「野中郁次郎先生が共同で執筆された名著『失敗の本質』」について、新人エンジニアの皆さんにもわかりやすく解説
こんにちは。ゆうせいです。
2025年1月27日、ショッキングなニュースです。
経営学者であり、「知識創造理論」の第一人者である野中郁次郎(のなかいくじろう)先生が亡くなられたとのことです。
今回は、野中郁次郎先生が共同で執筆された名著『失敗の本質』について、新人エンジニアの皆さんにも分かりやすく解説します。この本は、過去の失敗から学ぶことで、未来に生かすための洞察を深める内容です。エンジニアリングやプロジェクト管理においても非常に参考になるポイントが多いので、ぜひ読んでみてください。
『失敗の本質』とは?
『失敗の本質』は、日本軍の太平洋戦争での戦略的失敗を分析し、その原因や背景を明らかにした書籍です。ただし、この本は戦争そのものを批判するものではなく、組織が陥りやすい失敗のパターンを浮き彫りにし、それを現代の組織論に応用しようとしています。
エンジニアリングの現場でも、「なぜプロジェクトが失敗したのか」を深掘りすることは非常に重要です。この書籍を学ぶことで、失敗を次に生かすヒントを得ることができます。
『失敗の本質』から学ぶ3つの重要な視点
1. 戦略の欠如と目的の不明確さ
書籍の中では、日本軍が大局的な戦略を欠き、短期的な勝利を追い求めたことが指摘されています。これは、エンジニアリングプロジェクトにも通じる話です。
- エンジニアリングの例
新しいシステムを開発する際、全体の目的を見失い、目の前の課題ばかりに取り組んでしまうことがあります。たとえば、ユーザーのニーズを無視して機能を増やし続ける「機能過剰(feature creep)」がこれに該当します。 - 学び
目的やゴールを明確にし、それを共有することが大切です。プロジェクトの初期段階で「なぜこの開発をするのか」を全員で議論しましょう。
2. 現場主義に頼りすぎるリーダーシップ
日本軍では、現場の判断に依存しすぎた結果、統一的な指揮が取れず、各部隊がバラバラに行動したことが指摘されています。これも現代のプロジェクトでありがちな問題です。
- エンジニアリングの例
チーム内でリーダーが全体の方向性を示さず、個々のエンジニアが独自の判断でコードを書き進めてしまうと、統一感が欠け、後で修正が大変になります。 - 学び
チーム全体での連携が重要です。リーダーは全体のビジョンを共有し、メンバーが独立して動きつつも、一貫性のある成果を出せる環境を作りましょう。
3. 失敗からの学びが不十分
日本軍では、過去の戦闘での失敗を体系的に分析することなく、同じ失敗を繰り返しました。これは、エンジニアリングの世界でも見られる問題です。
- エンジニアリングの例
システム障害が発生したとき、原因分析をせず、表面的な対応だけで終わらせてしまうと、同じ問題が再発します。 - 学び
振り返りの場(レトロスペクティブ)を設け、失敗の原因とその背景を深く掘り下げることが重要です。失敗を記録し、今後に生かす仕組みを整えましょう。
エンジニアリング現場での具体的な活用法
1. 戦略を明確にする
- プロジェクトの開始時に、目的やスコープをチーム全体で共有する。
- プロジェクトチャーター(目的や成果物、スケジュールなどを記載した文書)を作成し、関係者全員が確認できるようにする。
2. チームの連携を強化する
- 毎日のデイリースクラムを活用して、全員が同じ方向を向けるようにする。
- チーム内で明確な役割分担を決めつつも、メンバー間で情報共有を徹底する。
3. 失敗から学ぶ文化を作る
- 問題が発生した場合、原因分析を徹底する(5回の「なぜ」を繰り返して根本原因を探る「5 Whys分析」などが有効)。
- 振り返り会を定期的に実施し、改善案を次のプロジェクトに反映する。
まとめ:失敗は未来の成功の種
『失敗の本質』が教えてくれるのは、失敗をいかに未来に生かすかという視点です。エンジニアリングの現場でも、失敗を隠したり忘れたりするのではなく、そこから学び、チーム全体で共有することが大切です。
最後に、自分自身やチームの失敗を振り返る時間を持ってみてください。その経験が、あなた自身やチームの成長に大きくつながるはずです。失敗を恐れず、未来に向けて一歩を踏み出しましょう!
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投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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