部分関数従属と推移的関数従属性
部分関数従属と推移的関数従属性は、データベースの設計や正規化において重要な概念です。この2つを理解することで、無駄のない効率的なデータベースを設計することができます。では、それぞれの意味と違いを、高校生にも分かるように説明していきますね。
部分関数従属とは?
まず、「部分関数従属」とは何かから説明しましょう。
関数従属とは?
関数従属というのは、データベース内のある列(フィールド)の値が、別の列の値によって一意に決まる関係のことを指します。例えば、生徒の名簿を考えてみましょう。学籍番号と名前の関係を例にすると、学籍番号がわかれば、その生徒の名前が一意に決まります。これが関数従属です。
では、部分関数従属はどうでしょうか?これを理解するには「複合キー」を考える必要があります。
複合キーと部分関数従属
複合キーとは、データベースで複数の列を組み合わせて一意なデータを特定するためのキーです。例えば、クラス名と出席番号を組み合わせれば、クラス内の特定の生徒を一意に特定できます。
部分関数従属は、この複合キーの一部だけで特定の情報が決まってしまう場合のことを指します。もう少し具体的にしましょう。
例:部分関数従属の例
例えば、次のようなテーブルを考えます。
クラス名 | 出席番号 | 担任の先生 |
---|---|---|
1A | 5 | 田中先生 |
1A | 7 | 田中先生 |
2B | 3 | 山田先生 |
ここでは、複合キーとして「クラス名」と「出席番号」の組み合わせが使われています。しかし、「担任の先生」は「クラス名」だけで決まりますね。「出席番号」は関係ありません。これが部分関数従属です。「出席番号」は無関係なのにデータが一緒にあるため、データが冗長(無駄が多い)になってしまいます。
推移的関数従属性とは?
次に「推移的関数従属性」について説明します。
推移的とは?
「推移的」という言葉は数学でも出てくるので、聞いたことがあるかもしれません。「AがBに依存し、BがCに依存するなら、AはCにも依存している」というのが推移的という関係です。
推移的関数従属性もこれと同じ考え方で、データベースの中である列が他の列に直接依存するのではなく、間接的に別の列に依存している状態を指します。
例:推移的関数従属性の例
次に、次のようなテーブルを考えてみましょう。
学籍番号 | 生徒名 | クラブ名 | 顧問の先生 |
---|---|---|---|
001 | 山本 | サッカー部 | 田中先生 |
002 | 佐藤 | テニス部 | 鈴木先生 |
ここで「学籍番号」と「生徒名」の関係は、学籍番号から生徒名が一意に決まる関数従属です。また、「クラブ名」から「顧問の先生」も一意に決まる関数従属です。
でも、「学籍番号」から「顧問の先生」を決めるには、「クラブ名」を経由しなければならないですよね。これが推移的関数従属性です。「学籍番号」→「クラブ名」→「顧問の先生」というふうに、間接的に従属しているため、推移的関数従属性が発生しています。
まとめと違い
それでは、部分関数従属と推移的関数従属性の違いをまとめます。
分類 | 部分関数従属 | 推移的関数従属性 |
---|---|---|
説明 | 複合キーの一部だけで列が決まる関係 | 直接ではなく、間接的に列が決まる関係 |
例 | クラス名だけで担任の先生が決まる | 学籍番号から顧問の先生が決まるが、クラブ名を経由する |
発生する問題 | データの冗長性 | 間接的な依存によるデータの複雑化 |
部分関数従属は、複合キーを使ってデータを管理する際に一部のキーだけで情報が決まることで、無駄なデータが生まれやすくなります。一方、推移的関数従属性は、間接的な依存関係が生じることで、テーブルの構造が複雑になりやすいです。
今後の学び方
部分関数従属や推移的関数従属性をしっかり理解することは、データベースを効率的に設計するために非常に重要です。次に進むべきステップとして、正規化について学ぶことをおすすめします。正規化は、データベースの冗長性を減らし、効率的なデータ構造を作るための技術です。特に「第2正規形」「第3正規形」を学ぶと、今回の内容がさらに深く理解できるでしょう。
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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