新人エンジニアの皆さんに向けて「選択肢過多効果」を解説

こんにちは。ゆうせいです。

今日は「選択肢過多効果(Choice Overload Effect)」について解説します。
選択肢が多ければ多いほど、ユーザーにとって便利だと思うかもしれませんが、実はそうではありません。選択肢が多すぎると、逆に決断が難しくなり、満足度が下がることがあります。これが「選択肢過多効果」です。

この現象は日常生活やビジネスにおいて頻繁に見られるため、特にプロダクト開発やUX設計に携わるエンジニアにとって重要な知識です!


選択肢過多効果とは?

選択肢過多効果とは、選択肢が多すぎると、人が選択に迷い、最終的には不満足や意思決定の回避につながる現象のことを指します。

選択肢が少ない場合、比較が簡単で意思決定もしやすいですが、選択肢が増えると比較が難しくなり、以下のような問題が発生します:

  1. 選ぶのに時間がかかる
  2. 「これで良かったのか」と後悔しやすくなる
  3. 選択そのものを放棄してしまう

有名な実験例:ジャムの実験

選択肢過多効果を示す代表的な実験に、「ジャムの実験」があります。

実験概要

  • スーパーマーケットで2つのパターンを比較しました:
    1. 6種類のジャムを用意した場合
    2. 24種類のジャムを用意した場合

結果

  • 24種類のジャムでは多くの人が興味を持ち、売り場に立ち寄りましたが、実際に購入した人はわずか3%でした。
  • 一方で、6種類のジャムでは立ち寄った人数は少なかったものの、実際に購入した人の割合は30%に達しました。

この実験から、選択肢が多すぎると意思決定が難しくなり、購入に至りにくくなることが分かりました。


選択肢過多効果が発生する理由

1. 比較の負担

選択肢が多いと、1つ1つを比較して「どれが一番良いか」を判断するのが大変になります。この負担が大きすぎると、選択そのものがストレスになります。

2. 決断へのプレッシャー

「たくさんの選択肢の中から失敗しない選択をしなければならない」というプレッシャーが増えます。これにより、選んだ後に「もっと良い選択があったのでは?」と後悔しやすくなります。

3. 満足度の低下

選択肢が多いほど、「自分が選ばなかったものの方が良かったかもしれない」という考えが生まれ、結果的に満足度が下がります。


実生活での例

選択肢過多効果は、私たちの日常生活でも頻繁に見られます。

1. オンラインショッピング

  • 数百種類の商品を見ていると、どれを選んで良いかわからなくなり、結局購入を諦めることがあります。

2. レストランのメニュー

  • メニューが多すぎると、何を頼むか迷いすぎてしまい、注文に時間がかかります。
  • 一方で、選択肢が少ないお店では注文がスムーズで満足度も高くなることがあります。

3. ストリーミングサービス(映画やドラマ)

  • 見放題のサービスでは選択肢が多すぎて、結局何も観ずに終わる、という経験をしたことがある人も多いはずです。

エンジニアリングやUX設計での活用例

選択肢過多効果を理解することは、プロダクトやサービスの設計において非常に重要です。以下のような工夫をすることで、ユーザーの意思決定を助け、満足度を向上させることができます。

1. 選択肢を絞る

  • 選択肢を減らし、ユーザーが迷わないようにします。
    • 例: フィルター機能を用意して、ユーザーのニーズに合った選択肢だけを表示する。

2. 推奨オプションを提示

  • 迷ったときの参考になる「おすすめ」を提示します。
    • 例: 「人気商品」や「ベストセラー」を目立つ位置に表示する。

3. 選択肢をグループ化

  • 選択肢をカテゴリー分けして、比較しやすくします。
    • 例: 商品を価格帯や機能別に分類して表示する。

4. デフォルト設定を活用

  • 初期設定を用意して、ユーザーがそのまま進めるようにします。
    • 例: 初めから最適なプランが選択されている状態にする。

5. ガイドラインを提供

  • 選択肢が多い場合でも、選ぶ際のポイントや基準を示します。
    • 例: 商品の「特徴」や「用途」を分かりやすく表示する。

注意点

選択肢過多効果を避けるためには、単に選択肢を減らすだけでは不十分です。以下の点にも注意しましょう。

  • ユーザーのニーズに応じた選択肢を提供: ユーザーごとに必要な選択肢が異なる場合があるため、パーソナライズを考慮します。
  • 過剰に制限しない: 選択肢が少なすぎると、自由度が低いと感じられることもあります。適切なバランスが大事です。

まとめ

選択肢過多効果は、選択肢が多すぎると人が意思決定に迷い、満足度が下がる現象です。選択肢を絞ったり、推奨オプションを提示したりすることで、ユーザーの意思決定をサポートできます。

エンジニアやデザイナーとしてこの現象を理解し、プロダクト設計に応用することで、ユーザー体験を大きく改善できます。次回の設計や開発にぜひ活用してみてください!

セイ・コンサルティング・グループの新人エンジニア研修のメニューへのリンク

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。