キュー
データ構造のキューは、データの集合を管理するための一種のデータ構造で、先入れ先出し【FIFO:First-In, First-Out】の方式で要素を追加・削除することができます。キューは、配列と同様にデータを保持しますが、新しい要素はキューの末尾に追加され【enqueue】、要素はキューの先頭から削除されます【dequeue】。
例えば、スーパーマーケットのレジにおいて、先に来た顧客が先にレジに通過するのと同じように、最初にキューに追加された要素が最初に削除されることが保証されます。
キューは以下の用途でよく利用されるデータ構造です。
- ジョブキュー:大量のジョブを処理するシステムでは、キューが使用されます。ジョブは、キューに追加され、処理する準備ができているときに順番に実行されます。
- プリンタキュー:プリンタは、一度に1つのジョブしか処理できないため、プリンタキューが使用されます。印刷ジョブは、キューに追加され、プリンタが使用可能になったときに順番に印刷されます。
- ネットワークパケットキュー:ネットワークでは、パケットを送信する前に、送信キューに追加することが必要です。送信されるパケットは、キューに追加された順序で送信されます。
- イベントキュー:ウェブブラウザやJavaScriptランタイムなどのシステムでは、イベントキューが使用されます。イベントは、キューに追加され、順番に処理されます。これにより、イベントが競合することなく、一度に1つのイベントしか処理されないことが保証されます。
キューは、データの処理順序が重要な場合に、効果的に使用されるデータ構造の1つです。
配列を使ってキューを実装する
<サンプルプログラム>
public class Queue {
private int front, rear, size;
private int capacity;
private int[] queueArr;
public Queue(int capacity) {
this.front = 0;
this.rear = -1;
this.size = 0;
this.capacity = capacity;
this.queueArr = new int[capacity];
}
public boolean isEmpty() {
return (size == 0);
}
public boolean isFull() {
return (size == capacity);
}
public void enqueue(int data) {
if (isFull()) {
System.out.println("キューが満杯です");
return;
}
queueArr[++rear] = data;
size++;
System.out.println(data + " をキューに追加しました");
}
public int dequeue() {
if (isEmpty()) {
System.out.println("キューが空です");
return -1;
}
int data = queueArr[front++];
size--;
return data;
}
public int peek() {
if (isEmpty()) {
System.out.println("キューが空です");
return -1;
}
int data = queueArr[front];
return data;
}
public static void main(String[] args) {
Queue queue = new Queue(5);
queue.enqueue(1);
queue.enqueue(2);
queue.enqueue(3);
System.out.println("キューの先頭の要素: " + queue.peek());
System.out.println(queue.dequeue() + " をキューから取り出しました");
System.out.println(queue.dequeue() + " をキューから取り出しました");
System.out.println("キューの先頭の要素: " + queue.peek());
queue.enqueue(4);
System.out.println(queue.dequeue() + " をキューから取り出しました");
System.out.println("キューの先頭の要素: " + queue.peek());
}
}
なお、単にキューを利用するなら以下のjava.util.Queueインタフェースを使うほうが便利です。
java.util.Queueインタフェース
Javaの java.util.Queue インタフェースは、先入先出(FIFO)のデータ構造を提供するためのインタフェースです。
Java.util.Queue インタフェースで使用できる主なメソッドの一覧です。
add(E element):キューに要素を追加します。
offer(E element):キューに要素を追加します。
remove():キューから要素を取り出し、その要素を返します。
poll():キューから要素を取り出し、その要素を返しますが、キューが空の場合は null を返します。
element():キューの先頭にある要素を返しますが、その要素を削除しません。
peek():キューの先頭にある要素を返しますが、その要素を削除しません。キューが空の場合は null を返します。
キューに要素を追加する場合、Queue
インタフェースでは、add(E element)
メソッドまたは offer(E element)
メソッドを使用します。
また、キューから要素を取り出す場合、Queue
インタフェースでは、remove()
メソッドまたは poll()
メソッドを使用します。
java.util.Queue インタフェースにはenqueue() メソッドやdequeue() メソッドはありません。
<サンプルプログラム>
import java.util.LinkedList;
import java.util.Queue;
public class QueueExample {
public static void main(String[] args) {
Queue<String> queue = new LinkedList<String>();
// 要素をキューに追加
queue.add("akafuku");
queue.add("habutai");
queue.add("kiyome");
// 要素をキューから取り出し
String removed = queue.remove();
System.out.println("取り出した要素: " + removed);
// 要素をキューに追加
queue.offer("abekawa");
// キューの先頭にある要素を取得
String head = queue.element();
System.out.println("先頭の要素: " + head);
// キューから要素を取り出し
String polled = queue.poll();
System.out.println("取り出した要素: " + polled);
// キューから要素を取り出し
String peeked = queue.peek();
System.out.println("先頭の要素: " + peeked);
}
}
<出力結果>
取り出した要素: akafuku 先頭の要素: habutai 取り出した要素: habutai 先頭の要素: kiyome |
練習問題1
ユーザーに5つの整数を入力してもらい、それらをいったんキューに追加して、その後キューから取り出してコンソールに出力するプログラムを作成しなさい。
import java.util.LinkedList;
import java.util.Queue;
import java.util.Scanner;
public class QueueExercise {
public static void main(String[] args) {
Scanner sc = new Scanner(System.in);
// キューを作成する処理を書く
// 5つの整数を入力してキューに追加する処理を書く
// キューから整数を取り出して出力する処理を書く
}
}
<出力結果の例>
5つの整数を入力してください。 10 20 30 40 50 キューから整数を取り出して出力します。 10 20 30 40 50 |
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
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