バッチ最急降下法とは何か

こんにちは。ゆうせいです。

AIやデータ分析の世界へようこそ!

皆さんは、膨大なデータの中からたった一つの正解を見つけ出すとき、コンピュータがどのように試行錯誤しているか想像したことはありますか?

今回は、機械学習の心臓部ともいえる最適化の手法について、特に基本となるバッチ最急降下法を中心に解説します。

迷子のプログラミング?最適化の基本を理解しよう

山登りをしていて、霧で周りが見えなくなった状況を想像してください。

手元に地図はありませんが、足元の傾斜だけはわかります。

とにかく一番低い場所にある村まで下りたいとき、あなたならどうしますか?

おそらく、今の場所で一番急な下り坂を探して、一歩踏み出すはずです。

この一歩を繰り返して谷底を目指す仕組みが、最適化アルゴリズムと呼ばれるものです。

バッチ最急降下法とは何か

バッチ最急降下法は、持っているすべてのデータを確認してから、次の一歩をどちらに踏み出すか決める贅沢な手法です。

専門用語では、この一歩の更新をパラメーターの更新と呼びます。

具体的には、次のような計算を行っています。

新しい位置 = 現在の位置 - 学習率 \times すべてのデータの勾配の平均

ここで登場する学習率とは、一歩の歩幅のことです。

歩幅が大きすぎると谷底を飛び越えて反対側の崖にぶつかってしまいますし、小さすぎるといつまでも村にたどり着けません。

すべてのデータをじっくり見てから動くので、動きに無駄がなく、非常に安定しているのが特徴です。

皆さんは、大事な決断をするときにすべての資料を読み込んでから決めたい派ですか?

それとも、直感で動きたい派ですか?

バッチ最急降下法は、間違いなく前者の慎重派と言えますね。


ライバルたちとの比較!どれが一番賢い?

バッチ最急降下法には、頼もしいライバルたちが存在します。

それぞれの性格を比較表で見てみましょう。

手法名データの使い方特徴弱点
バッチ最急降下法全データを使用動きが安定している計算に時間がかかる
確率的勾配降下法(SGD)1データずつ使用計算が非常に速い動きがフラフラする
ミニバッチ勾配降下法数十〜数百データずつ使用安定と速度のバランスが良いバッチサイズの調整が必要

確率的勾配降下法(SGD)のスピード感

バッチ最急降下法が会議で全員の意見を聞いてから決める社長だとすれば、SGDは現場で一人の意見を聞くたびに方針を変えるスピード重視のリーダーです。

一人一人の意見に振り回されるので、目的地までの道のりは蛇行してしまいます。

しかし、データが何百万件もあるような現代のビッグデータ環境では、全員の意見を待っていては日が暮れてしまいます。

そのため、あえてフラフラしながらも素早く動くSGDが好まれる場面も多いのです。

現代のスタンダード!ミニバッチ勾配降下法

現在のAI開発で最も使われているのが、このミニバッチ法です。

これは、クラス全員ではなく、仲の良い5人組くらいのグループの意見をまとめて聞いてから動く方法です。

計算効率と安定性のいいとこ取りをした手法と言えるでしょう。


バッチ最急降下法のメリットとデメリット

この手法を使いこなすために、良い点と悪い点を整理しておきましょう。

メリット

  • 計算が安定しており、確実に誤差が減っていく様子が確認できる。
  • 数学的な理論がシンプルで、初心者でも構造を理解しやすい。
  • 並列計算との相性が良く、高性能なコンピュータの力を引き出しやすい。

デメリット

  • データ量が増えると、一歩動くための計算待ち時間が非常に長くなる。
  • メモリを大量に消費するため、普通のパソコンでは動かなくなることがある。
  • 局所最適解、つまり村だと思って下りた場所が実はただの小さなくぼみだった場合に、そこから抜け出しにくい。

もし皆さんが、たった100件程度のアンケート結果を分析するのであれば、バッチ最急降下法は最高の選択肢になります!

逆に、SNSの投稿全データを分析したいなら、他の手法を検討すべきでしょう。


プログラムで見る計算の仕組み

実際に、コンピュータの中で行われている計算をイメージしてみましょう。

以下は、誤差を最小にするための更新処理のイメージです。

Python

# 全データの誤差の合計を計算するイメージ
total_gradient = 0
for data in all_dataset:
    gradient = calculate_gradient(data, parameters)
    total_gradient += gradient

# すべてのデータを見終わってから、1回だけ更新する
average_gradient = total_gradient / data_count
parameters = parameters - learning_rate * average_gradient

このコードにある通り、すべてのデータを処理するまで parameters が変わらないのがバッチ最急降下法のアイデンティティです。


次へのステップ!ここから何を学べばいい?

バッチ最急降下法は、あらゆる最適化の基礎です。

これが理解できれば、より高度な Adam や RMSprop といった最新のアルゴリズムを学ぶ準備は万端です!

まずは、以下の順番で学習を進めてみることをお勧めします。

  1. 実際に Python などのプログラミング言語を使って、小さなデータでバッチ最急降下法を実装してみる。
  2. 学習率の値を 0.10.0001 に変えてみて、結果がどう変わるか実験する。
  3. 今回紹介した SGD や ミニバッチ法を使い、計算速度の違いを体感する。

数学の山を一つずつ乗り越えていきましょう。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。