研修旅行や視察旅行の費用を会社の経費(旅費交通費)として認めてもらうには

研修旅行や視察旅行の費用を会社の経費(旅費交通費)として認めてもらうには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。税務上、単なる観光旅行と見なされてしまうと、経費計上が認められず、税務調査で否認される可能性があります。

今回は、経費として認められるためのポイントを詳しく解説していきます!


研修旅行・視察旅行の費用を経費にするポイント

経費として認められるためには、「事業との関連性」が重要です。具体的なチェックポイントを見ていきましょう。


1. 旅行の目的が業務に関係していることを明確にする

税務署に「仕事に関係する旅行だった」と説明できるように、研修や視察の目的を明確にしておく必要があります。

具体的な目的の例

  • 研修旅行の場合
    • 取引先の工場やオフィスの見学
    • 業界の最新技術を学ぶセミナーや展示会の参加
    • 仕事に役立つスキルアップのための研修
  • 視察旅行の場合
    • 海外市場の調査
    • 競合企業のサービスやビジネスモデルの調査
    • 新しいビジネスチャンスの発掘

NG例

  • 旅行中のスケジュールの大半が観光
  • 家族や友人が同行している(プライベートな旅行とみなされる)

【対策】

  • 旅行計画書や企画書を事前に作成し、「なぜこの研修・視察が必要なのか?」を説明できるようにする。

2. 研修や視察のスケジュールを明確にする

税務署は、「本当に仕事のための旅行だったのか?」を厳しくチェックします。
業務に関係する活動がしっかり含まれているかを示すため、旅行のスケジュール表を作成することが重要です。

スケジュールの作成ポイント

  • 研修や視察の時間を明記(何時から何時まで何をするのか)
  • 研修先・訪問先の情報を詳細に記載(企業名・住所・担当者)
  • 証拠となる資料を残す(訪問先での名刺、パンフレット、参加証など)

【具体例】

日時活動内容訪問先・場所
9:00 - 12:00工場見学○○製造工場(東京都)
13:00 - 15:00セミナー参加△△カンファレンス
15:30 - 17:00取引先との打ち合わせ○○株式会社

3. 証拠となる資料を保存しておく

税務署が経費として認めるかどうかは、証拠資料の有無に大きく左右されます。
以下のような証拠をしっかり保存しておきましょう。

保存すべき証拠資料

  • 領収書・請求書
    • 交通費(航空券・新幹線・タクシーなど)
    • 宿泊費(ホテル代)
    • 研修・視察の参加費
  • 名刺
    • 訪問先の担当者からもらった名刺を保管
  • パンフレット・参加証
    • 視察先のパンフレット、セミナーの参加証
  • 写真
    • 視察先の様子や集合写真(業務の証拠になる)
  • 報告書
    • 旅行後に「どのような学びがあったか?」を報告書としてまとめる

【注意!】

  • レシートや領収書に「宿泊代」や「交通費」と書かれていないものは認められない可能性があるので注意!

4. 会社の費用負担のルールを明確にする

経費にするためには、会社が業務上の必要経費として負担するルールを明確にしておくことが重要です。

会社のルール作りのポイント

  • 研修・視察旅行の費用は会社が全額負担する(個人負担の割合があるとプライベートと判断されやすい)
  • 社内規定に「研修・視察旅行の経費基準」を定める
  • 旅行後に「出張報告書」の提出を義務付ける

【NG例】

  • 家族旅行を「研修旅行」として申請
  • 友人との旅行を経費で計上
  • 旅行費用の一部を個人が負担(業務目的としての正当性が疑われる)

5. 参加者の選定を適切にする

誰が参加するかも重要な判断基準です。
会社の業務に関係ない人が同行すると、「観光旅行では?」と疑われる可能性があります。

適切な参加者

  • 会社の社員
  • 取引先との商談がある場合の担当者
  • 業務に関連する外部専門家(コンサルタントなど)

NG例

  • 家族や友人(私的な旅行とみなされる)
  • 業務と関係のない社員(経費として認められにくい)

まとめ:ポイントを押さえて経費として適切に計上しよう!

経費として認められるための5つのポイント

  1. 業務に関係する目的を明確にする
  2. スケジュールを具体的に作成する
  3. 証拠となる資料を保存する
  4. 会社の負担ルールを明確にする
  5. 適切な参加者を選定する

しっかりと準備をしておけば、税務調査で指摘されるリスクを減らし、正しく経費として計上することができます。

「この研修旅行・視察旅行は本当に業務上必要か?」を常に意識し、証拠を残しておくことが大切です!

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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