【初心者エンジニア向け】セマンティック・セグメンテーションとは?画像を“意味”で塗り分けるAI技術をやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、画像認識の中でもちょっと進んだ技術「セマンティック・セグメンテーション(Semantic Segmentation)」について、新人エンジニアの方に向けてやさしく解説していきます!

「物体検出とどう違うの?」「どんなことに使えるの?」といった疑問を、図や例えを使いながらわかりやすく説明しますので、安心して読み進めてくださいね。


セマンティック・セグメンテーションとは?

ピクセルごとに“意味”を割り当てるAI

セマンティック・セグメンテーションとは、画像のすべてのピクセルに対して「これは何か」を分類する技術です。

たとえば、以下のような画像があったとします:

  • 空:青く塗る
  • 建物:灰色に塗る
  • 道路:黒く塗る
  • 人:肌色に塗る

このように、「画像全体を意味で塗り分ける」ことがセマンティック・セグメンテーションの役割です!


画像認識との違いを比較してみよう

技術名出力複数物体対応個体の区別
画像分類画像全体が何か××
物体検出どこに何があるか(四角で囲む)
セマンティック・セグメンテーション各ピクセルが何か(領域塗り分け)×
インスタンス・セグメンテーションピクセルごとに「個体」も区別

つまり、セマンティック・セグメンテーションは高精度で“どの場所が何なのか”を判断できる技術です。

ただし、「同じクラスの個体(例:複数の人)」は区別できません。


例え話:地図に色を塗るようなもの

セマンティック・セグメンテーションは、言ってみれば「航空写真を見て、地図を塗り分ける作業」に似ています。

  • 緑の部分は森
  • 灰色は建物
  • 青は湖

そんなふうに、人間が意味を読み取って地図を作るようなことを、AIにやらせるのがこの技術です。


仕組みを図で理解しよう

処理の流れは、ざっくり以下のようになります:

[入力画像]
   ↓
[特徴抽出(CNN)]
   ↓
[低解像度の特徴マップ]
   ↓
[アップサンプリング]
   ↓
[元画像と同じサイズでピクセル分類]

この構成を持った代表的なモデルが、FCN(Fully Convolutional Network)U-NetDeepLab などです。


よく使われるモデル

モデル名特徴
FCN(Fully Convolutional Network)最初のセグメンテーションモデル。全結合層を畳み込み層に置き換えた構造
U-Net医療画像向けに開発された左右対称構造。スキップ接続あり
SegNetプーリングインデックスを記録してアップサンプリング。軽量で高速
DeepLab(v1〜v3+)空洞畳み込み(Atrous)や条件付きランダムフィールド(CRF)を導入

活用事例

セマンティック・セグメンテーションは、高精度なピクセル認識が必要な場面で広く使われています。

分野活用例
自動運転車、道路、歩行者、信号機をピクセル単位で分類
医療MRIやCT画像から腫瘍などを領域ごとに認識
農業ドローン画像から作物や雑草を分類
地図生成衛星画像から建物や道路を抽出

メリットとデメリット

メリットデメリット
ピクセル単位で細かく分類できる同じクラスの物体を区別できない(個体識別はできない)
空間的な情報を保ったまま分類可能処理が重く、リアルタイムには向かないことも
多様な応用が可能(医療、交通など)学習に大量のラベル付きデータが必要

実践のすすめ:セマンティック・セグメンテーションを試してみよう!

ステップ例:

  1. データセットを入手
     → Cityscapes(街の風景)、Pascal VOC(動物・物体)、CamVid(交通)
  2. 既存モデルを使って推論
     → PyTorchの torchvision.models.segmentation にFCNやDeepLabV3が実装済!
  3. マスク画像を重ねて可視化してみる
     → カラーマップを使って「この領域が何か」を見える化
  4. 自作データを使って学習
     → LabelmeやCVATなどのツールでマスク画像を作成

今後の学習の指針

セマンティック・セグメンテーションを理解したら、以下のような学習ステップがおすすめです!

  1. FCN / U-Net / DeepLab などの構造を図に描いて比較してみる
  2. 自分の画像でセグメンテーションを試して、出力マスクを可視化・評価
  3. 軽量モデル(MobileNet + DeepLab)を使ってリアルタイム化に挑戦
  4. インスタンス・セグメンテーションやパノプティック・セグメンテーションへ進む

セマンティック・セグメンテーションは、画像をより深く“理解する”ための重要なステップです。
ぜひ、手を動かしながら学習を進めていってくださいね!

質問があれば、いつでもどうぞ!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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