同じ結果でも伝え方でYESを引き出す!ネゴシエーションを有利に進めるフレーミング術
こんにちは。ゆうせいです。
これまで、損失回避バイアスや環境作り、そしてクロージングの技術についてお話ししてきましたね。
最後に、交渉(ネゴシエーション)の場において、相手の判断を劇的に変える「魔法のメガネ」のようなテクニックをお伝えします。
それがフレーミング効果です。
同じ内容を伝えているはずなのに、言い方ひとつで相手が「得をした!」と感じたり「損をしたくない!」と身構えたりするのはなぜでしょうか?
交渉のテーブルで主導権を握るための、情報の見せ方をマスターしましょう。
フレーミング効果とは何か
フレーミング効果とは、情報のどの部分を強調するか(=どの枠組みで切り取るか)によって、受け手の意思決定が変わってしまう心理現象です。
例えば、手術を控えた患者さんに医師が説明する場面を想像してください。
- 「この手術の生存率は 95パーセント です」
- 「この手術の死亡率は 5パーセント です」
数値上の事実は全く同じですが、どちらの説明を受けたときに「受けよう!」と勇気が湧きますか?
多くの人は、生存率というポジティブな枠組み(フレーム)で示された方に安心感を感じます。
逆に、死亡率というネガティブなフレームで見せられると、恐怖が勝ってしまうのです。
この関係を数式のようなイメージで捉えると、以下のようになります。
ポジティブな表現 生存の期待
承諾
あなたは、普段の会話で無意識に「ネガティブなフレーム」を選んでしまっていませんか?
専門用語の解説:属性フレーミング
属性フレーミングとは、ある対象が持つ特定の性質(属性)を、ポジティブに表現するかネガティブに表現するか、という手法です。
これをビジネスの交渉に例えてみましょう。
「このプロジェクトは、80パーセント の確率で成功します」と言うのと、「このプロジェクトは、20パーセント の確率で失敗します」と言うのでは、相手の食いつきが全く違います。
高校生にも分かりやすく言うなら、テストの点数を親に報告するときです。
「半分も間違えちゃった」と言うよりも、「半分も正解できたよ!」と言う方が、怒られるリスクを減らせるかもしれませんね。
専門用語の解説:ゴール・フレーミング
ゴール・フレーミングとは、ある行動をとったときに得られる「利益」を強調するか、その行動をとらなかったときに被る「損失」を強調するか、という手法です。
ここで、以前お話しした損失回避バイアスが再登場します!
ネゴシエーションにおいて、相手を動かしたいときは「損失」を強調した方が強力なパワーを発揮することが多いのです。
例えば、省エネ家電を勧めるとき。
- 利益フレーム:「これを使えば、年間で 1万円 節約できますよ」
- 損失フレーム:「これを使わないと、年間で 1万円 も無駄にすることになりますよ」
後者の方が、相手の心に「今すぐ変えなきゃ!」という火をつけやすいのです。
あなたなら、どちらの言い回しに心が動かされますか?
ネゴシエーションにおけるメリットとデメリット
メリット
- 相手の視点をコントロールできるこちらが望む方向に相手の注目を集め、議論の土俵を整えることができます。
- 感情的な対立を避けられる言葉の選び方を工夫するだけで、厳しい条件交渉も「お互いの利益を守るための話し合い」という前向きなフレームに変換できます。
デメリット
- 歪曲しすぎると信頼を失う事実を捻じ曲げて伝えると、後で嘘が発覚したときに取り返しのつかない不信感を生みます。
- 相手のタイプを見極める必要がある前回お話しした「促進焦点」と「予防焦点」を思い出してください。相手に合わせてフレームを使い分ける高度な判断が求められます。
交渉で使えるフレーミングの具体例
実際の交渉現場で使える言い換えを、表にまとめました。
| 交渉の場面 | 避けるべき表現(ネガティブ) | 活用すべき表現(ポジティブ/損失回避) |
| 価格交渉 | 「 2割 も値引きしなきゃいけないんですか?」 | 「 8割 の価格で提供できる方法を考えましょう」 |
| 納期交渉 | 「完成まであと 1ヶ月 もかかります」 | 「 1ヶ月 後には完璧な状態でお渡しできます」 |
| 提案の拒否防止 | 「この案を採用しないと損をします」 | 「この案を採用することで、今の損失をゼロにできます」 |
「あと 1ヶ月 も」を「 1ヶ月 後には」に変えるだけで、待ち遠しいポジティブな時間に変わります。
言葉のフレームひとつで、世界の色が変わるのです。
まとめ:言葉のメガネを掛け替えよう
ネゴシエーションとは、お互いの妥協点を探る苦しい作業ではなく、お互いにとって最も心地よいフレームを見つけるクリエイティブな作業です。
あなたが提案をするとき、その言葉は相手にとって「希望の光」に見えているでしょうか?
それとも「避けるべき泥沼」に見えているでしょうか?
フレーミングの技術を使えば、あなたは相手の目に見える景色を、自由にデザインすることができるのです。
今後の学習の指針
まずは、テレビのニュースや広告を観察してみてください。
「なぜこの表現を使っているんだろう?」「別の言い方に変えたらどう感じるだろう?」と考える癖をつけるのが、フレーミングの達人への近道です。
さらにステップアップしたい方は、認知心理学の世界を覗いてみてください。
人間の脳がどのように情報を処理し、騙され、そして納得するのか。その仕組みを知れば知るほど、あなたの交渉術はより優しく、より強力なものになります。
これまで全4回にわたって、心理学を活かした説得の極意をお伝えしてきました。
これらの知識が、あなたの人生をより豊かでスムーズなものに変えていくことを、心から願っています!
これまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
また新しいテーマでお話しできる日を楽しみにしていますね!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。