AIの知能はどうやって育つ?人間の脳とバックプロパゲーションの不思議な関係

こんにちは。ゆうせいです。

あなたは、AIがどうやって言葉を覚えたり、写真の中に写っている猫を見分けたりしているのか不思議に思ったことはありませんか。実は、現代のAIは人間の脳の仕組みをモデルにして作られています。しかし、その学習方法にはAI特有の驚くべき計算テクニックが隠されているのです。

今日は、AIが賢くなるための核心部分であるバックプロパゲーションという技術について、私たちの脳と比較しながら楽しく紐解いていきましょう。準備はいいですか。

人間の脳を模したニューラルネットワークとは

AIの頭脳は、ニューラルネットワークと呼ばれています。これは日本語で神経回路網という意味です。私たちの脳の中には、ニューロンという小さな細胞が無数に存在し、それらが手をつなぎ合うようにして情報を伝達しています。

AIもこれと同じです。入力されたデータに対して、いくつもの層を通しながら計算を繰り返し、最終的な答えを導き出します。

ここで一つ、イメージしてみてください。あなたが目隠しをして、目の前にある果物が何かを当てるゲームをしているとします。

  1. 手に触れた感触(入力)
  2. 脳内での分析(計算)
  3. これはリンゴだ!(出力)

このように情報が流れていく仕組みを、専門用語で順伝播(じゅんでんぱ)といいます。英語では、フィードフォワードと呼びます。まずはこの情報の流れをしっかり押さえておきましょう。

賢くなるための鍵、バックプロパゲーション

さて、もしあなたが「これはリンゴだ!」と答えたのに、正解が「梨」だったらどうしますか。次からは間違えないように、脳の中の判断基準を少し修正しますよね。この修正作業こそが、学習の正体です。

AIの世界でこの修正を自動で行う魔法のような仕組みが、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)です。

バックプロパゲーションは、出力された答えと正解を比べ、そのズレ(誤差)を後ろから前へと逆向きに伝えていく手法です。

誤差を数値化する「損失関数」

まず、AIは自分の答えがどれくらい間違っていたかを数値で計算します。この指標を損失関数と呼びます。

例えば、正解を 100 としたとき、AIの出した答えが 80 だったとしましょう。

このとき、

誤差 = 100 - 80

となります。この差が小さければ小さいほど、優秀なAIということになります。

犯人探しをする「勾配降下法」

誤差が見つかったら、次は「どの計算プロセスが間違いの原因だったか」を探さなければなりません。

ここで登場するのが、勾配降下法(こうばいこうかほう)です。これは、山の頂上から霧の中で一番低い谷底を目指して降りていくような作業だと例えられます。

AIは、ネットワーク内の重み(情報のつながりの強さ)を少しずつ変化させ、誤差が最も小さくなる方向を探ります。

このとき、数学的には微分という計算を使います。

修正量 = 誤差 \times 学習率

学習率とは、一度にどれくらい修正するかという歩幅のようなものです。歩幅が大きすぎると谷底を飛び越えてしまいますし、小さすぎるといつまでも辿り着けません。加減が難しいところですね。

バックプロパゲーションのメリットとデメリット

この画期的な仕組みによって、AIは飛躍的に進化しました。しかし、万能というわけではありません。

メリット

  • 大量のデータから自動で特徴を見つけ出せる
  • 人間がルールを細かく教えなくても、勝手に賢くなってくれる
  • 複雑な計算を効率的に行える

デメリット

  • なぜその答えになったのか、プロセスが人間にはブラックボックスになりやすい
  • 学習データに偏りがあると、偏見を持ったAIになってしまう
  • 計算量が膨大で、高性能なコンピューターが必要になる

人間の脳とAIの決定的な違い

ここまで聞くと、「AIって人間と同じじゃないか」と思うかもしれません。しかし、決定的な違いがあります。

実は、人間の脳はバックプロパゲーションのような逆向きの信号伝達を行っていないというのが通説です。私たちの脳は、もっと柔軟で、少ない経験から直感的に学ぶことができます。AIは数万回の反復練習が必要ですが、あなたなら一度熱い思いをすれば「火は危ない」とすぐに学習できますよね。

AIは論理と計算の塊、人間は経験と直感の塊。似ているようでいて、実は全く違うアプローチで知能を実現しているのです。

まとめとこれからの学習指針

バックプロパゲーションは、現代のディープラーニングを支える最も重要な屋台骨です。この仕組みを理解することは、AIの心臓部を理解することと同義といっても過言ではありません。

今回のポイントをおさらいしましょう。

  • AIの学習は、出力から入力へと誤差を逆送するバックプロパゲーションで行われる
  • 誤差を計算するために損失関数を使い、修正の方向を決めるために勾配降下法を使う
  • 人間の脳とは、学習のプロセスが根本的に異なる可能性がある

もっと深く知りたくなったあなたへ。次は、この計算を支える行列の掛け算や、AIがさらに効率よく学ぶための最適化アルゴリズムについて調べてみるのがおすすめです。

数学が少し苦手でも大丈夫。まずは「誤差を逆向きに伝えて、自分を磨き上げる仕組みなんだ」というイメージを持ち続けてください。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。