【初心者エンジニア向け】R-CNNの種類と進化を完全解説!物体検出の進化の歴史を理解しよう!

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、物体検出の基礎としてよく登場する「R-CNN(Region-based Convolutional Neural Network)」シリーズについて、種類ごとの違いと進化の流れをわかりやすく解説していきます。

「R-CNNって1つじゃないの?」「FastとFasterの違いは?」と思った方、大丈夫です!図と表を交えて、はっきり整理していきましょう。


R-CNNとは何か?

「領域ごとに分類する」新しい物体検出のはじまり

R-CNNとは、画像から物体がありそうな領域を見つけて、それぞれにCNNを使って分類する手法です。2014年に登場し、それまで主流だった手作りの特徴量(HOGやSIFTなど)に代わって、CNNを物体検出に本格導入した初のアルゴリズムです。


R-CNNシリーズの全体像を図で見よう!

進化の流れをざっくり図にするとこうなります:

R-CNN → Fast R-CNN → Faster R-CNN → Mask R-CNN

それぞれの特徴を、順にわかりやすく説明します。


R-CNN(2014)

最初の一歩。でも処理がとても遅い…

特徴:

  • Selective Searchという手法で「物体がありそうな領域(Region Proposal)」を約2000個抽出
  • 各領域をCNNに通して特徴を抽出
  • それをSVM(サポートベクターマシン)で分類

問題点:

  • 処理がめちゃくちゃ重い(画像1枚に数十秒〜数分かかる)
  • 領域ごとにCNNを何千回も使うから非効率

例えるなら…

全部の野球選手に一人ずつインタビューして「ピッチャーですか?」「キャッチャーですか?」と確認しているような感じです。


Fast R-CNN(2015)

全体を一度CNNに通してから、個々の領域を調べる!

改善点:

  • 画像全体をCNNに一度通して、特徴マップを作成
  • そこから「物体がありそうな領域」にだけ注目して、特徴を抽出
  • 全ての処理が1つのネットワークに統合されて学習可能に!

利点:

  • R-CNNよりも数十倍速い
  • エンドツーエンド学習が可能になった

でもまだ…

  • 領域候補(Region Proposal)を作る部分(Selective Search)が遅いまま

Faster R-CNN(2015末)

完全なCNNベースの物体検出へ!

最大の進化:

  • RPN(Region Proposal Network)というCNNを使って、領域候補を自動生成

処理の流れ:

  1. 入力画像をCNNに通す
  2. 特徴マップをRPNで解析 → 物体がありそうな位置を予測
  3. その結果を使って分類&位置調整

メリット:

  • Selective Search不要!完全にCNNベースに!
  • 検出精度も高く、YOLOと並ぶ高性能モデルに!

例えるなら…

R-CNNが1人ずつ面接だったのに対して、Faster R-CNNは「カメラ映像を見て、怪しい人にだけ素早く声をかける」ような効率的な方法です。


Mask R-CNN(2017)

“どこにあるか”だけでなく“形までわかる”!

追加された機能:

  • Faster R-CNNにマスク予測ブランチ(segmentation head)を追加
  • バウンディングボックスだけでなく、物体の輪郭(マスク)をピクセル単位で予測

これにより:

  • インスタンス・セグメンテーションが可能に!
  • 医療、ロボット、自動運転など、高精度が求められる分野で活躍中

R-CNNシリーズの違いをまとめた比較表

モデル名特徴領域提案方法処理速度精度登場年
R-CNN領域ごとにCNNで分類Selective Search× 遅い○ 高め2014
Fast R-CNN画像全体を一度CNNにSelective Search△ やや速い2015
Faster R-CNNRPNで領域提案もCNNで処理RPN○ 実用的2015
Mask R-CNNFaster R-CNNにマスク機能追加RPN○ やや重い◎+形も認識2017

実践でどれを使えばいい?

  • 学習や研究の題材にしたい → Faster R-CNN(コードも豊富)
  • 形の情報も必要(医療・ロボットなど) → Mask R-CNN
  • スピード重視(リアルタイム) → YOLOなどの別手法が適していることも

今後の学習の指針

ここまでの理解を活かして、次は以下の学びを進めてみましょう。

  • R-CNN系列のアーキテクチャ図を自分で書いて比較してみる
  • PyTorchやDetectron2などで実装を動かして理解を深める
  • YOLOやSSDなどの1ステージ検出器との違いも押さえる
  • Mask R-CNNを使って、セグメンテーションも学習してみる

R-CNNシリーズは、物体検出の歴史そのもの。仕組みと進化をしっかり理解しておくことで、どんなモデルでも応用しやすくなります!

分からないことがあれば、いつでも聞いてくださいね!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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