ITスキル標準とは?資格一覧からIT企業での活かし方まで詳しく解説

顧客からのDX対応へのニーズに応えるために、今後ITスキル標準を意識した人材育成を行うことになったけれど、何から始めてよいのかわからず頭を抱えている人はいませんか?

この記事ではITスキル標準の定義から人材育成での活かし方まで詳しく解説します。

ITスキル標準とは?

ITスキルの1つであるプログラミング

ITスキル標準(ITSS)とは、IT人材に必要とされる能力を職種や専門分野ごとに明確にして、個人のIT関連能力を測定できるように定めた指標です。

1990年代以降ITの用途が細分化したため、IT業界で求められるスキルもそれに応じて専門的になり、レベルが上がっていきました。

そのような時代背景から、企業やそこに人材を送り出す教育機関は戦略的な人材育成やスキル開発を行う必要が出てきたため、政府がスキルを測るものさしとなるITスキル標準を策定したのです。

ITスキル標準を策定した意義は次の3つです。

・日本初のITスキルを測るためのものさしができた

・ITスキルが可視化できるようになった

・ITスキルにおいてヒューマンスキルが重視されるようになった

日本ではITスキル標準を策定することで、国全体のITサービスにおける質の向上を目指しています。

参考:独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準(ISSS)」

参考:山崎有生「SEのための29歳からのスキル向上計画」

ITスキル標準におけるスキル

自分のスキルを見ながらキャリアや今後の成功へのステップアップについて考える

ITスキル標準におけるスキル=知識+経験を指すため、ITスキル標準は「できること」を測る尺度だと言えるでしょう。

そのためITスキル標準において高いスキルを持つ人は顧客や社内で一緒に働くチームメンバー、所属するIT企業に対して高い価値を提供することができます。

ITスキル標準において高いスキルを持つ人は、技術のスキルだけではなくヒューマンスキルも高いため、成果を上げながら後進の育成も上手くこなすでしょう。

参考:山崎有生「SEのための29歳からのスキル向上計画」

ITスキル標準におけるレベル

スキルレベルが少しずつアップするイメージ

ITスキル標準におけるレベルは該当する職種や専門分野において、ある一定の価値を提供するために必要なスキルの度合いを表しており、次の7段階に分かれています。

レベルの段階概要
レベル1・情報技術に携わる人が最低限必要な基礎知識を持っている
レベル2・プロフェッショナルになるために必要な基本的知識・技能を持っている ・上司の指導の下要求された作業を担当できる
レベル3・スキルの専門分野確立を目指しプロフェッショナルになるために必要な応用的知識・技能を持っている ・要求された作業を最後まで自分一人の力でこなせる
レベル4・プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立している ・自分の力で業務上の課題の発見とその解決をリードできる ・プロフェッショナルとして求められる経験の知識化と後進育成に貢献している ・社内でハイレベルな人材として認められる
レベル5・プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立している ・社内でテクノロジーやメソドロジー(方法論)、ビジネスを創りリードできる ・社内で経験と実績がありトップクラスの人材として認められる
レベル6・プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立している ・社内外でテクノロジーやメソドロジー(方法論)、ビジネスを創りリードできる ・市場でも経験と実績があり国内でもトップクラスの人材として認められる
レベル7・プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立している ・社内外でテクノロジーやメソドロジー(方法論)、ビジネスを創りリードできる ・市場全体から見ても先進的なサービスの開拓や、市場化をリードした経験と実績があり世界で通用する人材として認められる

レベルが上がるほどできることが増え、社会的にも認められていくと言えるでしょう。

参考:独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準(ISSS)」

ITスキル標準における職種と専門分野

ITスキル標準における職種11種類と専門分野35種類

画像出典元:独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2008のキャリアフレームワーク」

ITスキル標準では、ビジネスの実情に即して職種・専門分野を上記の11種類の職種と35種類の専門分野に分類・定義づけています。

11種類の職種の概要は次の通りです。

職種概要
マーケティング・多様化する顧客ニーズに対応するため市場動向を分析し事業・販売戦略、実行、資金計画の企画・立案などを行う
セールス・新規顧客、既存顧客の経営方針に従って課題解決に役立つツールやサービスの提案、導入支援を行う
コンサルタント・顧客のビジネス戦略やビジョンが実現できるよう知識や経験からアドバイスをする
ITアーキテクト・顧客のビジネス戦略を実現するためアプリケーション関連技術を活用してITアークテクチャの設計、実装、正常に稼働しているかどうかの評価を行う
プロジェクトマネジメント・プロジェクトの立ち上げから解散までのマネジメントを行う
ITスペシャリスト・ソフト、ハード両方の高い専門知識と技術を用いて顧客にとって最適なシステム基盤を提案、構築する
アプリケーションスペシャリスト・アプリケーション開発の技術を用いて設計から保守までの過程を実施し品質管理も行う
ソフトウェアデベロップメント・マーケティング戦略に基づいてソフトの企画、設計、開発を行う
カスタマーサービス・顧客が導入したソフトやハードの修理や保守を行う
ITサービスマネジメント・システム全体を見渡してサービスレベルの底上げを行う
エデュケーション・専門技術に関する人材育成全般を行う

表の色は、その職種においてプロフェッショナルとして価値を生み出すために必要なスキルの度合いを表します。

例えば専門分野がマーケティングマネジメントの人なら、プロフェッショナルとして価値を生み出すためにはITスキル標準でレベル5、レベル6、レベル7に相当するスキルが必要だということになります。

表の色は、それそれの職種や専門分野におけるサービスの価値の大小や組織内における職責のレベルを示しているのではないことに注意しましょう。

参考:独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準(ISSS)」

ITスキル標準における資格一覧

基本情報技術者の資格勉強

ITスキル標準も含むさまざまなスキル標準の活用推進と普及に寄与することを目的として設立された特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会では、「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係」という資料を公開しています。

この資料は前の項目でご紹介した11種類の職種と35種類の専門分野において、ITスキル標準のレベルとIT分野における認定試験や資格を対応させた表で、PDFでダウンロードすることができます。

各種認定試験や資格は技術レベルだけではなく、合格・取得に必要な期間、プロセス、方法、合格・取得率などから総合的にどのレベルに対応しているのかが判断されているのです。

例えば職種が「セールス」で専門分野が「メディア利用型セールス」、ITスキル標準がレベル2の人の場合、対応する資格は「情報処理技術者試験」「基本情報技術者試験」の2つとなります。

この表にあらかじめ目を通しておくことで、IT企業の従業員は今後のスキルアップのために必要な資格がイメージしやすくなるでしょう。

参考:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係」

ITスキル標準のIT企業での活かし方

ITスキルを仕事に活かす

ITスキル標準はIT企業においてどのような活かし方ができるのでしょうか。

3つご紹介します。

企業の戦略に沿った人材育成の指標となる

ITスキル標準は企業戦略に合った人材育成の指標として使うことができます。

例えばIT業界において自社で定めた基準だけで人材育成をすると、自社の基準と市場の基準にずれがあった場合、その差を埋めるのに手間や時間がかかってしまいます。

しかしITスキル標準では各職種におけるスキルのレベルからその段階で取得した方がよい資格まで可視化されているため、その時の会社の戦略に合わせてどのような人材をどのレベルまで育成すればよいかが一目でわかるでしょう。

企業の戦略に合った採用活動ができる

IT業界では人材不足が続いているため採用活動に力を入れる必要がありますが、ITスキル標準を基に採用したい人の人物像を定めることで、企業の戦略に合った人材を採用することができます。

採用を担当する人に求める人物像を説明する時にもITスキル標準を用いれば曖昧さがなくなるため、採用後のミスマッチが起こりにくくなるでしょう。

従業員がキャリアパスのイメージを描きやすくなる

ITスキル標準があれば、IT企業の従業員が自分の今後のキャリアパスを描く際に自分の進みたい方向性や必要な資格がイメージしやすくなります。

また自分が理想とするキャリアに近づくためには今後具体的にどのような経験や実績を必要とするかが可視化されるため、行動につなげやすくなるでしょう。

セイ・コンサルティング・グループではITスキル標準を意識した人材育成をサポートします

セイ・コンサルティング・グループでは、ITスキル標準を意識した人材育成に積極的に取り組むIT企業の皆さまをサポートしています。

例えばITスキル標準の職種の1つに「プロジェクトマネジメント」がありますが、セイ・コンサルティング・グループではプロジェクトマネジメントとは何かからプロジェクトにおける計画の立て方、リスクマネジメント、会議でのファシリテーションに至るまで「かゆい所に手がとどく」研修を提供しているのです。

また戦略に応じた人材育成に対応するため、研修はカスタマイズも可能となっています。

今後の戦略やDXの波に応じた人材育成をするためには、自社での研修だけでは難しいと感じている方は、ぜひ次のページもごらんください。

おすすめの研修内容 - セイコンサルティンググループ (saycon.co.jp)

まとめ

ITスキル標準(ITSS)とは、IT人材に必要とされる能力を職種や専門分野ごとに明確化し個人のIT関連能力を測定できるよう定めた指標で、IT企業にとっては人材育成や採用活動のものさしとなり、従業員にとってはキャリアパスが描きやすくなるというメリットがあります。

この記事も参考にして、ぜひITスキル標準を上手に活用してみてください。