Certutilコマンドを使ってハッシュ値を求める方法

Certutilコマンドを使ってハッシュ値を求める方法について解説します。このコマンドは、Windowsに標準で搭載されている強力なツールで、さまざまな証明書管理やデータ操作ができますが、その中でも特にファイルのハッシュ値を計算する機能が便利です。

ハッシュ値とは、ファイルの内容を数学的に変換して得られる固定長の文字列です。例えば、MD5やSHA256などがよく使われるハッシュアルゴリズムです。これにより、ファイルの改ざんや一致確認が簡単に行えます。

では、具体的な手順に入りましょう。

1. Certutilの基本的な使い方

まずは、コマンドプロンプトを管理者として実行します(Windowsボタンを右クリックし、「コマンドプロンプト(管理者)」または「Windows PowerShell(管理者)」を選択)。

次に、ファイルのハッシュ値を求めるための基本的なコマンドは以下のようになります。

certutil -hashfile <ファイルパス> <ハッシュアルゴリズム>



ここで、
  • certutil:コマンドの実行を指示する
  • -hashfile:指定したファイルのハッシュ値を計算するオプション
  • <ファイルパス>:ハッシュ値を計算したいファイルのパスを指定する
  • <ハッシュアルゴリズム>:使用したいハッシュアルゴリズム(MD5、SHA1、SHA256など)を指定する

2. 具体的な例

例えば、デスクトップにあるsample.txtというファイルのSHA256ハッシュ値を求めたい場合は、次のように入力します。

certutil -hashfile C:\Users\<ユーザー名>\Desktop\sample.txt SHA256



<ユーザー名>の部分は自分の環境に合わせて置き換えてください。このコマンドを実行すると、SHA256アルゴリズムによって計算されたハッシュ値が表示されます。

3. 出力例

コマンドを実行すると、以下のような出力が得られます。

SHA256 hash of sample.txt:
a3b0c441bb998f3a37f4a1cf3dffcd8b20c90d7f29e8f5a7e3187ab48e06e05e
CertUtil: -hashfile コマンドは正常に完了しました。



この場合、a3b0c441bb998f3a37f4a1cf3dffcd8b20c90d7f29e8f5a7e3187ab48e06e05esample.txtのSHA256ハッシュ値です。この値が異なる場合、ファイルが何らかの形で変更された可能性があります。

4. ハッシュアルゴリズムの選択

Certutilでは、以下のような複数のハッシュアルゴリズムが利用できます。

  • MD5: 比較的古いアルゴリズムですが、まだ一部で使われています。ただし、安全性に問題があるため、重要な場面ではあまり推奨されません。
  • SHA1: MD5より安全ですが、現在では弱点が見つかっているため、新しいシステムでは推奨されません。
  • SHA256: 現在、広く使用されている安全なハッシュアルゴリズムです。

実際のコマンドでこれらのアルゴリズムを使いたい場合は、SHA256MD5を指定するだけです。

例: MD5のハッシュを求める

certutil -hashfile C:\Users\<ユーザー名>\Desktop\sample.txt MD5


5. ハッシュ値を求めるメリットとデメリット

メリット

  • データの一貫性を確認できる: ハッシュ値は、ファイルが改ざんされていないかを確認するために非常に有効です。ファイルのダウンロード後や転送後にハッシュ値を比較することで、正しいファイルが取得できたか確認できます。
  • パスワードの保存: パスワードの平文保存は危険ですが、ハッシュ値を使って保存すれば、元のパスワードを知らなくてもその一致を確認できます。

デメリット

  • ハッシュ衝突の可能性: 一部のアルゴリズム(特にMD5やSHA1)は、異なるデータが同じハッシュ値を持つ「ハッシュ衝突」が起こる可能性があります。これにより、セキュリティ上の脆弱性が生じることがあります。
  • 計算時間の問題: ハッシュ計算には処理時間がかかるため、非常に大きなファイルの場合、計算に時間がかかることがあります。

6. 今後の学習と実践

ハッシュ値を使ったファイル検証は、日常のセキュリティ対策の一環として非常に有効です。今後は、異なるハッシュアルゴリズムの特徴や、どの場面でどのアルゴリズムを使うべきかについても学ぶとよいでしょう。また、ハッシュ値を使った実践的な応用として、ファイルのダウンロード時に提供されるハッシュ値と、自分で計算したハッシュ値を照合する方法を身につけることも重要です。

普段の作業でも、特に重要なファイルの整合性を確かめるために、Certutilを使ってみてください。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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