「野中郁次郎(のなかいくじろう)先生の功績」について、新人エンジニアの皆さんにもわかりやすく解説

こんにちは。ゆうせいです。

2025年1月27日、ショッキングなニュースです。
経営学者であり、「知識創造理論」の第一人者である野中郁次郎(のなかいくじろう)先生が亡くなられたとのことです。

先生の功績について、新人エンジニアの方々にも分かりやすくお伝えします。エンジニアリングの分野においても重要な示唆を与える内容なので、ぜひ最後まで読んでみてください!


野中郁次郎先生とは?

野中郁次郎先生は、日本の経営学者で、知識創造理論(Knowledge-Creation Theory)の提唱者として世界的に有名です。ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文「The Knowledge-Creating Company(知識創造企業)」は、世界中で多くの経営者や研究者に読まれました。この理論は、組織やチームがどのようにして新しい知識を生み出し、それを活用していくのかを解明したものです。

例えば、エンジニアリングの現場で「新しい技術を開発したい」「チームで効率よく情報共有したい」と考えるときに、この理論が非常に役立ちます!


知識創造理論とは?

知識創造理論の核心は「暗黙知(あんもくち)」と「形式知(けいしきち)」という2つの知識の概念です。

暗黙知とは?

暗黙知とは、言葉や数式で表現しにくい、経験や直感に基づいた知識です。たとえば、「熟練のプログラマーがバグの原因を感覚的に見つける能力」や、「長年の経験から身に付けた手順」などが該当します。

形式知とは?

形式知は、文章や図、数式のように、誰もが共有しやすい形で表現された知識です。たとえば、「プログラミングのマニュアル」や「コードのコメント」などがこれに当たります。


SECIモデルとは?

野中先生が提唱した「SECIモデル(セキモデル)」は、暗黙知と形式知がどのように相互作用し、新しい知識を生み出すかを示したものです。このモデルの名前は以下の4つのプロセスの頭文字を取っています。

  1. Socialization(共同化)
    暗黙知から暗黙知へ知識を共有するプロセス。
    例:ベテランエンジニアが新人に口頭でコツを伝える。
  2. Externalization(表出化)
    暗黙知を形式知に変えるプロセス。
    例:ベテランエンジニアがノウハウをドキュメント化する。
  3. Combination(連結化)
    形式知同士を組み合わせて新しい知識を創造するプロセス。
    例:異なるチームがそれぞれの仕様書を統合し、新しいシステムを設計する。
  4. Internalization(内面化)
    形式知を暗黙知に変えるプロセス。
    例:マニュアルを何度も実践し、自分のスキルとして身につける。

エンジニアリング現場での応用

野中先生の理論は、エンジニアリングの現場でも役立ちます。例えば、以下のような場面で活用できます。

1. チームでの情報共有

新人エンジニアがベテランから学ぶとき、暗黙知を形式知に変換するプロセスが重要です。たとえば、ベテランが経験的に覚えた「よくあるバグの原因」をドキュメントにまとめて、チーム全体で共有すれば、トラブルシューティングの効率が上がります。

2. ナレッジマネジメントツールの活用

SECIモデルに基づいて、知識の蓄積や共有が進むように、Wikiやドキュメント管理ツールを効果的に使うことができます。具体的には、次のような仕組みが有効です。

  • 共同化:Slackやチームチャットで経験を共有する。
  • 表出化:コードレビューやデザインパターンのガイドラインを作る。
  • 連結化:ツールのAPI仕様をまとめて、全体の設計書に統合する。
  • 内面化:プロジェクトを通じてメンバーがスキルを身につける。

野中先生の功績が教えること

野中郁次郎先生の理論は、単なる知識の管理や共有ではなく、「組織として新しい価値を生み出す方法」を教えてくれます。エンジニアリングの世界では、常に新しい技術やアイデアが必要です。そのためには、個人の暗黙知を形式知化し、チーム全体で活用する仕組みを整えることが不可欠です。


今後の学びの指針

野中先生の知識創造理論は、奥が深く、さまざまな場面で応用できます。以下のステップで理解を深めてみましょう。

  1. 暗黙知と形式知の違いを意識する
    現場で使われている暗黙知をリストアップし、それを形式知化する方法を考えてみてください。
  2. SECIモデルを実践する
    自分のチームで「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」がどのように行われているかを観察し、改善できる部分を見つけましょう。
  3. 他分野の応用例を学ぶ
    知識創造理論は、医療や教育など多くの分野で応用されています。自分の分野と共通する点を探すと、新たな発見があるかもしれません。

知識は共有することで倍増します!ぜひ今回の内容を参考にして、チームの成長に役立ててくださいね。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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