SHAPの仕組みと名前の由来:AIの予測根拠を公平に配分する技術
こんにちは。ゆうせいです。
本日は、AIが算出した予測結果の根拠を明らかにする技術であるSHAPについて解説します。技術の名称を構成する単語を分解することで、内部でどのような計算が行われているかを的確に把握できます。
SHAPという名前の由来と構成要素
SHAPは、SHapley Additive exPlanationsの頭文字をとった名称です。英語の各単語が示す意味と技術的な役割を順番に説明します。
SHapley(シャプレー値:公平な貢献度の算出)
SHapleyは、ゲーム理論と呼ばれる経済学の分野で考案された指標であるシャプレー値(Shapley value)を指します。シャプレー値は、複数の参加者が協力して得た成果に対し、各参加者の貢献度を公平に計算する手法です。
シャプレー値の仕組みは、複数の学生が協力して文化祭の模擬店を運営し、売上という成果を得る過程に例えることができます。宣伝が得意な学生、調理が得意な学生、接客が得意な学生がおり、それぞれの組み合わせによって売上が変動します。特定の学生が参加した場合と参加しなかった場合の売上の差分を、すべての組み合わせにおいて計算し、平均をとることで、各学生の正確な貢献額を導き出します。
SHAPは模擬店の学生をAIへの入力データ(特徴量)に、売上をAIの予測結果に置き換えて計算を行います。各入力データが予測結果に対してどの程度プラスあるいはマイナスに影響したかを公平に算出します。
各入力データの貢献度を算出するための基本方程式を以下に示します。
Additive(加法性:足し合わせの性質)
Additiveは、加法性と呼ばれる性質を示しています。加法性とは、個々の要素を足し合わせることで全体が構成される性質のことです。
SHAPにおいては、基準となる平均的な予測値に対して、計算された各入力データの貢献度(シャプレー値)をすべて足し合わせると、AIが出力した最終的な予測値と完全に一致するという仕組みを持っています。各要素の足し算によって予測結果を説明できるため、結果の透明性が保たれます。
exPlanations(説明:ブラックボックスの解明)
exPlanationsは、計算結果を用いてAIの予測を説明する機能を示しています。内部構造が複雑で解読が困難なAIモデルであっても、SHAPを適用することで、入力データのどれが最も重要な役割を果たしたのかを数値として提示できます。
SHAPを採用するメリットとデメリット
システム開発においてSHAPを利用する際の利点と欠点を挙げます。
メリット
特定の一つのデータに対する予測の根拠を詳細に提示できるだけでなく、すべてのデータを分析することで、AIモデル全体がどのような基準を重視しているのかを俯瞰的に把握できます。また、画像認識や数値予測など、AIモデルの種類を問わずに適用できる汎用性の高さがあります。
デメリット
シャプレー値を正確に計算するためには、入力データのすべての組み合わせを試す必要があり、データ項目が増加すると計算量が爆発的に増大します。そのため、実運用においては計算処理に膨大な時間を要する場合があります。
今後の学習ステップ
SHAPの技術を習得し、システム開発に活用するためには、以下の順序で学習を進めることを推奨します。
- ゲーム理論の基礎学習:専門書を用いて、シャプレー値が提唱された背景と、公平な配分を計算するための数学的な枠組みを学習します。
- 既存ライブラリの導入:外部で公開されているSHAPのプログラム部品をダウンロードし、手元の開発環境に実行基盤を構築します。
- 数値データへの適用:住宅価格の予測など、表形式のデータを用いた機械学習モデルに対してSHAPを適用し、各項目の貢献度を算出する処理を実行します。
- 出力結果の解釈:算出された各項目の貢献度を集計し、AIの予測に対して正の影響を与えた項目と負の影響を与えた項目を分類し、判定基準を言語化する手法を習得します。
順を追って実践を重ねることで、AIの予測に対する信頼性を高め、根拠に基づいた説明責任を果たすシステムを構築する能力を身につけることができます。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。
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