「エンコーダー・デコーダーモデルとは?画像が“同じ”で出てこない理由をわかりやすく解説」

こんにちは。ゆうせいです。

この記事のタイトルはこちらです:

さて、ご質問の内容に入っていきましょう。


エンコーダー・デコーダーモデルでは画像は完全には再現されない?

結論からお伝えすると、

入力した画像と全く同じものが出力されるとは限りません。

それにはしっかりとした理由があります。順を追って説明しますね。


エンコーダー・デコーダーモデルとは?

まずはこのモデルの基本構造から。

エンコーダー・デコーダー(Encoder-Decoder)モデルとは、情報をいったん圧縮(エンコード)し、それをもとに何かを再構築(デコード)するモデルです。

図にするとこのようになります:

入力画像 → エンコーダー → 潜在表現(特徴ベクトル) → デコーダー → 出力画像

この流れをイメージしながら読み進めてください。


エンコードとデコードって何をしているの?

エンコード:画像を要約する

エンコーダーは、入力された画像の情報をぎゅっと圧縮して「特徴」だけを取り出します。これは「潜在空間(latent space)」と呼ばれるベクトル(数値の並び)に変換されます。

たとえば、猫の写真を入力すると、「猫らしさ」や「毛の模様」「耳の形」などが数字として表現されるわけですね。

デコード:特徴から再構築する

デコーダーは、その数値情報(特徴ベクトル)を元に、画像を再構築します。ただし、一度圧縮された情報から復元するため、完全なコピーにはなりません。


なぜ同じ画像にならないの?

理由は大きく分けて2つあります。

① 情報のロスがある(損失)

エンコードの時点で、人間にとって重要でない情報(背景の細かいノイズやピクセルの微妙な色など)はカットされてしまいます。
つまり「ざっくりとした要約」しかデコーダーには渡されません。

たとえば、「A4の紙に書いたレポートを口頭で説明して、それを聞いた人がまた書き起こす」と考えてください。元のレポートとまったく同じにはなりませんよね?

② 学習の目的が「コピー」ではない

多くのエンコーダー・デコーダーモデル(例:オートエンコーダー)は、「元画像とそっくりな画像を出す」ようには学習しますが、
その目的は「圧縮された表現を学ぶこと」にあります。

画像を完全コピーするだけなら、そもそもエンコードする必要がありません。
再構築の過程で多少の違いがあっても、重要な特徴が保たれていればOKなんです。


じゃあいつ「同じ」に近くなるの?

① 入力と出力の画像サイズ・形式が完全に同じであること

② エンコーダーとデコーダーが十分に訓練されていること

③ 潜在表現の次元数(情報量)が十分に大きいこと

これらの条件が整うと、かなり似た画像が出力されることもあります。
特にAutoencoder(自己符号化器)のようなモデルでは、訓練がうまくいけば人間の目ではほぼ区別がつかないレベルの再構築も可能です。


わかりやすく数式でも表してみましょう

エンコーダー・デコーダーの基本的な構造は次のように表せます。

数式表現(LaTeX形式):

z = f_{enc}(x)
\hat{x} = f_{dec}(z)

ここで:

  • $x$:入力画像
  • $f_{enc}$:エンコーダー関数
  • $z$:潜在表現(特徴ベクトル)
  • $f_{dec}$:デコーダー関数
  • $\hat{x}$:再構成された画像(出力)

つまり、「入力 → エンコード → デコード → 出力」という一連の流れを示しています。


エンコーダー・デコーダーの活用例

最後に、よく使われている応用例をいくつか紹介します。

モデル名使われる場面特徴
オートエンコーダーノイズ除去・画像圧縮入力と出力がほぼ同じになるように学習
VAE(変分オートエンコーダー)画像生成ランダム性を加えて多様な画像生成が可能
Seq2Seq(テキスト用)翻訳・要約テキストの系列を別の系列に変換

まとめ:完全一致を期待しすぎないこと

エンコーダー・デコーダーモデルは、「特徴を抽出して、それを元に再現する」仕組みです。

完璧なコピーではなく、“重要な情報だけを残した上での再構築”を目指している点に注意してください。


今後の学習の指針

  • オートエンコーダーとVAEの違いを深掘りしてみましょう
  • 潜在変数(latent variable)の役割や意味を詳しく調べるのもおすすめです
  • PyTorchやTensorFlowで簡単なオートエンコーダーを実装してみると理解が深まります!

気になるテーマがあれば、また何でも聞いてくださいね。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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