新人エンジニア研修を内製化するメリットとデメリットとは?事例もご紹介

IT業界は変化が激しくそれに対応できる人材育成を行う必要があるけれど、新人エンジニア研修を外注ばかりに頼っていてはいけないのではないかと感じている人はいませんか?

この記事では、新人エンジニア研修を内製化するメリットとデメリットから研修事例まで詳しくご紹介します。

研修の内製化とは?

新人エンジニア研修

研修の内製化とは研修を社内のリソースで行うことを指します。

研修の内製化を考える時に迷うのが、数ある研修の中でどれを内製化するのが望ましいかという判断ですが、目安としてはその企業における独自性が強い内容ほど内製化に適しています。

例えば新人エンジニア研修の中で、独自性が強く内製化に適していると思われる内容は次の通りです。

  • 自社独自の専門技術
  • 自社独自のノウハウ
  • 自社のビジョン、ミッション、バリュー
  • 自社独自のルール

一方独自性が弱く外注してもよいと思われる内容は次の通りです。

  • 法律や法令、コンプライアンスについて
  • マインドセット
  • プレゼンテーション
  • ロジカルシンキング
  • コミュニケーション

IT企業においてはやみくもに研修を内製化しようとするのではなく、内製化に適している内容かどうかを見極めて進めるのが望ましいでしょう。

新人エンジニア研修を内製化するメリット

黒板に書かれたナレッジで会社が研修のナレッジを蓄積するイメージ

新人エンジニア研修を内製化するメリットは次の通りです。

  • 人材育成のノウハウやナレッジを蓄積できる
  • 経営戦略や企業が置かれている環境の変化に合わせて研修の内容を柔軟に変更できる
  • 研修の内容を業務に直結させやすくなる
  • コストを抑えて研修ができる
  • 新人エンジニアに対してロールモデルを示せる

新人エンジニア研修を内製化すると、手間や時間が取られて大変というイメージを持つ人が多いかもしれませんが、それに見合ったメリットがもたらされるのを覚えておきましょう。

新人エンジニア研修を内製化するデメリット

社外のノウハウで課題を解決するイメージ

新人エンジニア研修を内製化するデメリットは次の通りです。

  • 研修の成果や満足度に関する基準を設けないと思ったような効果が上がらない場合がある
  • 講師の質を担保するのが難しい
  • 社外のノウハウが入ってきにくくなる

内製化する前には研修の成果を判断する基準を作り、それを達成できる講師を育成しておくとこのようなデメリットは起こりにくくなるでしょう。

新人エンジニア研修を内製化する手順

新人エンジニア研修を内製化するには、どのような手順を踏めばスムーズに行えるのでしょうか。

5つのステップにわけてご紹介します。

新人エンジニアの働く意識について知る

新人エンジニア研修を内製化するには、まず新人エンジニアの働く意識について理解し、どのような課題を感じているかを把握するのが重要だと言えるでしょう。

2023年6月にリクルートマネジメントソリューションズでは、「新入社員意識調査2023」の結果を発表しました。

リクルートマネジメントソリューションズの研修を受講した新入社員509人に対し、仕事や職場生活をする上での不安についてたずねた所、次のような結果が出ました。

回答割合
仕事についていけるか61.5%
自分が成長できるか36.5%
先輩・同僚とうまくやっていけるか34.4%
私生活とのバランスが取れるか33.0%
生活環境や習慣の変化に対応できるか27.5%
上司とうまくやっていけるか22.2%
十分な収入が得られるか20.4%
やりたい仕事ができるか19.3%

回答の中で「仕事についていけるか」「自分が成長できるか」「生活環境や習慣の変化に対応できるか」といった内容は外部研修より内製化した研修を受講した方が新入社員の課題解決につながりやすいのではないでしょうか。

一方リクルートマネジメントソリューションズのインハウス型新入社員導入研修とWEB学習 プログラムの受講者1,840人に対し、新入社員時代に身に着けるべきことをたずねた所、次のような結果だったのです。

回答割合
社会人としての基本行動38.9%
仕事に向かう姿勢・スタンス23.7%
社会人としてのビジネスマナーや規律10.8%
セルフコントロール力8.0%
業務に必要な専門知識やスキル6.1%
会社の理念や価値観に沿った行動0.9%

回答の中で多い「社会人としての基本行動」「仕事に向かう姿勢・スタンス」「社会人としてのビジネスマナーや規律」は外部研修でも教えられる内容だと言えるでしょう。

このように新入社員の研修に対するニーズを分析し、内製化した方が良い内容と外部研修でも対応できる内容を切り分けることで、より新人エンジニアの成長につながる研修メニューを作れるでしょう。

参考:リクルートマネジメントソリューションズ「『新入社員意識調査2023』の分析結果を発表」

計画立案・目標設定

新人エンジニア研修の中で内製化する内容が決まったら、研修の計画を立案し目標を設定しましょう。

具体的には現在の経営課題を経営層にヒアリングし、会社の状態とのギャップを埋められるように目標を設定するのです。

ただし経営層の意見を反映しつつも現実に即した計画や目標を立てることが大切です。

講師の選出

新人エンジニア研修を担当する講師を決める際には、次のような人を選ぶとよいでしょう。

  • 内製化する研修内容について深い知識と豊富な経験を持つ
  • 新入社員とスムーズにコミュニケーションが取れる
  • 年齢や職位が新入社員に近く親しみを持ってもらえる
  • 新入社員にとってロールモデルになる

講師になる人には事前研修を受けてもらい、研修の目標を達成できるよう必要なスキルを身に着けてもらうことが大切です。

研修プログラムの作成

自社オリジナルの研修プログラムを作成し、カリキュラムを組んでいきます。

しかし自社の研修プログラムを0から作るのはなかなか難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。

セイ・コンサルティング・グループでは、研修プログラム作成で行き詰ってしまった時に参考になる資料を公開しています。

コンピュータシステムの基礎、HTMLなどエンジニアとして知っておかなければならない基本的な内容なので、これに自社のエンジニアに知ってほしい内容を肉付けするだけでオリジナルのプログラムが作成できるのです。

新人エンジニア研修を内製化するにあたって良い研修プログラムが思い浮かばず悩んでいる人は、次のページもごらんください。

IT企業向け新人研修おすすめ資料 無料公開中 - セイコンサルティンググループ (saycon.co.jp)

研修実施・ブラッシュアップ

研修実施後は新入社員からの受講アンケートなどを元に、内容のブラッシュアップを行う必要があります。

研修プログラムは一度作成して実行すれば終わりではなく、自社の経営戦略や新入社員のニーズに合わせて変化させていく必要があるのを覚えておきましょう。

IT企業における新人エンジニア研修の内製化事例

内製化した新人エンジニア研修で新入社員に年齢の近い講師が講義をする様子

IT企業における新人エンジニア研修の内製化事例を2つご紹介します。

株式会社カーネル・ソフト・エンジニアリング

名古屋市中村区にある株式会社カーネル・ソフト・エンジニアリングは「KSE流教育メソッド」に沿った新人エンジニア研修を展開しています。

「KSE流教育メソッド」は内定から2年間にわたって行われ、「入社前のサポート」「入社後の集中研修」「配属後の職場フォロー」の3STEPによって成り立っています。

また2022年に「テクニカルトレーニングセンター」という大型モニターが設置され200人近い従業員が同時に研修を受講できるエンジニア養成施設を新設し、「入社前のサポート」と「入社後の集中研修」はテクニカルトレーニングセンターで行われることとなっているのです。

「KSE流教育メソッド」の概要と研修スケジュールは株式会社カーネル・ソフト・エンジニアリングのリクルートサイトで公開されているため、入社後の研修内容へのギャップも最大限少なくする工夫が凝らされています。

研修を内製化し良い人材を育成する方法を発信することで、さらに有望な新入社員の応募にもつなげられている好事例と言えるでしょう。

参考:カーネル・ソフト・エンジニアリングリクルートサイト「教育制度とキャリアアップについて」

ニュートラル株式会社

名古屋に本社があるニュートラル株式会社では、「ポテンシャル採用」において、入社後3か月間自社の研修カリキュラムを受講しエンジニアデビューを目指すとしています。

例えば研修をするのを前提として「業務系アプリケーション開発エンジニア」「医療向けアプリケーション開発エンジニア」といった職種で人材を募集するため、現状すぐにニュートラル株式会社が求めるエンジニアとしてのレベルを達成できていない人でも指定された応募資格を満たしていれば求人に応募できるのです。

ポテンシャル採用は応募者の潜在的な能力を重視して採用する方法ではありますが、潜在能力を最大限発揮してもらうための努力を企業側が惜しまない好事例だと言えるでしょう。

参考:ニュートラル株式会社「ポテンシャル採用」

研修の外注だけではなく内製化も相談できる研修会社をお探しではありませんか?

研修の外注については研修会社に相談してもよいけれど、内製化についてはさすがに相談しにくいと感じている人も多いのではないでしょうか。

しかし、セイ・コンサルティング・グループでは前の項目でもご紹介した通り、新人エンジニア研修を内製化するにあたって参考になる資料を積極的に公開しています。

YouTubeでは「新人エンジニアのためのJavaクイズ100選」としてJavaに関するクイズ100個に回答することで、自然にスキルアップできる動画を発信しています。

新人エンジニアのためのJavaクイズ100選 - YouTube

ホームページでは「Java写経タッチゲーム」というゲームを公開し、タッチタイピングゲームで遊びながらJava文法を習得できるようになっているのです。

Java文法をタッチタイピングゲームで習得 (saycon.co.jp)

研修の外注と同時に内製化したい研修内容についても相談したい方は、次のページもごらんください。

IT企業向け新人研修のおすすめ内容(2024) - セイコンサルティンググループ (saycon.co.jp)

まとめ

新人エンジニア研修を内製化する場合独自性の高い内容ほど内製化に適していますが、現在の経営課題や新入社員の研修へのニーズとも照らし合わせて研修プログラムやカリキュラムを検討するのが大切です。

この記事も参考にして、ぜひ自社に合った形で新人エンジニア研修の内製化を進めてみてください。