ダンボールマルチを活用した不耕起栽培の実践方法
こんにちは。ゆうせいです。
企業農園の運営管理において、作業負担の軽減と環境保護を両立させる具体的な手法として、ダンボールをマルチング資材として活用した不耕起栽培があります。マルチングとは、畑の土の表面をビニールや藁などで覆う作業を指します。今回は、特別な機械を使わずに土の環境を整え、雑草を抑えることができるダンボールマルチの仕組みと、その具体的な導入手順について解説します。
ダンボールマルチによる不耕起栽培の仕組み
一般的な農業では、土を耕して雑草を抜き、ビニールシートを被せて畑を作ります。これに対してダンボールマルチによる不耕起栽培は、耕していない土の上に直接ダンボールを敷き詰め、その上から堆肥や藁を重ねていく手法です。
この手法の背景には、土壌の団粒構造を自然に形成させる狙いがあります。団粒構造とは、微生物の働きによって土の粒子が小さな塊になり、適度な隙間ができた状態です。これは、高校の文化祭の準備で、机をきれいに並べるのではなく、いくつかのグループごとに集まって作業スペースを作っている状態に似ています。グループの間に自然と通路ができるように、土の中に空気や水の通り道が確保されます。
ダンボールを敷くことで、太陽の光が遮られて雑草の成長が止まります。さらに、ダンボールは時間が経つと水分や微生物によって分解され、最終的には土壌生物の餌となって土に還ります。
ダンボールマルチのメリット
- 雑草管理の省力化:ダンボールが光を完全に遮断するため、長期間にわたり強力に雑草の発生を抑制します。
- 土壌生物の活性化:ダンボールの下は適度な湿度が保たれ暗いため、ミミズや微生物が集まりやすく、耕さなくても土が自然に柔らかくなります。
- 資材費の削減と廃棄物活用:社内で発生した不要な梱包用ダンボールを再利用できるため、資材の購入費用を抑えられます。
ダンボールマルチのデメリット
- 設置初期の見栄え:畑の表面がダンボールで覆われるため、ビニールマルチに比べて初期段階の見た目が整然としない印象を与える場合があります。
- 水分の浸透速度:設置直後のダンボールは水を弾きやすいため、土全体に水分が行き渡るまでに時間がかかる傾向があります。
- 強風時の飛散リスク:ダンボールの上に載せる土や堆肥の量が不十分な場合、強風によってダンボールがめくれ上がる可能性があります。
ダンボールマルチを設置する手順
実際の作業は、土を耕す重労働がないため比較的短時間で完了します。
1. 区画の草刈りと平文化
設置する場所の背の高い雑草は、あらかじめ根元から刈り取っておきます。抜く必要はありません。刈り取った草はそのまま地面に敷き詰めて平らに均します。
2. ダンボールの準備と配置
ダンボールに付いている粘着テープやホチキスの針、ビニール製のラベルなどは、分解されずに残るため完全に剥がしてください。処理したダンボールを、隙間ができないように少しずつ重ね合わせながら地面へ敷き詰めます。重ねる幅は10センチメートル程度が目安となります。
3. 注水と重し(堆肥の敷設)
敷き詰めたダンボールの上から、ホースなどで大量の水を撒いて完全に湿らせます。ダンボールを柔らかくして地面に密着させるためです。その後、風で飛ばされないように、ダンボールの上に堆肥や土、あるいは刈り取った藁を5センチメートルほどの厚みで均一に載せます。
4. 植え付け穴の作成
苗を植える場所に、カッターなどで十文字の切り込みを入れます。ダンボールをめくって、その下の土に直接苗を植え付けます。
まとめと今後のステップ
ダンボールマルチを用いた不耕起栽培は、廃棄物の削減と農作業の省力化を同時に達成できる、企業農園に適した合理的なアプローチです。この手法を社内で安全かつ確実に定着させるためのステップは以下の通りです。
- 資材の選定と確保:社内で発生するダンボールの中から、ワックス加工やプラスチックコーティングがされていない、純粋な紙製のダンボールを分別して収集します。
- 試験区画での実施:農園の全域ではなく、まずは特定の1区画を指定してダンボールマルチを設置し、作業時間や雑草の抑制効果を検証します。
- 栽培データの蓄積:植え付けた作物の生育状況や、ダンボールが完全に分解されるまでの期間を記録し、次年度以降の作付け計画や社内マニュアルの作成に活かします。

