人材育成が経営者の課題である理由
こんにちは。ゆうせいです。
経営において「人材育成」は重要なテーマですが、なぜこれは経営者の課題なのでしょうか?社員個人の成長の話ではなく、組織全体の視点から考えてみましょう。
人材育成は社員にとって「ライバルを増やすこと」になる
社員の視点から見ると、会社が積極的に人材を育成することは、将来的に「自分のポジションを脅かすライバルを増やす」ことにつながる可能性があります。特に、競争が激しい環境では、自分のスキルや地位を守るために、ノウハウを共有しない人もいるでしょう。
例えば、営業のエースが新人に自分の必勝パターンを教えた結果、新人が急成長して自分の成果を上回ってしまったらどうでしょう?このような心理的な抵抗があるため、社員自身が積極的に人材育成に関わることは難しいのです。
この問題を解決し、組織全体の成長を促すのは、経営者の役割です。経営者は、個人の競争を超えて「会社全体として強くなる」仕組みを作る必要があります。
社員は短期的な視点で考えがち
経営者が見ているのは「10年後、20年後の会社の姿」です。しかし、社員は基本的に「今の仕事」「来月の目標」「今年の評価」にフォーカスしがちです。なぜなら、彼らの給与やボーナス、昇進は短期的な成果に大きく依存するからです。
例えば、ある社員が「今すぐ成果を上げるために自分の仕事だけに集中する」か「後輩を育てて組織の力を強くする」かの選択を迫られたら、多くの人は前者を選ぶでしょう。短期的な評価の仕組みの中では、個人の業績が最優先されがちだからです。
しかし、企業が成長するためには、長期的な視点で人を育てることが不可欠です。この視点を持ち、実行するのは、やはり経営者しかいません。
社員は経営戦略に限定的にしか関われない
社員一人ひとりは自分の業務範囲にフォーカスして働いています。営業、開発、経理、人事など、それぞれの役割の中で成果を出すことが求められるため、経営全体を見渡すことはほとんどありません。
例えば、営業チームは「今月の売上目標を達成すること」に集中し、開発チームは「次の製品リリースのスケジュール」を気にするでしょう。こうした業務の中で「会社の10年後に向けて、どんな人材を育てるべきか?」と考える余裕はなかなか生まれません。
経営者だけが、すべての部門を横断的に見て、「この会社が将来どう成長すべきか?」を判断できます。そのため、人材育成は経営者が主導しなければならないのです。
全体を見通すことができるのは経営者だけ
最終的に、人材育成を経営者の課題とすべき最大の理由は、会社全体の未来を見通せるのが経営者だけだからです。
社員はそれぞれの業務に集中していますが、経営者は「市場の変化」「業界のトレンド」「自社の強み・弱み」などを総合的に判断し、どんな人材を育てるべきかを決める立場にあります。
例えば、現在はITの自動化が進み、多くの業務がAIによって代替されつつあります。この状況を見越して、「今の社員にデータ分析やAI活用のスキルを身につけさせるべきだ」と判断するのは、経営者の役割です。
また、企業が海外展開を考えているなら、「グローバル人材を育てるべきか?」という視点も重要になります。現場の社員はこうした大局的な判断はできません。
まとめ:人材育成は経営者の未来戦略そのもの
人材育成は単なる「スキルアップのための研修」ではなく、企業の未来を決める重要な経営戦略の一部です。
- 社員個人にはライバルを増やすインセンティブがない
- 社員は短期的な視点で動くことが多い
- 社員は会社全体の経営戦略に深く関われない
- 経営者だけが会社全体を見通し、未来に向けた人材戦略を考えられる
だからこそ、人材育成は経営者の課題であり、経営者自身がリーダーシップを発揮して推進する必要があります。
企業の成長を支えるのは「人」です。長期的な視点でどのような人材を育てるべきかを考えることこそ、経営者の最も重要な役割の一つなのです。