ユーザー情報や状態をWebブラウザに一時保存するための仕組みです。


Cookie(クッキー)を確認する

Cookieとは?

ユーザーのログイン情報や言語設定などを、一時的に保存する小さなデータファイルです。
Webサイトを再訪したときに、ユーザーを「覚えている」ために使われます。

操作方法:

  1. DevToolsを開いて「Application」パネルを選択
  2. 左側メニューの「Storage」→「Cookies」をクリック
  3. ドメインごとに一覧が表示され、名前・値・有効期限などを確認できます

よく見る項目:

カラム内容
NameCookieの名前(例:session_id
Value保存されている値(例:abc123xyz
Domain対象ドメイン(example.comなど)
Expires有効期限(セッションまたは日時)

削除・編集も可能:

  • 行を右クリックして「Delete」
  • 値をダブルクリックして編集も可能(ただし自己責任で!)

Local Storage / Session Storage を確認する

違いとは?

ストレージ種別特徴保存期間
Local Storage永続的な保存(明示的に消さない限り残る)無期限
Session Storageタブが閉じられると消えるセッション中のみ

操作方法:

  1. 「Application」パネル →「Storage」→「Local Storage」または「Session Storage」
  2. ドメインを選ぶと、キーと値の一覧が表示されます

例:

KeyValue
user_name"ゆうせい"
dark_mode"true"

データをその場で追加・編集・削除することもできます!


IndexedDB や キャッシュの確認

IndexedDBとは?

より複雑な構造のデータ(テーブル・オブジェクト)をブラウザ内に保存するための仕組み。
アプリケーションのようなWebサービスでよく使われます。

  • 複雑なデータベース操作が可能
  • オフラインでも機能を持たせることができる

キャッシュの確認:

「Application」→「Cache」→「Cache Storage」で、ブラウザが保存しているファイル一覧を確認できます。
PWA(プログレッシブWebアプリ)開発者には必須のチェックポイントです。


ストレージデータを一括クリアする方法

「全部消して、まっさらな状態から確認したい!」というときに便利な操作もあります。

手順:

  1. Applicationパネル右上の「Clear storage」をクリック
  2. 対象を選択(Cookie・Storage・Cacheなど)
  3. 「Clear site data」ボタンをクリック!

テストやログイン状態のリセットにとても便利!


注意点:変更は慎重に!

Applicationパネルでの操作は実際にブラウザに保存されているデータを変更・削除するため、実際のWebサービスで不用意にいじるとログアウトされたり、挙動がおかしくなる可能性もあります。

開発環境やテスト環境での使用をおすすめします!


まとめ:ApplicationパネルはWebサイトの“記憶装置”を操作できる

  • CookieやLocal Storageの中身を簡単に確認・編集・削除できる
  • ログイン状態やユーザー設定の調査に便利
  • WebアプリやPWA開発には必須のチェックポイント!

次は「Performanceパネル」でページ表示の“速さ”を分析しよう!

最後の仕上げとして、ページが重い原因を細かく分析する「パフォーマンス測定」にチャレンジしてみましょう。


パフォーマンス改善に役立つパネルたち:Webページの「重い原因」を徹底調査!

「ページの表示が遅い」「スクロールがカクつく」「ボタンを押してもすぐ反応しない」
こうした悩みは、パフォーマンスの問題が原因かもしれません。

今回は、そんな“重さ”の正体を突き止めるためのツール、PerformanceパネルとLighthouseをご紹介します。


Performanceパネルとは?

Performanceパネルは、ページの表示にかかる時間や、JavaScriptの処理負荷、再描画のタイミングなどを記録して分析できるツールです。

例えるなら、サイト全体の「健康診断」をして、どこに“血流の詰まり”があるかを見るような感覚です。


基本操作:ページの動きを記録して分析しよう!

手順:

  1. DevToolsを開いて「Performance」タブを選択
  2. 画面上部の「●(Record)」ボタンをクリック
  3. ページで何か操作(読み込み・クリック・スクロールなど)を行う
  4. 再度「■(Stop)」ボタンを押して記録終了

すると、画面にタイムライン形式のグラフが表示されます。


グラフの見方(ざっくり解説)

セクション内容見るポイント
FPS(Frame Per Second)フレームレート緑のラインが安定しているか?
CPU UsageCPU使用率赤や黄色が多いと高負荷
Network通信タイミング通信が詰まってないか?
MainJavaScript実行長い処理がないか?
TimingsDOMContentLoadedやloadイベントページの主要イベントの発生時間

目安:

  • FPSが落ちている=描画がカクカクしている可能性あり
  • 長時間ブロックされているJavaScriptがある=応答が遅い原因に

実際のシナリオ例

例1:ボタンを押してから処理が始まるまでが遅い

  • タイムラインでクリック直後のCPU負荷や関数実行の長さを見る
  • 無駄なループや複雑なDOM操作が原因かも?

例2:スクロールがカクカクする

  • FPSのグラフが波打っていたら、アニメーションや画像読み込みの影響が考えられる

Lighthouseで総合診断してみよう!

Lighthouse(ライトハウス)は、Googleが提供するWebサイトの品質評価ツールで、次の観点からスコアを出してくれます:

  • パフォーマンス(表示速度など)
  • アクセシビリティ(誰でも使えるか)
  • SEO(検索最適化)
  • PWA対応(オフライン機能など)

操作方法:

  1. DevToolsで「Lighthouse」タブを選択
  2. 測定対象を選ぶ(モバイル or デスクトップ)
  3. 「Analyze page load」ボタンをクリック
  4. 数十秒でスコア付きのレポートが表示される!

出力されるスコア(例):

項目スコア(最大100)
Performance73
Accessibility90
SEO88
Best Practices92

具体的な改善点(例:画像を圧縮すべき、未使用CSSが多いなど)も表示されるので、今後の改善指針がすぐに見えます!


パフォーマンスを良くするためのヒント

問題解決策の一例
画像が大きいWebP形式やLazyLoadを使う
JavaScriptが重い処理の分割・非同期化
CSSが複雑不要スタイルの削除、圧縮
レンダリングが遅いDOM構造の見直し、重複操作の排除

まとめ:PerformanceとLighthouseで“サイトの健康診断”!

  • Performanceパネルで動作を記録して、遅延の原因を特定
  • Lighthouseで全体の品質スコアと改善提案を自動取得
  • 定期的な分析で、表示スピードとユーザー体験を改善しよう!

次は「実践編」でDevToolsの活用法をまとめてみよう!

これまでの内容をもとに、実際のトラブル解決や検証の場面でどう使うのか?を整理していきます。


デベロッパーツールを活用した実践例:トラブル対応からUX改善まで!

ここまでの章で、Google Chromeのデベロッパーツール(DevTools)の主要機能を一通り学んできました。
最後に近づいてきたこの章では、実際のWeb開発や運用の中で、DevToolsがどう使われているのかを、リアルな実例を交えて紹介していきます。

「何となく便利そう」から「今すぐ使ってみたい!」に変わる実感が得られるはずです。


実例1:表示崩れをその場で確認&仮修正(Elementsパネル)

シーン:

ページを開いたら「ボタンが変な位置にある」「文字が重なって見える」

DevToolsでの操作:

  1. Elementsパネルで該当するHTML要素を探す(右クリック→検証)
  2. CSSスタイルを確認し、不自然なmarginpositionを仮編集
  3. 仮修正でレイアウトが整ったら、その内容を本番コードに反映!

仮に修正して即座に見えるのが最大の強みです。開発者やデザイナーとの意思疎通にも◎!


実例2:JavaScriptのエラー原因を特定(Consoleパネル)

シーン:

「ボタンを押しても何も起きない」というユーザー報告

DevToolsでの操作:

  1. Consoleパネルを開いてエラーログを確認
  2. 例:Uncaught TypeError: Cannot read property 'value' of null
  3. エラー箇所をクリックしてコードの行にジャンプし、原因(未定義の変数など)を特定!

表には出ない「動作上の問題」は、Consoleでしか気づけないことも多いです。


実例3:APIのレスポンスをチェック(Networkパネル)

シーン:

ページの一部だけが「読み込めない」「データが表示されない」

DevToolsでの操作:

  1. Networkパネルを開き、xhrfetchの通信を監視
  2. 該当APIのレスポンスステータスやエラー内容を確認
  3. 返ってきたデータが期待と違っていないか、JSONを見て確認!

バックエンドとフロントエンドの接続不具合は、Networkパネルで丸見えになります。


実例4:スマホ表示の崩れを事前チェック(Responsive Design Mode)

シーン:

スマホからのアクセスで「ボタンが押せない」「表示が切れている」と報告あり

DevToolsでの操作:

  1. スマホモードに切り替え(Ctrl + Shift + M)
  2. 画面サイズや機種を指定して問題を再現
  3. ElementsパネルでCSSのメディアクエリを調整し、見た目を改善!

本番公開前に“端末チェック”をしておくことで、クレームを防げます!


実例5:表示速度を改善したい(Performance & Lighthouse)

シーン:

「ページが遅い」とユーザーから不満が。どこが重い?

DevToolsでの操作:

  1. Performanceパネルで読み込みを記録して確認
  2. 画像の読み込みやJSの処理で時間がかかっていることを発見
  3. Lighthouseで具体的な改善アドバイスを取得し、実装へ!

特にSEOやUXを気にする運用サイトでは、定期的なパフォーマンス分析が必須です。


実例6:セッション状態が正しく保持されているか(Applicationパネル)

シーン:

「ログイン状態がすぐ切れる」という問い合わせが届いた

DevToolsでの操作:

  1. ApplicationパネルでCookieやLocalStorageを確認
  2. session_idtokenが保存されているか、有効期限は切れていないかをチェック
  3. Cookieがドメインやパスの設定ミスで使えていないことが判明!

クッキーは“見えないバグの温床”になりやすいので、Applicationパネルで可視化が有効です。


実例7:マーケティング用タグの動作確認(Console + Network)

シーン:

Google Analyticsや広告タグが「反応していない」疑惑

DevToolsでの操作:

  • ConsoleでdataLayergtagの状態を確認
  • Networkパネルで、www.google-analytics.comへの通信が発生しているかチェック

タグがちゃんと「送信」されているかの見極めにもDevToolsが使えます!


まとめ:DevToolsは“診断と応急処置”の万能ツール!

パネル解決できること
Elements表示崩れ・CSS調整
ConsoleJavaScriptのエラー発見
Network通信・API問題の可視化
Sources処理の流れの追跡・停止
ApplicationCookie・ストレージ確認
Performance表示速度の最適化
Lighthouseサイト全体の品質改善

次は最終章!学習のまとめとこれからの指針へ!

ここまで読んでくださったあなたは、もう立派なDevTools使いの第一歩を踏み出しています。
次章では、これまでの学習を振り返りつつ、「さらにステップアップするには?」という指針をお伝えします!


よくある質問とトラブルシューティング:DevToolsを安心して使いこなすために

こんにちは。ゆうせいです。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
この章では、初心者の方からよく聞かれる質問や、実際によくあるトラブルをQ&A形式でまとめました。


Q1:DevToolsを開こうとしても反応しないときは?

A:他の拡張機能やセキュリティ設定が原因のことがあります。

チェックポイント:

  • 拡張機能を無効化してみる(特にセキュリティ系)
  • シークレットモードで試す
  • Chromeを最新版にアップデートする

Q2:編集してもページがすぐ元に戻るのはなぜ?

A:DevTools上の編集は一時的だからです。

ページを再読み込みすると、編集内容はリセットされます。
「一時的な見た目の確認・仮修正」として使いましょう。
本番コードへの反映は、エディター上で行う必要があります。


Q3:DevToolsを閉じたらモバイルモードも解除される?

A:はい。モバイルモードやキャッシュ無効化などは、DevToolsを閉じるとリセットされます。

設定を維持したいときは、タブを開いたままにするか、変更内容を再適用してください。


Q4:ソースコードが意味不明な記号ばかりになっている…

A:これはJavaScriptの「難読化(minify)」処理によるものです。

開発者はコードを軽く・保護するために、変数名を短くして圧縮します。
Sourcesパネルの {} ボタン(Pretty print)を使えば、整形された状態で確認できます。


Q5:間違えてCookieやストレージを削除してしまった!

A:基本的にはリロード後に再生成されるケースが多いですが、ログイン状態が解除される可能性があります。

心配なら、操作前にデータのスクリーンショットを取る・注意深く操作するようにしましょう。


まとめ:デベロッパーツール学習のふりかえり

ここまでで、Google ChromeのDevTools(デベロッパーツール)の基本と活用法を、次のような流れで学んできました:

学習のステップと内容まとめ:

ステップ学んだこと
1〜2章DevToolsの概要と開き方
3章画面構成と主要パネルの紹介
4〜7章Elements、Console、Network、Sourcesによる実践的操作
8〜9章モバイル表示やCookie・ストレージの確認方法
10〜11章パフォーマンス測定と実務での活用事例

これからの学習の指針

DevToolsは“読むだけ”ではなく、触って試すことで身についていく道具です。
ここからさらにステップアップするために、次のようなアプローチをおすすめします:

1. 自分の好きなWebサイトで調査してみよう!

  • デザインを変えてみる(Elements)
  • APIのレスポンスを見る(Network)
  • 動作を止めて観察(Sources)

2. 小さなWebアプリを作ってデバッグしてみよう!

  • 自作のJavaScriptにブレークポイントを仕込んで挙動を観察
  • Consoleで変数の動きを追ってみる

3. ページ速度改善やSEOに興味がある方はLighthouseを使い込もう!

  • 定期的にスコアを取り、改善ポイントを洗い出す
  • スコアが上がっていくのが楽しくなります!

4. フロントエンドの学習にも役立つ

DevToolsは「学ぶための拡大鏡」でもあります。
HTML・CSS・JavaScriptがどのように連携して動いているのか、実際のWebサイトを観察することで、生きた知識が手に入ります!

了解しました!
それでは、「Elementsパネル」だけに焦点を当てた詳しい解説編をお届けします。
初心者でも使える基本操作から、実務に活きるプロの技までを一つずつ丁寧にご説明します。


Elementsパネル完全マスター:HTMLとCSSの構造を読み解き、自在に操る!

こんにちは。ゆうせいです。

Elementsパネルは、Google Chrome デベロッパーツール(DevTools)の心臓部とも言える存在です。
このパネルが使いこなせるようになると、Webページの構造とスタイルの理解が格段に深まり、トラブル対応やデザイン調整がとてもスムーズになります。

例えるなら「家の設計図を見ながら、壁紙や家具をその場で変えられる設計シミュレータ」です。


基本構成を理解しよう

Elementsパネルは、大きく以下の3つに分かれています:

┌────────────────────────────┐
│① HTML構造ビュー(左)                       │
├────────────────────────────┤
│② CSSスタイルビュー(右)                   │
├────────────────────────────┤
│③ Box Model(余白やサイズの可視化)        │
└────────────────────────────┘

① HTML構造ビュー

DOM(ドム)とは?

DOMとは「Document Object Model(文書オブジェクトモデル)」の略で、HTMLをプログラム的に扱えるようにした構造のことです。
Elementsパネル左側に表示されているのが、まさにこのDOMツリーです。

よくあるタグ構成例:

<body>
  <header>…</header>
  <main>
    <section>
      <h1>タイトル</h1>
      <p>本文</p>
    </section>
  </main>
</body>

これらがインデント(字下げ)で階層的に表示され、折りたたみ・展開も可能です。

選択・操作の基本

  • クリックで要素を選択し、右側のCSS表示が連動
  • 右クリック → Edit as HTML でその場でタグを編集可能
  • 右クリック → Delete element で一時的に要素を削除

編集例:

<p>Hello</p>
→ <p>Hello, world!</p>

このように変更すれば、ページにもすぐ反映されます。


② CSSスタイルビュー

選択した要素に適用されているCSSスタイルが右側に表示されます。

スタイル表示の階層

セクション内容
Styles現在の要素に適用されているスタイル
Computed計算された最終的なスタイル
Matched CSS Rulesスタイルの継承元と優先度の一覧

操作方法

  • color, font-size, marginなど、プロパティをダブルクリックして編集
  • 新しいプロパティの追加も可能(例:background-color: red;
  • エラーがあると黄色のマークが表示される

スタイルの継承と上書きルール(CSSの優先順位)

重要なCSSルールは上書きされないことがあります。

  • より近いセレクタが優先される(例:クラス > タグ)
  • !importantがついたスタイルは他のルールより優先される

優先度の例:

p { color: black; }
p.notice { color: blue; } ← こっちが適用される

③ Box Model:要素のサイズと余白の可視化

CSSでよく使う「余白」の概念を、視覚的に色分けして表示してくれます。

[ margin ]
[ border ]
[ padding ]
[ content ]

色の意味

項目内容
marginオレンジ外側の余白
border黄色境界線
padding内側の余白
contentコンテンツ本体

疑似クラスを使って :hover 状態を強制表示

マウスを重ねたときの動作を確認したいときに便利!

操作方法:

  1. 任意の要素を選択
  2. Stylesパネル上部の「:hov」ボタンをクリック
  3. :hover, :focus, :active などをチェック!

これで、実際にマウスを乗せなくてもそのスタイルが適用されます。


HTML要素とCSSを同時に修正して試す

例:ボタンの色と文字を同時に変更

<button class="cta">送信</button>

CSSをこのように編集:

.cta {
  background-color: green;
  color: white;
  font-size: 20px;
}

さらにテキストを:

<button class="cta">送信する</button>

こうすると、一瞬で変更の効果を確認できます!


実務でのElements活用例

シーン操作内容
表示崩れを直したいmarginやpositionを仮編集して調整
特定のボタンの色を調べたいCSSセレクタとスタイルを見る
ホバー時のスタイル確認疑似クラスを強制適用
フォントサイズや行間の調整font-sizeline-heightの確認と編集

まとめ:Elementsパネルは“Webページを分解して理解する最強の道具”

  • HTMLとCSSの構造がリアルタイムで見える
  • 変更してすぐに結果がわかる
  • 表示の問題もその場で仮修正できる
  • 学習・実務・テストすべてに活用できる

Elementsパネル 実践練習問題(全5問)


【問題1】ボタンの文字を変更してみよう

対象ページ例https://saycon.co.jp/html/reproduction.html

指示:

  1. ページ内の最下部のボタンを探してください
  2. ElementsパネルでそのボタンのHTMLを選択
  3. 「送信」「購入」「Click」などのボタンの文字を別の言葉に変更してみてください(例:「送信」→「申し込む」)

【問題2】画像を非表示にしてみよう

指示:

  1. ページ内の任意の画像(<img>タグ)を探してください
  2. CSSでその画像に display: none; を追加して、画像を非表示にしてみましょう

ヒント:

  • Stylesパネルに display: none; を新しく追加
  • 画像はまだページに存在していますが、見えなくなるだけです!

【問題3】文字サイズを2倍にしてみよう

指示:

  1. 任意の段落(<p>タグ)や見出し(<h1>など)を選択
  2. CSSの font-size を今の2倍(例:16px → 32px)に変更してみましょう

ヒント:

  • font-size をダブルクリックして書き換え
  • px, em, % などどの単位でも大丈夫です

【問題4】要素を削除してみよう

指示:

  1. ページ内のサイドバーや広告など、「いらないな」と思う要素を選んでください
  2. HTMLを右クリック → Delete element を実行
  3. ページがどう変わるか確認しましょう

注意:

  • ページをリロードすると元に戻るので、安心して削除してOK!

【問題5】疑似クラス :hover のスタイルを確認

指示:

  1. マウスを乗せると色が変わるようなボタンやリンクを探してください
  2. 対象を選択し、:hovボタンを押して :hover にチェック
  3. 背景色や枠線など、変化しているスタイルを特定してみましょう

ヒント:

  • :hover は、マウスを乗せたときだけ適用されるCSS
  • 強制的に適用すれば、マウスなしで確認できる

チャレンジ問題(上級編)

【問題6】新しいCSSプロパティを追加して、独自デザインにしてみよう

たとえば:

  • ボタンに border-radius: 10px; を追加して角を丸く
  • 背景色を background-color: linear-gradient(...) にしてグラデーション風に
  • フォントを font-family: "Courier New" にして印象を変えてみる

まとめ

Elementsパネルは、試して覚えるのが一番の近道です。
今回の練習問題をきっかけに、自分の好きなサイトでも「観察→変更→理解」を繰り返してみましょう!

おわりに:あなたのDevTools活用が、次の成長につながる!

ここまで丁寧に学習されたあなたは、もう立派な“Web調査エンジニア”です。
今後はぜひ、実際の課題やアイデアにDevToolsを使って解決する習慣を身につけていってくださいね

「Google Chrome デベロッパーツール完全ガイド」 最後までお読みいただきありがとうございます。