【初心者エンジニア向け】SSDとは?物体検出の仕組みをやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。
今日は、物体検出でよく使われる手法のひとつである「SSD(Single Shot MultiBox Detector)」について、新人エンジニア向けにわかりやすく解説していきます!
「YOLOやR-CNNとどう違うの?」「なぜ“シングルショット”なの?」など、初心者がつまずきやすいポイントを、図や例えを交えながら丁寧に説明します。
SSDとは何か?ざっくりと説明!
画像から一発で「どこに何があるか」を見つける手法
SSDとは「Single Shot MultiBox Detector(シングルショット・マルチボックス・ディテクター)」の略で、1回の処理で画像中のすべての物体の位置と種類を同時に推定するアルゴリズムです。
「シングルショット」というのは、「1回の画像処理で全部を予測する」ことを意味しています。
たとえば、以下のような処理を一度にまとめてやるのが特徴です:
- この画像には何が写っているか?
- それは画像のどこにあるのか?
なぜSSDが生まれたのか?
従来の方法(R-CNN)は遅かった!
以前は「R-CNN」系のアルゴリズムが主流でしたが、次のような問題がありました:
- 一つ一つの領域を切り出して → それぞれに分類をかけて → バウンディングボックスを調整する
→ これがとても遅い!!
SSDはこの流れを1回の画像処理で済ませることで、速度を大幅に改善しました。
YOLOと同じ「1ステージ検出器(One-stage Detector)」に分類されます。
仕組みをもう少し詳しく見てみよう
SSDは以下のような流れで物体を検出します:
ステップ1:画像を入力する
サイズは固定(例えば300×300ピクセル)にリサイズされます。
ステップ2:CNNで特徴マップを作る
画像からCNN(Convolutional Neural Network)で特徴を抽出し、画像の「どこに何がありそうか」のヒントを得ます。
このとき、複数のスケール(サイズ)で特徴マップを作成することで、大きい物体から小さい物体まで検出できるようにします。
ステップ3:デフォルトボックスを重ねる
SSDでは「デフォルトボックス(default boxes)」というあらかじめ用意された形と大きさの四角形を特徴マップの上に配置しておきます。
それぞれのボックスに対して:
- 「どんなクラスの物体か?」
- 「位置をどのくらい調整すればよいか?」
を予測します。
図で表すと、以下のようなイメージになります:
[入力画像] → [特徴マップ] → [デフォルトボックスを配置] → [各ボックスでクラスと位置を予測]
SSDの強みと弱み
メリットとデメリットを表で整理!
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 処理が速い(リアルタイム向き)/マルチスケール対応で精度も高い |
デメリット | 非常に小さな物体には弱い/複雑な背景だと誤検出が増えることも |
たとえば、交通カメラのような場面ではSSDは十分な精度と速度を兼ね備えており、とても実用的です。ただし、アリや文字のように極端に小さな物体の検出は苦手です。
SSDと他の手法の違い
以下の表で有名な物体検出アルゴリズムと比べてみましょう。
手法 | 特徴 | 処理速度 | 精度 |
---|---|---|---|
R-CNN | 一つ一つの領域を検出して分類 | 遅い | 高い |
YOLO | 一度の予測で全部判断(グリッド分割) | 非常に速い | 高速だがやや粗い |
SSD | 複数スケールでデフォルトボックスを活用 | 速い | YOLOより精度が高いこともある |
SSDは、YOLOより精度がやや高く、R-CNNより圧倒的に速い、ちょうど中間の性能を持つ「バランス型」の手法です。
数式で理解するSSD(かんたん解説)
SSDの損失関数は、次のような形で構成されます: L(x,c,l,g)=1N(Lconf(x,c)+αLloc(x,l,g))L(x, c, l, g) = \frac{1}{N}(L_{conf}(x, c) + \alpha L_{loc}(x, l, g))
日本語で分解すると:
全体の損失 = 分類誤差 + 位置予測誤差(α倍して重みづけ)÷ 正解ボックス数
- LconfL_{conf}:クラス分類の誤差(クロスエントロピー)
- LlocL_{loc}:位置の誤差(スムースL1損失など)
- x,c,l,gx, c, l, g:各種データ(xは予測対象、cはクラス、lは予測ボックス、gは正解ボックス)
- NN:マッチしたボックス数(正解と重なっているもの)
実際にどう使うの?
SSDは「学習済みモデル」が公開されているので、初心者でもすぐに試せます!
おすすめの入り口
- Google Colab + PyTorch/TensorFlow
SSDのサンプルコードを動かしてみるところから始めてみましょう。 - OpenCV + ONNXモデル
軽量なSSDモデルはOpenCVでも動かせるので、組み込みやアプリでも活用可能です。 - COCOデータセットで練習
公開データセットを使って学習・評価をしてみると、理解が深まります。
今後の学習の指針
SSDを理解したら、次のような学習ステップに進むと良いでしょう!
- SSDとYOLOのコードを比較して仕組みの違いを理解する
- SSDの中身(特徴マップ、デフォルトボックス)を可視化して学習の挙動を見る
- 小さな物体に強い手法(EfficientDetやYOLOv8)も比較してみる
- SSDの変種(MobileNet-SSDなど)を使って組み込みAIにもチャレンジ!
SSDは、速度と精度のバランスに優れたモデルで、実務でも非常に使いやすいです。まずは動かしてみて、少しずつ内部の理解を深めていきましょう!
質問があれば、いつでも聞いてください!
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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