強化学習の種類とは?新人エンジニアのためのやさしい分類解説

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、強化学習の種類(タイプ)について、新人エンジニアでも理解できるようにわかりやすく解説します!

「強化学習って、Q学習とかA3Cとか、いろんな名前が出てきてわけわからん!」
そんなあなたのために、まずは全体の地図を描いてから、各アルゴリズムの立ち位置を説明していきますね。


強化学習とは?

そもそも強化学習(Reinforcement Learning)とは、試行錯誤を通じて最適な行動を学ぶAIの学習方法です。

高校生でもわかる例で言えば:

「ゲームのプレイヤーが、何度もプレイしてコツをつかんでいく」のが強化学習です!


強化学習の分類図

まずは全体の構造を見てみましょう!

強化学習
├── モデルベース(Model-based)
│   └── モデルを使って将来を予測してから行動を決める
└── モデルフリー(Model-free)
    ├── 価値ベース(Value-based)
    │   └── 行動の価値を計算して選ぶ(例:Q学習)
    └── 方策ベース(Policy-based)
        └── 方策(行動の確率分布)を直接学ぶ(例:REINFORCE)
        └── アクター・クリティック(Actor-Critic)
            └── 価値と方策の両方を使う(例:A2C, A3C, PPO)


モデルベース vs モデルフリー

モデルベース(Model-based)

  • 環境のルールを内部で予測モデルとして学習または使用します。
  • 例:チェスAIが先の手を計算するようなもの

メリット:計画的・少ない試行回数でOK
デメリット:環境モデルが正確でないと使いづらい


モデルフリー(Model-free)

  • 環境モデルは作らず、直接行動と報酬の関係から学ぶ
  • 実際の強化学習の多くはこのタイプ!

ここからさらに2つに分類されます。


価値ベース(Value-based)

状態や行動の価値(value)を推定して行動を選ぶ方法です。

最も有名なのが:

Q学習(Q-Learning)

状態 $s$ と行動 $a$ に対して、どれだけ良いかを数値で表したものを Q値 と呼びます。

更新式の一例:

Q(s, a) \leftarrow Q(s, a) + \alpha (r + \gamma \max_{a'} Q(s', a') - Q(s, a))

ここで:

  • \alpha:学習率
  • \gamma:割引率
  • $latex $r$:報酬
  • s':次の状態
  • a':次の行動

Deep Q-Network(DQN)

Q学習をニューラルネットワークで拡張したものです。

メリット

  • 難しい環境でも動く
  • 実装も比較的わかりやすい

デメリット

  • 離散行動しか扱えない
  • 高次元状態に弱いこともある

方策ベース(Policy-based)

「価値を計算してから選ぶ」のではなく、直接、行動の確率分布(方策)を学習する手法です。

REINFORCE(ポリシー勾配法)

行動ごとの報酬をもとに、良い行動が出やすいように方策を調整します。

損失関数の一例:

L = - \log \pi(a|s) \cdot R

  • \pi(a|s):方策(行動の確率)
  • R:報酬の総和

メリット

  • 連続値の行動が扱える
  • 方策が確率的なので探索がしやすい

デメリット

  • 分散が大きく、学習が不安定

アクター・クリティック(Actor-Critic)

方策(Actor)と価値(Critic)を同時に学習するハイブリッド型です。

よくある例:

アルゴリズム特徴
A2C(Advantage Actor-Critic)同期型。安定的だが計算が重い
A3C(Asynchronous A2C)非同期で高速。分散処理向き
PPO(Proximal Policy Optimization)改善された安定性と効率性。実用性が高い

種類別まとめ表

種類代表的な手法特徴向いているタスク例
モデルベースDyna-Q, MBPO計画的、データ効率が高い自動運転、ロボット制御
価値ベースQ学習、DQN実装しやすい、安定性ありゲーム、ルールが明確な環境
方策ベースREINFORCE連続行動が可能、探索しやすいロボットアーム、最適化系
アクタークリティックA2C、A3C、PPO実用性高、最新手法の多くがここシミュレーション、リアルタイム制御

どの手法を選ぶべき?

「どれを使えばいいかわからない…」

そんなときは、次のように考えると良いですよ。

  • まずはQ学習やDQNで基礎を学ぶ
  • 連続的な行動ならPPOやA3Cを検討
  • 高性能・安定性重視ならPPOがおすすめ!

今後の学習の指針

強化学習の種類を理解したら、以下のステップに進んでみてください!

  • 実際にDQNやPPOを動かしてみる(例:OpenAI Gym)
  • 報酬設計の難しさについて考える
  • 模倣学習(Imitation Learning)との比較
  • 実問題(ゲーム、ドローン、物流)への応用事例を学ぶ

強化学習は、「地図を描いてから探索する」ことが大切です。
ぜひ、自分だけのアルゴリズムの旅をはじめてみてください!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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