統計学における変数の種類と分析の種類の組み合わせ
統計学において、変数の種類とそれに対応する分析の種類を以下のように組み合わせた一覧を作成しました。
データの性質に応じて適切な分析手法を選択するためのガイドとなります。
1. 変数の種類
1. カテゴリ変数(Nominal Variables)
説明: カテゴリ変数は、名前やラベルで示されるデータです。これらの変数は順序がなく、どれが「大きい」「小さい」という意味は持ちません。異なるカテゴリーを区別するために使用されますが、数値的な意味合いはありません。
特徴:
- 順序なし: カテゴリ間に順位や大小関係はありません。
- 計算が不可能: カテゴリ変数同士を足し算したり、平均を取ったりすることはできません。
例:
- 性別: 男性、女性
- 血液型: A型、B型、O型、AB型
- 所属部署: 営業部、人事部、開発部
2. 順序変数(Ordinal Variables)
説明: 順序変数は、データが特定の順序やランクに従って分類される変数です。順序があるため、あるカテゴリが他のカテゴリよりも「高い」または「低い」と評価されますが、カテゴリー間の差異が均等であるとは限りません。
特徴:
- 順序あり: データには明確な順序や順位が存在します。
- 等間隔とは限らない: 順位はあるが、各順位間の距離や差が均等であるとは限りません。
例:
- 学歴: 中卒、高卒、大卒、大学院卒
- 満足度: とても不満、不満、普通、満足、とても満足
- ランク: ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ
3. 間隔変数(Interval Variables)
説明: 間隔変数は、データ間の差異が等間隔である変数です。ゼロ点は任意であり、必ずしも「無」を意味するわけではありません。そのため、間隔変数では比率の計算が意味を持たない場合があります。
特徴:
- 等間隔: データ間の差異が常に均等です。
- 絶対的なゼロ点がない: ゼロが存在するが、それは「無」ではなく、基準点であることが多い。
例:
- 温度(摂氏や華氏): 20°Cと30°Cの差は10°Cですが、0°Cが「無」を意味するわけではありません。
- 知能指数(IQ): IQの差が意味を持つが、0が絶対的な無を示すわけではありません。
4. 比率変数(Ratio Variables)
説明: 比率変数は、データ間の差異が等間隔であり、かつゼロ点が絶対的な「無」を意味する変数です。このため、比率の計算が可能で、データを比較することができます。
特徴:
- 等間隔: データ間の差異が均等です。
- 絶対的なゼロ点: 0が「無」を示し、そのため比率が意味を持ちます。
例:
- 身長: 170cmと85cmの間には明確な2倍の関係があり、ゼロは「無」を意味します。
- 体重: 60kgと30kgの間には2倍の差があり、ゼロは「無」を意味します。
- 年齢: 40歳と20歳の間には2倍の差があり、ゼロは「無」を意味します。
- 収入: 0円は収入がないことを意味し、収入の比率比較が可能です。
これら4つの変数タイプは、データの分析方法や統計的な手法を選択する際に非常に重要です。変数の性質を理解することで、データに適切な分析を行うことができます。
2. 分析の種類と変数の対応
分析の種類 | 使用する変数の組み合わせ | 主な分析手法の例 |
---|---|---|
記述統計(Descriptive Statistics) | カテゴリ変数、順序変数、間隔変数、比率変数 | 平均、中央値、モード、標準偏差、度数分布 |
クロス集計(Crosstabs) | カテゴリ変数 × カテゴリ変数 | クロス集計表、カイ二乗検定 |
相関分析(Correlation Analysis) | 間隔変数 × 間隔変数、比率変数 × 比率変数 | ピアソンの相関係数、スピアマンの順位相関 |
回帰分析(Regression Analysis) | 比率変数(従属変数)× 比率変数(独立変数) | 単回帰分析、重回帰分析 |
分散分析(ANOVA) | 比率変数(従属変数)× カテゴリ変数(独立変数) | 一元配置分散分析、二元配置分散分析 |
ロジスティック回帰分析(Logistic Regression) | カテゴリ変数(従属変数)× 比率変数(独立変数) | ロジスティック回帰 |
主成分分析(PCA) | 間隔変数、比率変数 | 主成分分析 |
クラスター分析(Cluster Analysis) | 間隔変数、比率変数 | K-means法、階層的クラスタリング |
因子分析(Factor Analysis) | 間隔変数、比率変数 | 因子分析 |
3. 注意点
- カテゴリ変数と順序変数 は、頻度や割合、カイ二乗検定などの方法で分析されます。
- 間隔変数と比率変数 は、相関や回帰、分散分析などの手法で分析されます。
- 組み合わせによって使用される分析手法が異なるため、目的に応じて適切な手法を選択することが重要です。
この一覧を参考に、データ分析の際に適切な手法を選択してください。
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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