【初心者エンジニア向け】PSPNetとは?セグメンテーションの精度を高める“ピラミッドの力”をやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、画像の中の物体をピクセル単位で分類する「セマンティック・セグメンテーション」において高精度を実現するモデル、PSPNet(Pyramid Scene Parsing Network)について、新人エンジニアの方にもわかりやすく解説していきます!
「PSPって何の略?」「ピラミッドってどういう意味?」といった疑問を持つ方にも、図や例えを交えながら丁寧に説明しますので、安心して読み進めてください。
PSPNetとは?
グローバルな文脈情報(シーン全体)を読み取るセグメンテーションモデル
PSPNetは、2017年に公開されたセグメンテーションモデルで、「Pyramid Scene Parsing Network」の略です。
特徴は、
- 画像全体の“シーン”の意味を読み取る
- 複数のスケール(大きさ)で特徴を捉える
- ピクセル単位の分類精度がとても高い!
という点にあります。
なぜ“ピラミッド”なのか?
PSPNetの核となるのは「ピラミッド・プーリングモジュール(Pyramid Pooling Module)」です。
これは、「画像をさまざまなサイズに縮小して、それぞれの情報を組み合わせる」ことで、広い範囲の文脈(context)を理解するための工夫です。
例えるなら…
- 大きな地図を見ながら、町全体の位置を把握(大きなスケール)
- 拡大地図で自分のいる通りの形を確認(小さなスケール)
こうした「広い視野」と「細かい視野」を同時に見て判断するのがPSPNetのアプローチなんです!
PSPNetの構造を図で理解しよう
[入力画像]
↓
[特徴抽出(ResNetなどのCNN)]
↓
[ピラミッドプーリングモジュール(4つのスケール)]
↓
[統合された特徴マップ]
↓
[アップサンプリング(元の画像サイズへ)]
↓
[ピクセル単位のクラス予測]
ピラミッドプーリングは、特徴マップに対して複数サイズ(例:1×1、2×2、3×3、6×6)の平均プーリングを適用し、それぞれを元のサイズに補間(リサイズ)して統合する処理です。
PSPNetと他のモデルの違い
モデル名 | 特徴 | 文脈情報の扱い | 精度 |
---|---|---|---|
FCN | シンプルな構造 | 弱い | 中 |
U-Net | スキップ接続で細部が強い | 中 | 高 |
SegNet | インデックス復元で輪郭が明瞭 | 弱い | 中 |
DeepLab | 空洞畳み込み+CRF | 強い | 高 |
PSPNet | ピラミッドプーリングで広域文脈 | 非常に強い | 非常に高い |
特に、都市シーンなど「全体の配置が意味を持つ画像」で強さを発揮します!
どんな分野で使われているの?
分野 | 活用例 |
---|---|
自動運転 | 道路・車・歩行者などを広域的に分類 |
都市計画・GIS | 衛星画像の建物・緑地・道路の抽出 |
産業検査 | 製品の全体と部分を同時に解析 |
医療画像 | 広い範囲の臓器と細部の病変を同時に認識 |
PSPNetのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
複数スケールの情報で分類精度が高い | モデルが重く、計算コストが高い |
シーン全体の文脈を理解できる | 軽量化には工夫が必要 |
街並みや構造物の認識に非常に強い | 小さなデバイスでは動かしにくい |
実装・使い方(初心者向け)
PSPNetはオープンソースで実装されており、以下の環境で利用可能です:
推奨環境:
- PyTorch or TensorFlow
- 事前学習済みモデル(Cityscapesなどで学習済)
- 学習なしでも推論だけなら簡単に動かせる
推論ステップ:
- モデルを読み込む(学習済み重みあり)
- 入力画像をリサイズ&正規化
- 出力マップを得て、クラスごとに色を割り当て
- 元画像に重ねて可視化!
今後の学習の指針
PSPNetは、セグメンテーション分野で高精度を求める際に非常に有効なモデルです。次のステップとしては:
- PSPNetの構造を図で描いて理解する
- 自分の画像に推論を試してどの部分をどう分類しているか確認する
- 他モデル(DeepLab, U-Net)と精度・速度を比較する
- モバイル端末向けの軽量化(MobileNet + PSPNetなど)にも挑戦する
ピラミッド構造によって、「全体の理解」と「細部の認識」を両立できるPSPNetは、セグメンテーションの学習における中級ステップとして非常におすすめです!
質問があれば、いつでも聞いてくださいね!
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