tanh関数とその微分の覚え方:基本定義と1引く二乗の公式を再現する手順
こんにちは。ゆうせいです。
人工知能や機械学習の計算モデルにおいて、数値を一定の範囲に収めながら次の処理へ受け渡す道具として、ハイパボリックタンジェント関数(tanh関数)が広く利用されています。学習を始めたばかりの段階では、三角関数との類似性や複雑な分数計算に戸惑い、微分の計算式をどのように記憶すべきか悩む場面が生じます。
tanh関数の定義と微分の結果は、高校数学で学ぶ三角関数の関係式との結びつきや、言葉のリズムを活用したこじつけを用いることで、初心者でも迷わずに頭の中から引き出せるようになります。関数の基本知識と、記憶を助ける発想法、そして導出の手順を順番に確認していきます。
tanh関数の基本構造と専門用語の解説
tanh関数は、どのような大きさの数値を受け取っても、結果をマイナス1からプラス1の間の範囲に滑らかに変換して出力する関数です。
理解を深めるために、2つの専門用語を高校生活に例えて整理します。
双曲線関数
双曲線関数とは、直角双曲線と呼ばれる幾何学的な図形をもとにして定義された関数の集まりです。三角関数が円周上の座標をもとに作られていることと対比されます。
高校の校庭を思い浮かべてみてください。円形のトラックを基準にして走る生徒の位置を数式で表したものが通常の三角関数(sinやcos、tan)です。それに対して、校庭の両端に背を向け合うようにカーブを描いた2本の白線(双曲線)を基準にして、そこを動く生徒の位置を表したものが双曲線関数(sinhやcosh、tanh)に相当します。
ゼロ中心(ゼロセンター)
ゼロ中心とは、関数の出力する数値の平均的な中心地点が0になっている性質を指します。
高校の定期試験の成績評価を例に挙げます。全員の点数を0点から100点までのプラスの数値だけで評価すると、全体の平均は必ずプラスに偏ります。一方で、クラスの平均点を基準の0点と定め、それより高い人をプラス、低い人をマイナスとしてマイナス50点からプラス50点の幅で均等に評価し直す方法が、ゼロ中心の考え方です。数値の中心が0になることで、後続の計算における偏りを防ぐ利点があります。
tanh関数の定義式と覚え方の工夫
入力の数値を x と置いたとき、tanh関数は指数関数を用いて次の分数式で定義されます。
この定義式そのものを思い出すための工夫として、分母と分子の符号の違いに着目します。
分母が足し算で分子が引き算という構造を記憶するために、「下(分母)はプラス思考で受け止め、上(分子)はマイナス思考で削ぎ落とす」というイメージでこじつけて記憶に定着させます。土台となる下側は安定させるために足し算(プラス)を行い、その上に乗る成果物は差分を取り出すために引き算(マイナス)を行うという連想です。
入力値 x が極端に大きな正の数になると、マイナスの指数が消えて全体は1に近づきます。逆に入力値 x が極端に小さな負の数になると、全体はマイナス1に近づきます。どのような数値もマイナス1とプラス1の間に収まる性質を持ちます。

微分の公式と語呂合わせによる記憶法
tanh関数の微分を計算した結果は、非常に簡潔な引き算の形になります。
微分した結果の式は、数値の1から、元の関数であるtanhの二乗を引き算した形だけで完結します。
この公式の形を記憶するための語呂合わせとして、「タンの微分は、イチ引くタンタン」と声に出して覚える方法が効果的です。
また、高校数学で習う三角関数の公式とこじつけて覚える手法もあります。三角関数の微分では、tan(x) を微分すると cos二乗分の1 になります。三角関数の相互関係には次の公式が存在します。
この関係式において、符号が反転する双曲線関数の世界ではプラスがマイナスに入れ替わり、1から二乗を引く形になると関連付けることで、公式の引き算の構造を容易に思い出すことができます。1という上限値から自分自身の二乗を差し引くだけの単純な構造として頭に定着させておくことで、余計な項を足してしまう誤りを防ぐことができます。

微分の導出過程の確認
公式をより確実に自分のものとするために、商の微分計算を用いた変形の手順を確認します。
sinh(x) と cosh(x) を用いると、tanh(x) は分数として次のように表現されます。
分母を二乗し、分子の微分に分母を掛けたものから、分子に分母の微分を掛けたものを引き算する商の微分公式を適用します。sinh(x) を微分すると cosh(x) になり、cosh(x) を微分すると sinh(x) になります。
この分数を左側と右側の2つの項に分割します。
左側の項は約分されて1になります。右側の項は、分母と分子をひとまとめにすることでtanhの二乗の形になります。その結果として、公式が得られます。
tanh関数のメリット
客観的に確認できるtanh関数の長所は以下の通りです。
- 出力のゼロ中心性 出力範囲がマイナス1からプラス1であり、平均値が0付近に保たれるため、次の層に伝わる数値の偏りが抑えられ、学習の収束速度がシグモイド関数よりも向上します。
- 微分計算の簡潔さ 微分結果が元の関数の二乗を引き算するだけの形で表されるため、コンピュータで計算処理を実行する際の演算手続きを短縮できます。
- 連続性と滑らかさ すべての入力区間において連続で急激な段差が存在しないため、勾配を用いた数値の微調整が安定して進行します。
tanh関数のデメリット
一方で、この関数が持つ制約や問題点は以下の通りです。
- 勾配消失の発生 入力値の絶対値が大きくなると、関数の傾きが0に極めて近づきます。この平坦な領域では微分の値がほぼゼロになるため、層を重ねた深いネットワークにおいて調整情報が途絶える勾配消失が発生します。
- 指数計算に伴う処理負荷 関数の定義式の中にネイピア数の計算が含まれるため、単純な比較演算だけで動作する活性化関数と比較して、計算機に対する演算の負荷が高くなります。
まとめ
tanh関数の微分公式は、「1から元の関数の二乗を引く」という明確な構造を持っています。定義式の「下がプラス、上がマイナス」という対称性と、微分の「イチ引くタンタン」というリズムを結びつけて記憶しておくことで、必要な場面で正確に数式を再現できるようになります。
今後の学習を確実に進めるための手順は以下の通りです。
- sinh(x) と cosh(x) の指数関数による定義を確認し、商の微分計算を使って微分公式を一度紙の上で導出する
- 入力値が0のときの出力値および微分の値を算出し、傾きが最大値の1になる様子を確認する
- 勾配消失の問題を避けるために深層学習で標準的に採用されているReLU関数やLeaky ReLU関数の仕組みを調べる
語呂合わせを手がかりとして活用しながら、基本的な商の微分による導出過程を自分の手で確認しておくことで、機械学習の基礎的な数式処理を体系的に身につけることができます。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。
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