JavaのDTOとJavaBeansの違いとは?役割と採用するメリットを解説

こんにちは。ゆうせいです。

新人研修中に受講者から以下の質問をいただきました。

JavaのDTOとJavaBeansの違いは何ですか?

今回はこの質問に答えたいと思います。

Javaのオブジェクト指向プログラミングを学ぶ中で、データのやり取りを行うクラスの設計に迷うことはありませんか。特に、DTOとJavaBeansという2つの言葉は、どちらもデータを扱う仕組みであるため、混同されやすい概念です。

この記事では、DTOがJavaBeansである必要があるのかという疑問に対して、客観的な事実に基づき、初心者の方にも分かりやすく解説します。

DTOとJavaBeansの基本的な定義

まず、それぞれの言葉が何を指しているのか、定義を確認しましょう。

DTO(Data Transfer Object)とは、システム内の異なる階層間、あるいはネットワーク越しにデータを効率よく運ぶためにデザインされたオブジェクトです。高校生の日常で例えるなら、学校のクラス間で配布物をまとめて運ぶための専用のファイルのようなものです。

一方で、JavaBeansとは、Javaで作成されたプログラムの部品化に関する特定の規約(ルール)に従って作られたクラスのことです。具体的には、以下の3つのルールを満たす必要があります。

  • 引数のないコンストラクタを持つこと
  • プロパティにアクセスするためのgetterメソッドとsetterメソッドを持つこと
  • 直列化(Serializable)に対応していること

JavaBeansは、誰もが同じように扱えるように規格化された、標準的な収納ボックスのようなものだとイメージしてください。

DTOはJavaBeansである必要があるのか

結論から申し上げますと、DTOは必ずしもJavaBeansである必要はありません。

DTOの本質的な目的は、データを移動させることです。そのため、データを運ぶという目的さえ達成できれば、JavaBeansのルールを守っていなくてもDTOとして成立します。

例えば、近年広く使われているJavaのバージョン14以降では、recordという機能が登場しました。recordは、データを変更できない状態で安全に運ぶための仕組みですが、JavaBeansのルールであるsetterメソッドを持ちません。現代のJava開発では、JavaBeansのルールに従わないDTOも一般的に使われています。

DTOをJavaBeansにするメリット

DTOをJavaBeansの規格に合わせて作成することには、明確な事実としてのメリットがあります。

  • 外部のフレームワークやライブラリとの連携が容易になるJavaのWeb開発で広く使われているSpring Frameworkなどの各種フレームワークは、JavaBeansのルールを前提に作られています。JavaBeansとしてDTOを作ると、画面からの入力値を自動的にDTOへ詰め込んだり、データベースの情報を自動的に反映させたりする機能がスムーズに動作します。
  • コードの標準化につながるJavaBeansという共通のルールに従うことで、どの開発者が書いても同じような構造のクラスになります。開発チーム内でのコードの読みやすさが向上し、保守管理が容易になります。

DTOをJavaBeansにするデメリット

一方で、JavaBeansのルールに従うことによるデメリットも存在します。

  • データの安全性が低下する可能性があるJavaBeansはsetterメソッドを持つルールであるため、一度作成したデータを後から自由に変更できてしまいます。プログラムの意図しない場所でデータが書き換えられるリスクが生じ、バグの原因になることがあります。
  • コードの記述量が増加するすべてのプロパティに対してgetterやsetter、コンストラクタを記述する必要があるため、クラス全体の行数が長くなり、本質的な処理が見えにくくなります。

まとめと今後の学習ステップ

DTOはデータを運ぶ役割そのものを指し、JavaBeansはクラスの作り方のルールを指します。したがって、DTOをJavaBeansとして作るかどうかは、使用するフレームワークの仕様や、データの変更を許可するかどうかという設計方針によって判断されます。

理解をさらに深めるために、以下のステップで学習を進めることをお勧めします。

  1. 実際にJavaのプログラムを書き、getterとsetterを持つシンプルなJavaBeansのクラスを作成してみる。
  2. データベースからデータを取得するプログラムにDTOを取り入れ、データの流れを確認する。
  3. Javaのrecord機能について調べ、JavaBeansで作ったDTOとの構造の違いを比較する。

提示した手順を順に実践することで、状況に応じた適切なデータ設計を行えるようになります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。