マーケティングモデルのいろいろ
マーケティングにおいて、消費者がどのような心理や行動を経て商品やサービスを購入するのかを理解するために、いくつかのモデルが提唱されています。その中でも特に有名なのがAIDAモデルやAIDMAモデルなどです。それぞれ消費者の購買行動を段階的に説明するもので、マーケティング戦略を立てる際に役立ちます。これから、それぞれのモデルの意味や使い方について、分かりやすく解説していきます。
AIDAモデル
まずは、最も基本的なモデルであるAIDAモデルについて説明します。
AIDAとは?
AIDAは、消費者が商品やサービスを購入するまでの心理プロセスを表す4つの段階の頭文字を取ったものです。以下がその詳細です:
- A: Attention(注意)
- 消費者が商品やブランドに気づく段階です。ここでは、広告や宣伝などを通じて消費者の目を引くことが重要です。例えば、目立つビジュアルやキャッチコピーで「おっ?」と思わせることで、商品の存在を認識させます。
- I: Interest(興味)
- 商品に興味を持つ段階です。Attentionで引き付けた消費者に、商品の特徴や価値を伝えることで、さらに深く興味を持ってもらいます。例えば、「このスマホ、カメラ機能がすごいらしい」というように、特定のポイントで興味を引きます。
- D: Desire(欲望)
- 次に、消費者はその商品を欲しいと思う段階に進みます。商品の魅力が伝わり、「自分にとって必要だ」と感じるようになることが目的です。たとえば、「このカメラなら自分の旅行写真がもっと素敵に撮れる!」と感じさせることです。
- A: Action(行動)
- 最終的に、消費者が購入という行動を取る段階です。この段階では、商品を購入するための決定的な要因を提供することが求められます。例えば、割引キャンペーンや限定特典などが、購入を後押しする効果を持つことがあります。
AIDMAモデル
次に、AIDAモデルをさらに発展させたモデルであるAIDMAモデルについて見てみましょう。
AIDMAとは?
AIDMAは、AIDAモデルに「M: Memory(記憶)」という要素が追加されたものです。現代の消費者が情報過多の環境にいるため、記憶に残るというステップが重視されています。
- A: Attention(注意)
- ここはAIDAと同じで、消費者が商品に気づく段階です。
- I: Interest(興味)
- 消費者が商品に興味を持つ段階です。
- D: Desire(欲望)
- 消費者がその商品を欲しいと感じる段階です。
- M: Memory(記憶)
- ここがAIDAと異なるポイントで、消費者の記憶に商品が残るかどうかが焦点となります。例えば、友達との会話でその商品を思い出す、テレビ広告を見て「あ、この商品見たことある」と感じるなどがこの段階です。
- A: Action(行動)
- 最後に、消費者が実際に商品を購入する段階です。
AIDMAは特に、消費者が情報を得た後、すぐに行動に移るわけではない場合に効果的なモデルです。消費者が一度記憶に留めてから、後に必要性を感じて行動に移ることが多い商品やサービスに適しています。
AISASモデル
デジタル時代に適したモデルとして提案されているのがAISASモデルです。これはインターネットやSNSの発展に伴い、消費者の行動が変化したことを反映しています。
AISASとは?
AISASは、AIDAモデルに「S: Search(検索)」と「S: Share(共有)」の要素を加えたものです。
- A: Attention(注意)
- まずは消費者が商品に注意を引かれる段階です。
- I: Interest(興味)
- 次に、その商品に興味を持つ段階です。
- S: Search(検索)
- この段階が現代的なポイントです。インターネットが普及した現代では、興味を持った消費者が次にすることは、自分で情報を調べることです。商品レビューやSNSの口コミ、YouTubeのレビュー動画など、さまざまな情報源を使って消費者は情報を収集します。
- A: Action(行動)
- 消費者が購入などの行動を取る段階です。
- S: Share(共有)
- 最後に、購入した商品やサービスについての感想をSNSや口コミで共有する段階です。AISASモデルでは、この「共有」が重要な要素として追加されています。ポジティブな口コミが広がることで、さらに多くの消費者がその商品に興味を持ち、次の購入者を生むという循環が生まれます。
その他のモデル
さらに、時代や消費者の行動の変化に応じて、他にもさまざまなマーケティングモデルが提案されています。
1. AISCEASモデル
AISASモデルの検索と共有の部分に「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」が加わったモデルです。特に購買前に商品を複数比較し、慎重に検討する消費者の行動をより正確に捉えています。
- C: Comparison(比較)
- 消費者がインターネット上で複数の商品やサービスを比較する段階です。
- E: Examination(検討)
- 比較した結果を踏まえ、どのように購入するかを慎重に検討する段階です。
2. SIPSモデル
SNSがさらに普及したことで提案されたモデルです。消費者がSNSで商品やサービスについて知り、反応し、購入し、さらにシェアするという流れを重視しています。
- S: Sympathy(共感)
- SNSや口コミを通じて共感を得る段階です。
- I: Impulse(衝動)
- 商品やサービスに衝動的に興味を持つ段階です。
- P: Purchase(購入)
- 実際に購入する段階です。
- S: Share(共有)
- 購入後にSNSでシェアする段階です。
まとめ
これまで紹介したように、消費者の購買行動を分析するためには、さまざまなモデルが存在します。AIDAモデルは最も基本的であり、情報の少ない時代には十分機能しましたが、現代のデジタル時代ではAISASモデルやSIPSモデルのように、消費者がインターネットやSNSを活用して自ら情報を収集・共有することを前提にしたモデルが重要となっています。
マーケティングにおいては、これらのモデルを柔軟に使い分け、ターゲットとする消費者の行動に合ったアプローチをすることが成功の鍵です。次に学ぶべきは、これらのモデルを基にした具体的なマーケティング施策や、各モデルをどのようにデジタルマーケティングに活用できるかを考えることです。
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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