IT営業における「Mutual Close Plan(ミューチュアル・クローズ・プラン)」

IT営業において、「Mutual Close Plan(ミューチュアル・クローズ・プラン)」という用語が使われることがあります。これは、日本語に訳すと「双方合意のクロージング計画」などと表現され、営業活動における非常に重要な戦略です。特にIT業界では、複雑な製品やサービスを販売するため、しっかりとしたクロージング計画が欠かせません。Mutual Close Planは、営業と顧客が共通のゴールを設定し、それに向けて一緒に進んでいくための計画を立てることを指します。

では、具体的にどのようなものか詳しく見ていきましょう。

Mutual Close Planとは何か?

Mutual Close Planは、営業側(あなた)と顧客側が、契約締結やプロジェクト開始に至るまでのステップを明確にし、それに対して双方が同意した計画を指します。この計画では、次のような内容が盛り込まれます。

  • 重要なマイルストーンの設定:契約締結に至るまでの主要なステップやタイミングを設定します。たとえば、デモの実施日や契約書レビューの期限など。
  • 責任者の確認:それぞれのマイルストーンにおいて、誰が何を担当するのか明確にします。営業担当者、技術担当者、顧客側の決裁者などの役割分担を行います。
  • タイムラインの合意:各ステップがいつまでに完了するべきか、スケジュールを具体的に定めます。たとえば、「次の会議は2週間後に実施し、そこまでに価格の最終合意を得る」といった具合です。
  • 双方の期待値を一致させる:顧客が何を求めているのか、そしてそれに対して提供できるソリューションがどういったものであるか、期待をしっかりとすり合わせます。ここでの誤解が後のトラブルにつながりやすいので、細心の注意を払います。

これにより、契約がスムーズに進み、予想外の問題が発生するリスクを低減できます。

なぜMutual Close Planが重要か?

IT業界では、製品やサービスが複雑であり、複数の関係者が関与することが多いです。たとえば、顧客のIT部門や管理部門、法務部門、さらには経営層まで含まれることもあります。このような場合、営業が一方的に進めるのではなく、顧客側とも綿密なコミュニケーションを取り、共通のゴールに向かって進むことが必要です。

Mutual Close Planを作成することで、次のようなメリットがあります。

  • 見込み違いを防ぐ:顧客と営業の間でゴールや期待値がずれていると、最終的な契約までに大きな障害となります。初期段階でこれを防ぐことができる。
  • 進捗を確認しやすい:各ステップごとに進捗を確認できるため、どこに問題があるのかが明確になります。これにより、早期に解決策を講じることが可能です。
  • 信頼関係の構築:顧客に対して「計画的に進めている」という印象を与え、信頼を得ることができます。これは、長期的なビジネス関係の構築にもつながります。

Mutual Close Planの作成方法

それでは、実際にMutual Close Planをどのように作成するのか、具体的な手順を見ていきましょう。

1. 顧客のニーズを正確に把握する

まず、顧客が何を求めているのかを正確に理解することが最初のステップです。これには、ヒアリングや詳細な要件確認が含まれます。特にIT製品やサービスは技術的な要求が多いため、技術担当者との打ち合わせが必要になることも多いでしょう。

2. マイルストーンを設定する

顧客との打ち合わせを通じて、プロジェクトが成功するために必要な主要なステップを決めます。これには、次のような項目が含まれます。

  • デモンストレーションの実施日
  • 価格交渉の期限
  • 契約書のレビュータイミング
  • 導入トレーニングの日程

それぞれのステップに対して具体的な期限を設定し、顧客と共有します。

3. 各ステップの担当者を明確にする

営業側だけでなく、顧客側でも誰がどのステップを担当するのかを明確にします。たとえば、顧客側で技術的な評価を担当する人、予算承認を行う人などを明示し、必要に応じて営業側から適切な担当者をアサインします。

4. 定期的な確認を行う

一度プランを作成したら、それを放置してはいけません。定期的に進捗を確認し、顧客にフィードバックを与えることが大切です。問題が発生した場合は、すぐに対応できるように準備しておきましょう。

Mutual Close Planの例

以下は、IT営業でのMutual Close Planの一例です。

マイルストーン完了期限営業側担当者顧客側担当者
製品デモ実施10月15日山田佐藤
価格交渉完了10月30日鈴木高橋
契約書レビュー11月10日鈴木法務部
導入開始12月1日田中IT部

このように、各マイルストーンごとに期限と担当者を設定し、顧客と共有していきます。これにより、契約までの道筋が明確になり、どちらか一方が滞ることなく進行できるのです。

まとめ

Mutual Close Planは、IT営業において非常に有効なツールです。顧客と共に契約締結に向けての計画を立て、進行状況を確認しながらスムーズにプロセスを進めていくことができるからです。IT製品やサービスは複雑であり、導入までに多くの関係者が関与しますが、この計画を適切に作成・運用することで、トラブルを未然に防ぎ、顧客との信頼関係を築くことが可能です。

次にあなたが考えるべきことは、現在の営業活動においてどのようにMutual Close Planを取り入れるかです。特に、複数のステークホルダーが関与するプロジェクトでは、この計画をうまく活用することで、成功への道がさらに明確になるでしょう。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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