Pythonプログラミングの世界へようこそ!
この章では、あなたがコンピュータと対話するための、本当に最初の、そして最も重要な一歩を踏み出します。難しく考えないでくださいね。まずはコンピュータを「ちょっと賢い電卓」として使うところから始めてみましょう!
準備はいいですか?
まずはコンピュータに計算をお願いしてみよう!
プログラミングの第一歩として、Pythonに簡単な計算をさせてみましょう。まるで電卓に打ち込むような感覚で大丈夫ですよ。
例えば、足し算や引き算は次のように書きます。
1 + 2
これを実行すると、コンピュータは3
という答えを返してくれます。簡単でしょう?
掛け算は*
(アスタリスク)、割り算は/
(スラッシュ)という記号を使います。学校で習った記号とは少し違うので、覚えておきましょう!
# 掛け算 (5 × 3)
5 * 3
# 割り算 (10 ÷ 2)
10 / 2
この他にも、割り算の「あまり」を求める%
(パーセント)や、「べき乗」(同じ数を何回か掛けること)を計算する**
など、便利な計算機能がたくさんあります。
# 10を3で割ったあまり (結果は 1)
10 % 3
# 2の3乗 (2 × 2 × 2 のこと。結果は 8)
2 ** 3
ここで少し専門用語を紹介しますね。+
や*
のような計算の種類を指示する記号を「演算子(えんざんし)」と呼びます。料理で例えるなら、「切る」「焼く」「煮る」といった調理方法の指示みたいなものです。
そして、5 * 3
のように、演算子と数値を組み合わせた計算式全体を「式(しき)」と呼びます。式は、コンピュータによって計算され、必ず一つの「値(あたい)」(計算結果)を生み出します。
計算結果をしまっておく魔法の箱「変数」
さて、計算はできるようになりましたが、計算結果を後からもう一度使いたい時、どうすればいいでしょうか?毎回同じ計算を打ち込むのは少し面倒ですよね。
そんな時に登場するのが「変数(へんすう)」です!
変数を一言でいうと、「データに名前をつけて保存しておくための箱」のようなものです。この箱にデータを入れておけば、後から名前を呼ぶだけで何度でも中身を取り出して使えます。
実際にコードを見てみましょう。例えば、税込み価格を計算する場面を想像してください。
price = 150
tax_rate = 0.1
sales_tax = price * tax_rate
total_price = price + sales_tax
print(total_price)
これを実行すると、画面には165.0
と表示されます。
何が起きているか、一行ずつ見ていきましょう!
- price = 150priceという名前の変数(箱)を用意して、その中に150という数値を入れています。
- tax_rate = 0.1同じように、tax_rateという名前の変数に0.1(消費税10%)を入れています。
- sales_tax = price * tax_ratepriceとtax_rateの中身を取り出して掛け算し、その結果(15.0)をsales_taxという新しい変数に入れています。
- total_price = price + sales_tax最後に、price(150)とsales_tax(15.0)を足し算した結果をtotal_priceに入れています。
- print(total_price)print()は、カッコの中に入れた変数の値を画面に表示してくれる命令です。
ここで一つ、非常に重要なルールがあります。プログラミングの世界で使う=
は、数学の「等しい」という意味ではありません。「右側の値を、左側の変数に代入する(だいじゅうする)」という意味の命令記号なのです。これを「代入演算子」と呼びます。
変数を使うことには、たくさんのメリットがあります。
- 再利用が簡単: 同じ値を何度も使いたい時に、変数名を呼ぶだけで済みます。
- 意味が明確になる: ただ
150
と書くよりもprice
と書いた方が、「これは価格なんだな」と後から見ても分かりやすいですよね。 - 修正が楽になる: もし税率が8%に変わったら?
tax_rate = 0.08
と、たった一箇所を直すだけで、関連するすべての計算結果が自動的に変わります。便利だと思いませんか?
「数値」と「文字」は違う?データ型という考え方
突然ですが、コンピュータにとって100
という「数値」と、"100"
という「文字」は、全くの別物として扱われます。驚きですよね?
人間にとっては同じに見えても、コンピュータはそれぞれのデータがどんな「種類」なのかを厳密に区別しています。このデータの種類のことを「データ型(データがた)」と呼びます。
なぜデータ型が重要なのでしょうか?それは、データ型によって「できること」と「できないこと」が変わってくるからです。
こちらのコードを見てください。
# 数値同士の足し算
number1 = 100
number2 = 200
print(number1 + number2)
# 文字同士の足し算
text1 = "100"
text2 = "200"
print(text1 + text2)
一つ目のprintは、300という計算結果を表示します。これは予想通りですね。
しかし、二つ目のprintは、なんと100200と表示します。
これは、+
という演算子が、相手にするデータ型によって振る舞いを変えるためです。
- 相手が数値なら「足し算」
- 相手が文字なら「連結(れんけつ)」
このように、データ型を意識しないと、思わぬ結果につながることがあります。プログラミングの基本として、代表的なデータ型をいくつか覚えておきましょう。
- 整数型 (int):
100
や-5
のような、小数点のない数値です。integer(整数)の略です。 - 浮動小数点数型 (float):
3.14
や0.1
のような、小数点を含む数値です。 - 文字列型 (str):
"こんにちは"
や"Python"
のように、"
(ダブルクォーテーション)か'
(シングルクォーテーション)で囲まれた文字の並びです。string(文字列)の略です。
自分が使っている変数のデータ型が何か分からなくなった時は、type()
という便利な命令で確認できます。
price = 150 # 整数
tax_rate = 0.1 # 浮動小数点数
message = "ありがとう" # 文字列
print(type(price))
print(type(tax_rate))
print(type(message))
実行すると、それぞれ<class 'int'>
, <class 'float'>
, <class 'str'>
と表示され、変数のデータ型を教えてくれます。
まとめ:最初の扉を開けました!
お疲れ様でした!この章では、プログラミングの本当に基礎となる3つの重要な概念を学びましたね。
- 式と演算: コンピュータに計算をさせる方法
- 変数: データに名前をつけて保存しておく魔法の箱
- データ型: 数値や文字といったデータの種類
これらは、これからあなたが書くすべてのプログラムの土台となる知識です。一つ一つの意味をしっかり理解しておきましょう。
さて、今は一つの変数に一つのデータしか入れられませんでした。でも、例えばクラスの生徒全員の名前を管理したい時、一人ひとりの変数を用意するのは大変そうですよね?
次の章では、たくさんのデータを一つの変数でまとめて扱う方法について学んでいきます。プログラミングの可能性が、さらにグッと広がりますよ!期待していてください!
2章. コンテナを使ってデータを整理
まとめができたら、アウトプットとして演習問題にチャレンジしましょう。