競合調査の方法:IT営業を例に

IT業界での営業活動では、競合調査が非常に重要です。自社の商品やサービスを売り込む際、競合他社の状況を理解することで、より効果的な戦略を立てることが可能になります。では、具体的にどのように競合調査を行えばよいのでしょうか?今回は、IT営業を例にして詳しく解説していきます。

競合調査とは?

競合調査とは、同じ市場で活動している他の企業(競合他社)について情報を収集し、その強みや弱み、戦略、製品の特徴などを分析することです。競合調査を行うことで、自社がどのような立ち位置にいるのかを把握し、効果的なアプローチ方法を考えることができます。

たとえば、スポーツの試合で相手チームの戦術やプレイヤーの特徴を事前に知っていれば、より効果的に戦えるように、自社の商品を売るときも競合の情報が分かっていれば、適切な戦略を練りやすくなります。

競合調査の主な手法

IT営業における競合調査では、いくつかの方法を組み合わせて、包括的に情報を集めることが大切です。以下では、代表的な手法を紹介します。

1. Webサイトや公開情報の分析

まず、競合他社のWebサイトやプレスリリース、SNSなどの公開情報をチェックしましょう。これらの情報から、製品やサービスの特徴、価格設定、ターゲット市場、マーケティング戦略などが見えてきます。

ポイント

  • 製品・サービスの内容:特徴や機能、価格、パッケージングを確認。
  • ユーザー層の把握:どのような顧客層をターゲットにしているかを分析。
  • SEOや広告戦略:どのキーワードで検索されているか、広告の出稿状況などを調査。

具体例

競合のIT企業が提供しているクラウドサービスのページを見たときに、「無料トライアル期間」や「価格の透明性」を強調している場合、それが強みと考えられます。自社も同様のサービスを提供しているなら、より魅力的なトライアルオファーや価格プランを考える必要が出てくるでしょう。

2. 顧客のレビューやフィードバックの分析

レビューサイトやSNS、フォーラムでのユーザーフィードバックは、競合の製品やサービスの実際の評価を知る貴重な情報源です。顧客が何に満足しているか、逆にどのような問題点を感じているかを理解することで、自社の改善ポイントが見えてきます。

ポイント

  • ポジティブなレビュー:競合の強みを分析し、それを超える方法を考える。
  • ネガティブなレビュー:競合の弱点を突いたアプローチを計画する。

具体例

例えば、ある競合のソフトウェアについて「操作が複雑で分かりにくい」との意見が多い場合、自社の製品では「使いやすさ」をアピールポイントとして前面に押し出す戦略が考えられます。

3. ソーシャルリスニングの活用

ソーシャルリスニングとは、SNSやブログ、掲示板などで、特定のキーワードについてユーザーがどのように話しているかを追跡・分析する手法です。これにより、競合や業界のトレンド、顧客のニーズをリアルタイムで把握することができます。

ツールの例

  • Hootsuite:複数のSNSプラットフォームを一括で管理できるツール。
  • BuzzSumo:特定のトピックがどれだけシェアされているかを分析するためのツール。

4. SWOT分析

競合調査の結果をもとに、SWOT分析(Strengths, Weaknesses, Opportunities, Threats)を行いましょう。これにより、自社と競合の強みや弱み、機会、脅威を明確にすることができます。

分析項目自社競合A競合B
強み (Strengths)カスタマーサポートの迅速さ製品の価格競争力広範な製品ラインナップ
弱み (Weaknesses)広告予算が限られている顧客対応の遅さシステムが古い
機会 (Opportunities)新規市場の拡大の可能性技術革新による新サービス海外市場の進出
脅威 (Threats)業界の競争激化新規参入企業の増加法規制の強化

競合調査のメリットとデメリット

競合調査には多くのメリットがありますが、一方で注意が必要な点もあります。

メリット

  • 戦略の改善:競合の成功事例や失敗事例から学び、自社の戦略をより効果的に改良できます。
  • 市場理解の向上:市場全体の動向を把握しやすくなり、正しい判断が可能になります。

デメリット

  • 時間とコストがかかる:徹底した調査には時間とリソースが必要です。
  • 情報の正確性:公開されている情報には限りがあり、すべてが正確であるとは限りません。

IT営業での競合調査を成功させるためのポイント

競合調査を進めるにあたって、次のポイントを押さえておくと効果的です。

  1. 目標を明確にする:何を知りたいのかを具体的に決めてから調査を始めること。
  2. 定期的に更新する:競合の状況や市場環境は常に変わるため、調査結果も定期的に見直す。
  3. 複数の情報源を活用する:一つの情報だけで判断せず、さまざまなデータを組み合わせて分析する。

今後の学習の指針

競合調査は一度やれば終わりというわけではありません。IT業界のような変化が激しい分野では、常に最新の情報を追いかけ、柔軟に戦略を変えていくことが重要です。次のステップとして、より高度なデータ分析や、AIツールの活用も検討してみてください。市場の変化に対応するための知識と技術を磨くことで、競争力をさらに高めていけるでしょう。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。