ボラティリティと標準偏差の関係
株式市場における「ボラティリティ」とは、株価の変動の激しさを指します。標準偏差は、このボラティリティを測るための重要な指標の一つです。ここでは、株のボラティリティを例に標準偏差を解説します。
ボラティリティと標準偏差の関係
ボラティリティが高いということは、株価が大きく変動しやすいということです。逆に、ボラティリティが低いと、株価は比較的安定していることを意味します。標準偏差を使うことで、この変動の度合いを定量的に測定できます。
例を用いて説明
例えば、ある株式が5日間で以下のように価格が変動したとします。
- 1日目:100円
- 2日目:105円
- 3日目:98円
- 4日目:110円
- 5日目:102円
これらのデータを使って、ボラティリティを計算するために標準偏差を求めてみましょう。
平均株価を計算する
まず、5日間の株価の平均を計算します。
平均株価 = (100円 + 105円 + 98円 + 110円 + 102円) / 5 = 103円
株価の標準偏差を計算する
次に、各日の株価と平均株価との差を計算し、その差の2乗を求めます。
- 各日の差を計算:
- 1日目:100円 - 103円 = -3円
- 2日目:105円 - 103円 = 2円
- 3日目:98円 - 103円 = -5円
- 4日目:110円 - 103円 = 7円
- 5日目:102円 - 103円 = -1円
- 差の2乗:
- (-3円)² = 9円²
- (2円)² = 4円²
- (-5円)² = 25円²
- (7円)² = 49円²
- (-1円)² = 1円²
- 2乗の平均を計算:
- (9 + 4 + 25 + 49 + 1) / 5 = 17.6円²
- 平方根を取って標準偏差を求める:
- √17.6 ≈ 4.2円
この標準偏差が示す意味
この例では、標準偏差が約4.2円となりました。この値が意味するのは、株価が平均値である103円から、平均して4.2円程度の範囲で変動しているということです。標準偏差が大きければ大きいほど、株価が日々大きく動いていることを示し、ボラティリティが高いと判断できます。逆に、標準偏差が小さいと、株価は比較的安定していると言えます。
ボラティリティの活用例
投資家にとって、ボラティリティはリスクの指標として重要です。たとえば、ある株が標準偏差4.2円であれば、短期間で株価が大きく動く可能性が高いことを示しています。高いリターンを期待できる一方で、大きな損失のリスクもあります。
一方、標準偏差が小さい株は、変動が少ないため、比較的安全な投資と考えられるかもしれませんが、その分リターンも小さい可能性があります。
まとめと今後の学習
標準偏差を使うことで、株価の変動性(ボラティリティ)を具体的な数字で表すことができます。この数字を基に、投資戦略を考える際の一助とすることができます。今後は、異なる株や市場全体の標準偏差を比較したり、標準偏差がどのように変動するかを観察することで、より深い理解を得られるでしょう。また、ボラティリティ以外のリスク指標、例えばシャープレシオなどを学ぶことで、さらに高度な投資判断ができるようになるでしょう。
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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