AIの歴史を塗り替えた革命児!AlexNetが画像認識の常識を覆した3つの理由

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、AIがスマートフォンの写真フォルダを自動で分類したり、街中のカメラで不審な動きを察知したりできるのはなぜだと思いますか。実は、2012年に登場したAlexNetというモデルが、そのすべての始まりだったのです。

今日は、現在のAIブームの火付け役とも言えるAlexNetについて、研修講師の視点で分かりやすく解説します!

なぜAlexNetは世界を驚かせたのか

2012年、世界的な画像認識コンテストにおいて、AlexNetは2位に圧倒的な差をつけて優勝しました。その差はなんと10パーセント以上。例えるなら、100メートル走で1位の選手がゴールしたとき、2位の選手はまだ90メートル地点にいたような衝撃です!

それまでのAIは、人間が「猫なら耳が尖っている」「犬なら鼻がこうなっている」といった特徴を指示してあげる必要がありました。しかし、AlexNetは自ら画像を見て、何が重要なのかを学習するディープラーニングの力を世界に証明したのです。

みなさん、人間が教えなくてもAIが勝手に学び始める瞬間を想像できますか。それが現実になったのが、このAlexNetの登場だったわけです。

AlexNetを支える3つの技術革新

AlexNetがこれほどまでに賢かった理由は、大きく分けて3つの工夫にあります。専門用語を使いながら、高校生でもイメージできるように解説しますね。

1. 活性化関数ReLUによるスピードアップ

AIのネットワークの中で、情報を次に伝えるか判断するスイッチのような役割を果たすのが活性化関数です。それまではシグモイド関数という、なだらかな坂道のような関数が使われていました。しかし、これでは学習が進むにつれて情報が消えてしまう問題がありました。

そこでAlexNetが採用したのがReLU(レルー)です。これは「マイナスの値なら0、プラスの値ならそのまま通す」という非常にシンプルな仕組みです。

例えるなら、それまでの関数が「えーっと、これは多分これくらい重要で……」と悩んでいたのに対し、ReLUは「ダメなものはダメ!良いものはそのまま行け!」と即断即決する熱血指導者のようなものです。このシンプルさのおかげで、学習速度が飛躍的に上がりました。

2. ドロップアウトでカンニングを防止

AIは真面目すぎるがゆえに、学習データを丸暗記してしまうことがあります。これを専門用語で過学習と呼びます。テストで言えば、問題の意味を理解せずに答えの数字だけを暗記してしまい、本番で少し問題が変わると解けなくなる状態ですね。

これを防ぐために導入されたのがドロップアウトです。これは、学習のたびにランダムに一部のニューロン(計算ユニット)をお休みさせる手法です。

「今日はこのメンバーだけで問題を解いてみて!」とあえて不完全なチームで練習させることで、特定のユニットに頼りすぎない、タフなネットワークを作り上げることができます。

3. GPUというエンジンの載せ替え

AIの学習には膨大な計算が必要です。それまではパソコンの頭脳であるCPUが頑張って計算していましたが、AlexNetはゲームの画像処理などに使われるGPUを計算に利用しました。

CPUが「一人の超天才が順番に問題を解く」スタイルなら、GPUは「数千人の作業員が並列で一斉に単純作業をこなす」スタイルです。大量の画像を処理する画像認識において、この物量作戦は劇的な効果を発揮しました。

AlexNetのメリットとデメリット

ここで、AlexNetの特徴を表にまとめてみましょう。

項目メリットデメリット
学習精度従来の手法を圧倒する認識力現代の最新モデルに比べると精度は低い
学習速度ReLUにより格段に速くなったそれでも高性能なGPUが必須
汎用性様々な画像に対応できる構造が深く、メモリ消費量が多い

当時は最強だったAlexNetも、今となっては「古き良き名車」のような存在です。しかし、その設計思想は現在の最新AIにも脈々と受け継がれています。

算数の視点から見るAlexNetのすごさ

AlexNetの凄さを少しだけ数字で感じてみましょう。このモデルには、学習すべきパラメーター(設定値)が約6000万個もあります。

もし私たちが手動でこの値を調整しようとしたら、一生かかっても終わりません。

学習データの総数を N とし、1枚の画像を処理する手間を T とすると、全体の計算量は

全体の手間 = N \times T

となります。AlexNetは、この N が120万枚という途方もない規模だったのです。この膨大な計算を、先ほど紹介したGPUの並列処理でねじ伏せたわけですね。

ジェフリー・ヒントン教授について

AlexNetの開発チームを率いたのは、ディープラーニングの父と呼ばれるジェフリー・ヒントン教授です。

当時の常識を打ち破った立役者について、もう少し深くお話ししてもよろしいでしょうか。

AIの冬を耐え抜いた不屈の天才

ジェフリー・ヒントン教授は、世界中が「AI(ニューラルネットワーク)なんて、計算が複雑すぎて実用化は無理だ」と諦めていた冬の時代に、何十年も研究を続けてきた人物です。

例えるなら、誰もが「そんな場所には金鉱なんてない」と去っていった荒野で、一人黙々とスコップを動かし続けた開拓者のような存在です。そして2012年、ついに掘り当てた巨大な金脈が、このAlexNetだったわけです。

当時の学会では、教授の功績を称えて次のような評価がなされました。

  • 不可能と言われた多層のネットワークを実用化した
  • バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)という学習の基本アルゴリズムを広めた
  • 2018年には、コンピュータ科学のノーベル賞と呼ばれるチューリング賞を受賞した

なぜヒントン教授は勝てたのか

それは、彼が単なる数学者ではなく、人間の脳がどうやって学んでいるかという認知科学の視点を持っていたからです。

ヒントン教授は、脳の仕組みを数式で再現することに情熱を注ぎました。彼が目指したのは、単なる計算機ではなく「人間のように直感で理解する機械」でした。

さあ、次の一歩を踏み出しましょう

AlexNetの登場により、AIは「人間が教えるもの」から「データから自ら学ぶもの」へと進化しました。この歴史的な転換点を知ることは、現代のAI技術を理解する上で欠かせない土台となります。

みなさん、AlexNetがいかにしてAIの歴史を変えたか、そのワクワク感は伝わりましたか。

さて、AlexNetの仕組みが分かったところで、次はより進化した「VGG」や「ResNet」といったモデルについて調べてみるのはいかがでしょうか。これらはAlexNetが作った道をさらに広げ、現代の顔認証や自動運転技術に直結しています。

もっと詳しくAIの進化の系統樹を知りたい、というリクエストがあればいつでも教えてくださいね。一緒にAIの深い世界を冒険していきましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。