「USBの仕組み」とは? 新人エンジニア向けに解説

こんにちは。ゆうせいです。
今日は、新人エンジニアの皆さんに「USBの仕組み」についてお話しします。
USBは、PCやスマートフォンなどのさまざまなデバイスで使われている「接続の標準規格」です。普段使っているものの、具体的にどのように動作しているのか知っていますか?

「なぜUSBは簡単に使えるのか?」という疑問を解決しながら、USBの基本から仕組みまで丁寧に解説しますね。


USBとは?

1. 基本概念

USB(Universal Serial Bus)は、電子機器を接続してデータのやり取りや電力供給を行うための標準規格です。「Universal」という名前の通り、幅広い用途に対応しています。キーボード、マウス、USBメモリ、スマホ充電器など、どれもUSBに対応していますね。

2. なぜUSBが生まれたのか?

昔は、デバイスごとに接続規格が異なり、接続が非常に面倒でした。そこで「簡単にデバイスを接続できる仕組み」を目指してUSBが作られました。

ポイント: USBは、以下の2つを目的に設計されています。

  • プラグ&プレイ: 繋ぐだけで使える。
  • ホットスワップ: 電源を切らずに接続や取り外しが可能。

USBの仕組み

USBは、データの送受信や電力供給を行う仕組みを持っています。それぞれの仕組みを詳しく見ていきましょう。

1. データの送受信

USBは「ホスト」と「デバイス」の通信を管理します。ホストは通常PCやスマートフォンで、デバイスはUSBメモリやキーボードなどです。

データ通信の流れ

  • ホストからの指令
    ホスト(例: PC)が「データを送信して」や「このデータを保存して」といった指令を出します。
  • デバイスからの応答
    デバイス(例: USBメモリ)がその指令に応じてデータを送信・受信します。
  • プロトコルによる管理
    USBは通信の手順を「プロトコル」と呼ばれるルールに基づいて管理します。これにより、異なるメーカーの機器でもスムーズに通信が行えます。

2. 電力供給

USBは電力供給機能も持っています。デバイスに必要な電力をUSBケーブルを通じて供給します。

電力の仕組み

USBケーブルには電力供給用のピン(VbusとGND)があり、ここを通じて電流が流れます。USBの規格により、供給できる電力は次のように変化しています。

規格最大供給電力
USB 2.05V、最大500mA(2.5W)
USB 3.0/3.15V、最大900mA(4.5W)
USB-C(PD)最大20V、5A(100W)

USB-Cの登場で、大きな電力も供給できるようになりました。ノートPCの充電が可能になったのも、この進化のおかげです。


USBの物理構造

USBケーブルやポートには、どのような構造があるのでしょうか?

1. USBケーブル

USBケーブルは、内部に4本(またはそれ以上)の配線が含まれています。

  • Vbus: 電源供給用の配線(+5V)。
  • GND: グラウンド(電流の戻り道)。
  • D+ / D-: データ通信用の配線。

USB 3.0以降では、追加のデータ配線(SuperSpeed信号)が増えています。これにより、より高速な通信が可能になりました。

2. USBポート

USBポートの形状には以下の種類があります:

  • USB-A: 一般的な長方形のポート。
  • USB-B: プリンタなどで使われる正方形に近い形。
  • USB-C: 両面挿しが可能な最新規格。

USB-Cのメリット:
向きを気にせず挿せるだけでなく、高速通信や高電力供給が可能です。


USBの通信方式

USBは、効率的な通信を実現するために独自の方式を採用しています。

1. ホスト/デバイス構造

USBは「ホスト」がすべての通信を管理し、「デバイス」がホストからの指示に従う形で動作します。ホストは常に中心的な役割を果たします。

2. データ転送モード

USBでは、データの転送方法を以下の4つのモードで分類しています:

  • コントロール転送: 設定や制御用(例: デバイスの初期設定)。
  • バルク転送: 大容量データの転送(例: USBメモリのファイル転送)。
  • インタラプト転送: 小さなデータの即時転送(例: キーボードの入力)。
  • アイソクロナス転送: 時間的な連続性が重要なデータ(例: 音声や映像)。

USB規格の進化

USBは、データ通信速度や機能が進化しています。代表的な規格を見てみましょう。

規格最大転送速度特徴
USB 1.112 Mbps初期の規格
USB 2.0480 Mbps現在でも多く使われている標準規格
USB 3.0/3.15 Gbps / 10 Gbps高速データ転送が可能
USB 4.040 GbpsThunderbolt 3互換、高速かつ高機能

実際に試してみよう!

USBの仕組みを学んだら、以下のような実験に挑戦してみましょう。

  1. USB通信の解析
    専用のソフトウェア(例: Wireshark)を使って、USBデバイスの通信をモニタリングしてみましょう。
  2. USBデバイスを作る
    マイコン(例: Arduino)を使って、簡単なUSBデバイスを自作してみるのも楽しいですよ。
  3. USB-Cの高電力供給を利用
    PD(Power Delivery)対応デバイスで充電実験をして、USB-Cの利便性を体感しましょう。

まとめと次のステップ

USBは、シンプルに見えて非常に高度な仕組みを持っています。
次は以下のようなテーマに進むと、さらに理解が深まりますよ。

  • 通信プロトコルの詳細
  • USB-CとThunderboltの違い
  • ハードウェア設計におけるUSBの実装方法

普段使っている技術の裏側を知ることで、エンジニアとしての視野が広がります! 次回も新しいテーマでお会いしましょう。


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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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