新人エンジニアの皆さんに向けてリチャード・P・ルメルト教授の著書『良い戦略、悪い戦略』を解説「

こんにちは。ゆうせいです。

今日は、リチャード・P・ルメルト教授の著書『良い戦略、悪い戦略』を解説します。この本は、戦略という言葉の本質を深掘りし、ビジネスや日常生活において「良い戦略」と「悪い戦略」を見極めるための指針を与えてくれる名著です。

「戦略」と聞くと、難しそうに感じるかもしれませんが、この本は具体例を使って、なぜ一部の戦略が効果を発揮し、一部の戦略が失敗するのかをシンプルに説明しています。それでは、良い戦略と悪い戦略について一緒に見ていきましょう!


「良い戦略」とは?

良い戦略は、本質的な問題を的確に特定し、それを解決するための明確な行動指針を持つものです。ルメルト教授は良い戦略を構成する3つの要素を挙げています。

1. 診断

  • 現状の課題や問題を正確に把握すること。
  • 優先的に解決すべきことを見極める。

例:売上が落ちている理由が「競合の商品が優れているから」なのか、「マーケティング戦略が不十分だから」なのかを分析する。

2. 指針

  • 課題を解決するための明確で一貫性のある方針を立てること。
  • ゴールに向かう道筋を示す。

例:市場シェアを拡大するために、特定の顧客層に絞ったマーケティングを展開する。

3. 実行可能な行動

  • 実際に動き出せる具体的な行動計画を立てること。
  • 言葉だけでなく、行動に移せるプランであることが重要。

例:製品をリニューアルし、ターゲット層に直接訴求するキャンペーンを実施する。

この3つが揃っていると、課題解決に向けて実際に効果を発揮する戦略が構築されます。


「悪い戦略」とは?

一方、悪い戦略は方向性が曖昧で、本質的な問題にアプローチできていないものを指します。ルメルト教授は、以下の特徴を「悪い戦略」として挙げています。

1. 目標の羅列

  • ただの「願望」や「目標」が並んでいるだけで、具体的な行動指針がないもの。
  • 例:「売上を2倍にする」「顧客満足度を向上させる」といったスローガンだけの計画。

2. 本質的な問題の無視

  • 表面的な解決策に囚われ、真の課題に目を向けていないもの。
  • 例:業績不振の原因が顧客離れにあるのに、商品の価格を引き下げるだけの対策を取る。

3. 曖昧で抽象的な言葉

  • 誰にでも当てはまるような抽象的な言葉で書かれた戦略。
  • 例:「イノベーションを推進する」「競争力を強化する」といった具体性に欠ける表現。

4. リーダーシップの欠如

  • 強い意思決定がなく、全員が納得できる無難な内容に終始しているもの。

良い戦略と悪い戦略の違いを具体例で解説

ここでは、架空の会社「ABCソフトウェア」を例に良い戦略と悪い戦略を比較してみます。


悪い戦略の例

課題:新しい競合が参入し、シェアを奪われている。

戦略

  1. 売上を増やす。
  2. 顧客満足度を向上させる。
  3. 新製品を開発する。

問題点
これらはただの目標であり、具体的に「何を」「どうするのか」が全く示されていません。また、課題の核心に触れていないため、実行可能性が低いです。


良い戦略の例

課題:競合が新しい技術を使った製品を市場に投入し、ABCソフトウェアの顧客を奪っている。

戦略

  1. 診断
    現在の製品が時代遅れであることが原因。特に、顧客が求める最新機能が不足している。
  2. 指針
    顧客ニーズに応えるため、既存製品をクラウド対応型に改良し、新しいパッケージを半年以内にリリースする。
  3. 行動
    • 技術チームを再編成し、クラウド化プロジェクトに集中する。
    • 顧客データを分析し、最も需要の高い機能を特定する。
    • リリース後の3か月間、無料トライアルを実施する。

ポイント
課題が具体的に診断され、それを解決するための指針と行動計画が明確です。これにより、チーム全体が何をすべきか理解しやすくなります。


なぜ新人エンジニアにも役立つのか?

「良い戦略」と「悪い戦略」を見極める力は、エンジニアにも重要です。プロジェクトの中で、目標が曖昧だったり、具体的な行動計画が不足していたりする場合、効果的な提案ができれば、あなたの評価は高まるでしょう。

さらに、自分のキャリアを考える上でも「どのスキルを優先して学ぶべきか」や「どの分野で成長したいか」を戦略的に考えることができます。


まとめ

リチャード・P・ルメルト教授の『良い戦略、悪い戦略』は、戦略とは何かを明確に教えてくれる一冊です。良い戦略は具体性があり、課題解決の道筋を明確にします。一方で、悪い戦略は表面的で曖昧な目標に終始しがちです。

新人エンジニアの皆さんも、プロジェクトやキャリア設計で「良い戦略」を意識してみましょう。何を解決したいのかを明確にし、そのために具体的に何をすべきかを考えることが重要です。

次のステップとしては、実際の業務で出会う「戦略」を観察し、良い点や改善すべき点を見極める練習をしてみてくださいね!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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