ChatGPTのDeep researchとは?新人エンジニア向けに調査AIの使い方を解説

こんにちは。ゆうせいです。

新人研修中に受講者から以下の質問をいただきました。

ChatGPTのDeep researchとは何ですか?

この質問に答えます。

名前だけ聞くと、少し難しそうですよね。

「普通のChatGPTと何が違うの?」

「検索して答えるだけじゃないの?」

「システム開発でも使えるの?」

このように感じる方も多いと思います。

結論から言うと、ChatGPTのDeep researchは、複雑なテーマについて、複数の情報源を調べ、内容を整理し、引用付きのレポートとしてまとめてくれる調査機能です。

OpenAI公式では、deep researchはChatGPTで使えるエージェント型の機能であり、複雑なタスクに対してインターネット上で複数ステップのリサーチを行う機能だと説明されています。

Deep researchとは何か

Deep researchとは、ChatGPTがユーザーの代わりに、時間をかけて情報を調べ、比較し、整理してくれる機能です。

普通のChatGPTとの大きな違いは、「その場で短く答える」よりも、「調査計画を立てて、複数の情報源を確認し、構造化されたレポートを作る」ことに向いている点です。

OpenAIのヘルプでは、deep researchは公開ウェブ、アップロードしたファイル、接続済みアプリなどを利用でき、調査計画を確認・修正したうえで、引用や参照リンク付きの構造化レポートを受け取れる機能として説明されています。

たとえるなら、普通のChatGPTは「近くにいる物知りな先輩に質問する」イメージです。

一方で、Deep researchは「先輩に時間を渡して、資料を調べてもらい、あとで調査レポートを出してもらう」イメージです。

どちらが上という話ではありません。

目的が違います。

使い方向いていること
普通のChatGPT短い質問、コードの相談、考え方の整理、文章の作成
Deep research複数サイトの調査、技術比較、市場調査、仕様調査、レポート作成

なぜDeep researchが必要なのか

エンジニアの仕事では、コードを書く前に調べる時間がかなりあります。

たとえば、次のような場面です。

調べたいこと具体例
技術選定ReactとVueのどちらを使うべきか
ライブラリ調査認証ライブラリの特徴や注意点を比較したい
クラウドサービス比較AWS、Azure、Google Cloudの違いを整理したい
セキュリティ確認ログイン機能で注意すべき脆弱性を調べたい
業務理解決済、予約、在庫管理などの基本用語を調べたい

新人エンジニアのうちは、調べ物に時間がかかります。

検索して、記事を開いて、別の記事と比べて、公式ドキュメントを読んで、メモして……。

気づいたら2時間たっていた、という経験はありませんか?

Deep researchは、このような調査作業を助けてくれます。

図書館でたとえるなら、普通の検索は「本棚を自分で歩き回る」作業です。

Deep researchは「司書さんにテーマを伝えて、関連する本を探し、要点をまとめてもらう」作業に近いです。

もちろん、最後に内容を確認するのは自分です。

ここは忘れないでください!

Deep researchは何をしてくれるのか

Deep researchがやってくれることは、大きく分けると次の5つです。

作業内容
調査計画を立てるどの観点で調べるかを整理する
情報源を探すウェブや指定された情報源を確認する
内容を比較する複数の情報を見比べて違いを整理する
結論をまとめる調査結果をレポートとして構造化する
参照元を示す引用や参照リンクを付けて検証しやすくする

特に大事なのは、参照元を示してくれる点です。

エンジニアの仕事では、「AIがそう言っていました」だけでは足りません。

公式ドキュメント、仕様書、信頼できる資料を確認する必要があります。

Deep researchは引用や参照リンク付きのレポートを出すため、後から情報の根拠を確認しやすくなります。

エージェント型とは何か

Deep researchを説明するとき、「エージェント型」という言葉が出てきます。

エージェント型とは、AIが単に一問一答で返すだけでなく、目的に向かって複数の手順を進める仕組みのことです。

エージェントという言葉には、「代理で動く人」という意味があります。

たとえば、旅行代理店を想像してください。

あなたが「北海道旅行をしたい」と伝えると、代理店の人は次のように動きます。

手順内容
目的を確認する観光なのか、温泉なのか、スキーなのかを聞く
条件を整理する予算、日程、人数を確認する
候補を調べる飛行機、ホテル、観光地を探す
比較する安さ、便利さ、満足度を比べる
提案するおすすめプランを出す

Deep researchも似ています。

ユーザーの調査テーマを受け取り、必要な情報を探し、比較し、まとめて返します。

ただし、旅行代理店と同じで、条件をあいまいに伝えると、出てくる結果もあいまいになります。

だから、依頼の仕方がとても大切です。

普通のChatGPTとの違い

普通のChatGPTとDeep researchの違いを、もう少し整理してみましょう。

項目普通のChatGPTDeep research
回答の速さ比較的すぐ返ってくる調査に時間がかかる
向いている質問単発の質問や相談複雑な調査や比較
情報源の扱い会話中心複数の情報源を調べてまとめる
出力形式短い回答から長文までレポート形式に向いている
使う場面日常的な相談、コード解説技術調査、競合調査、深掘り調査

OpenAI公式の記事では、deep researchは深さと詳細さが重要な調査に向いており、膨大な調査を実行し、それぞれに引用を付けた詳細な成果物を作れると説明されています。

つまり、Deep researchは「ちょっと聞きたい」ときよりも、「しっかり調べたい」ときに使う機能です。

新人エンジニアが使うべき場面

新人エンジニアがDeep researchを使うなら、次のような場面がおすすめです。

技術の比較をしたいとき

たとえば、次のような質問です。

「Spring BootとQuarkusの違いを、業務システム開発の観点で比較してください」

「PostgreSQLとMySQLの違いを、新人エンジニアにもわかるように整理してください」

「React、Vue、Svelteの特徴を、学習コストと案件数の観点で比較してください」

技術比較では、1つの記事だけを読んでも偏ることがあります。

Deep researchを使うと、複数の情報源を見たうえで整理してくれるため、最初の全体像をつかみやすくなります。

知らない業務領域を調べたいとき

新人エンジニアは、技術だけでなく業務も学ぶ必要があります。

たとえば、販売管理、在庫管理、勤怠管理、予約管理、請求管理などです。

業務システムでは、業務知識がないとコードの意味もわかりにくくなります。

たとえるなら、野球のルールを知らないままスコアボードを作るようなものです。

数字は表示できても、「打点」「防御率」「エラー」の意味がわからなければ、正しい画面は作れません。

Deep researchを使えば、業務の基本用語や流れを調べる入口として使えます。

公式ドキュメントを読む前の予習をしたいとき

公式ドキュメントは大切です。

でも、新人のうちは難しく感じることがあります。

いきなり英語の公式ドキュメントを読むと、知らない単語が多くて疲れますよね。

そんなとき、Deep researchで全体像を整理してから公式ドキュメントを読むと、理解しやすくなります。

山登りでたとえるなら、いきなり登るのではなく、先に地図を見るようなものです。

どこに山頂があり、どこに分かれ道があり、どこが危ないのかを知ってから歩くと安心です。

新人エンジニアが使うときの質問例

Deep researchは、質問の書き方がとても大事です。

あいまいな質問よりも、目的、前提、比較観点、出力形式を伝えると良い結果になりやすいです。

悪い質問良い質問
Reactについて調べて新人エンジニア向けに、Reactの特徴、学習コスト、Vueとの違い、業務システムで使うメリットと注意点を整理してください
認証について教えてWebアプリのログイン機能について、Cookie、セッション、JWTの違いを、セキュリティ上の注意点も含めて比較してください
DBを比較してPostgreSQLとMySQLを、業務システム、運用、学習コスト、クラウド対応の観点で比較してください

おすすめの型は、次の形です。

「私は新人エンジニアです。〇〇について、△△の目的で調べたいです。比較観点はA、B、Cです。最後に表でまとめてください。」

このように書くと、Deep researchが何を調べればよいのか判断しやすくなります。

システム開発での活用例

システム開発では、Deep researchを次のように使えます。

工程使い方
要件定義似た業務や一般的な機能を調べる
設計アーキテクチャや設計パターンを比較する
実装前使うライブラリやフレームワークの注意点を調べる
テスト一般的なテスト観点や障害パターンを整理する
運用監視、ログ、セキュリティ対策のベストプラクティスを調べる

たとえば、ログイン機能を作る前に、次のように依頼できます。

「新人エンジニア向けに、Webアプリのログイン機能を作る前に理解すべき認証と認可の違い、セッション管理、Cookie、JWT、CSRF、XSSについて調査し、実装時の注意点を表で整理してください。」

このように依頼すると、単なる用語説明ではなく、実装前に知るべき観点がまとまりやすくなります。

Deep researchのメリット

Deep researchのメリットは、調査の初動が速くなることです。

新人エンジニアにとって、最初の壁は「何を調べればよいのかわからない」ことです。

Deep researchは、調べる観点を広げる助けになります。

メリット内容
全体像をつかみやすい複数の情報を整理してくれる
比較に強い技術やサービスの違いを表にしやすい
引用を確認できる情報の根拠をたどりやすい
調査観点が増える自分では気づかなかった論点を見つけやすい
レポート化しやすい上司やチームに共有しやすい形でまとまる

たとえるなら、Deep researchは「調査の下ごしらえ」をしてくれる道具です。

料理でいうと、野菜を洗って、切って、材料ごとに分けてくれるようなものです。

でも、最終的にどんな料理にするか、味が正しいかを判断するのは人間です。

Deep researchのデメリットと注意点

Deep researchは便利ですが、万能ではありません。

特に新人エンジニアは、次の点に注意してください。

注意点内容
時間がかかる複雑な調査ではすぐに回答が返らない
確認が必要引用元や公式情報を自分でも確認する必要がある
質問が悪いと結果も弱くなる目的や条件があいまいだと調査もぼやける
社内情報には注意機密情報や個人情報を不用意に入力してはいけない
判断までは任せきれない採用する技術や設計は人間が責任を持つ

OpenAI公式では、deep researchの作業には5分から30分ほど幅があると説明されています。複雑なウェブ調査を行うため、通常のチャットより時間がかかる場合があります。

また、AIの出力をそのまま信じ切るのは危険です。

とくに、セキュリティ、法律、医療、金融、契約、個人情報に関わる内容では、必ず公式資料や専門家の確認が必要です。

新人エンジニアは、「AIが言っているから正しい」ではなく、「AIが出した調査結果を出発点にして、自分で確認する」と考えてください。

Deep researchと検索エンジンの違い

検索エンジンは、関連しそうなページを一覧で出してくれます。

Deep researchは、それらの情報を調べて、比較し、文章としてまとめてくれます。

項目検索エンジンDeep research
主な役割情報源を探す情報源を調べて整理する
出力リンク一覧引用付きレポート
利用者の作業自分で読んで比較するまとめを確認し、根拠を検証する
向いている場面特定ページを探す複雑なテーマを調べる

検索エンジンは「地図」です。

Deep researchは「地図を見ながら調査メモを作ってくれる助手」です。

地図そのものが必要なときは検索エンジンが便利です。

調べた内容を比較してまとめたいときはDeep researchが便利です。

新人エンジニアがやりがちな失敗

Deep researchを使うとき、新人エンジニアがやりがちな失敗があります。

失敗1:調査結果をそのまま設計に使う

Deep researchが出した内容は、とてもそれらしく見えます。

でも、自分のプロジェクトにそのまま当てはまるとは限りません。

たとえば、「JWTが便利」と書かれていても、社内の認証基盤、セキュリティ要件、運用ルールによっては、別の方法が適切な場合があります。

学校の制服を考えてみてください。

他校で人気の制服が、自分の学校にも合うとは限りませんよね。

校則、季節、予算、動きやすさなど、条件が違います。

技術選定も同じです。

失敗2:公式ドキュメントを読まない

Deep researchは、公式ドキュメントを読む前の予習として便利です。

でも、予習だけで終わってはいけません。

実装するときは、必ず公式ドキュメントを確認してください。

特にライブラリやクラウドサービスは、仕様や料金、制限が変わることがあります。

AIのまとめだけを見て実装すると、古い情報や条件違いに気づけない場合があります。

失敗3:質問が大きすぎる

たとえば、次の質問は大きすぎます。

「Web開発について全部調べて」

範囲が広すぎると、結果も広く浅くなります。

新人エンジニアには、質問を小さく分けることをおすすめします。

大きすぎる質問分けた質問
Web開発を調べてWebアプリのログイン機能に必要な要素を調べて
セキュリティを教えて入力フォームで注意すべきXSSとCSRFを比較して
クラウドを比較して小規模WebアプリをAWSで動かす場合の代表的な構成を調べて

質問は、大きな岩を小さく割るように分けましょう。

小さくすると、調査結果も使いやすくなります。

Deep researchを上手に使うコツ

Deep researchを上手に使うには、依頼文に次の情報を入れると効果的です。

入れる情報
自分の立場新人エンジニアです
目的ログイン機能を設計する前に理解したいです
調査範囲Cookie、セッション、JWTを対象にしてください
比較観点安全性、実装難易度、運用のしやすさで比較してください
出力形式表と初心者向けの説明でまとめてください

良い依頼文の例です。

「私は新人エンジニアです。Webアプリのログイン機能を作る前に、Cookie、セッション、JWTの違いを理解したいです。安全性、実装難易度、運用のしやすさ、よくある失敗の観点で比較し、最後にどの場面でどれを選ぶべきかを表で整理してください。」

このように書くと、調査の方向がはっきりします。

Deep researchに限らず、AIを使うときは「何を知りたいか」よりも「何のために知りたいか」が大事です。

Deep researchは新人エンジニアの学習に役立つのか

役立ちます。

ただし、使い方を間違えると、わかった気になるだけで終わります。

学習に使うなら、次の流れがおすすめです。

手順やること
1Deep researchで全体像を調べる
2知らない用語をメモする
3公式ドキュメントや信頼できる資料を読む
4小さなサンプルコードを書く
5先輩やチームに確認する

読むだけで終わらせないでください。

エンジニアは、手を動かして理解が深まります。

自転車の乗り方を100ページ読んでも、実際に乗らなければ乗れるようになりませんよね。

プログラミングも同じです。

まとめ

ChatGPTのDeep researchとは、複雑なテーマについて、複数の情報源を調べ、比較し、引用付きのレポートとしてまとめてくれる調査機能です。

普通のChatGPTが「すぐ相談できる先輩」だとすれば、Deep researchは「時間をかけて資料を調べ、レポートを作ってくれる調査アシスタント」です。

新人エンジニアにとっては、技術比較、業務理解、公式ドキュメントを読む前の予習、設計前の調査に役立ちます。

覚えておきたいこと内容
Deep researchは調査向け短い質問より、複雑な比較や調査に向いている
引用を確認する出力を信じ切らず、根拠をたどる
質問を具体化する目的、前提、比較観点、出力形式を伝える
公式情報も読む実装や設計では必ず一次情報を確認する
最後は人間が判断する採用する技術や設計には責任が伴う

一言でまとめるなら、こうです。

Deep researchは、調べ物を代わりに終わらせる魔法ではなく、調べ物の質と速度を上げるための強力な助手です。

新人エンジニアのうちは、Deep researchに「答え」を丸投げするのではなく、「調査の入口」を作ってもらいましょう。

今後は、Deep researchとあわせて、公式ドキュメントの読み方、技術選定の考え方、一次情報と二次情報の違い、セキュリティ調査の基本を学ぶと、AI時代でも信頼されるエンジニアに近づけます。

まずは、自分が今学んでいる技術について「新人エンジニア向けに、メリット、デメリット、使いどころ、注意点を調査してください」と依頼してみてください。AIに調べさせるだけでなく、自分で確認し、手を動かすところまで進めていきましょう!

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。