新人エンジニア研修にツァイガルニク効果を活用する方法

こんにちは。ゆうせいです。
今日は「ツァイガルニク効果」について、新人エンジニア講師向けに解説します!

今回は、新人エンジニア研修の設計に役立つ心理学の概念「ツァイガルニク効果」についてご紹介します。

ツァイガルニク効果をうまく活用することで、受講者の記憶の定着を促し、主体的な学びを引き出せる可能性があります。

ツァイガルニク効果とは?

ロシアの心理学者ブリューマ・ツァイガルニクが発見したこの効果は、「中断された作業や完了していないタスクのほうが記憶に残りやすい」というものです。たとえば、ドラマの途中で視聴を止められると「続きが気になる!」と強く記憶に残る経験はありませんか?これがツァイガルニク効果の典型例です。

新人エンジニア研修においても、学習課題を「意図的に未完了のまま残す」ことで、受講者の集中力や学習意欲を高めることができます。

ツァイガルニク効果を研修に活かす方法

1. 課題や演習を“あえて未完”にする

学習内容を一気に最後まで解説するのではなく、途中で区切りを入れることで、受講者の関心を持続させることができます。

例:

  • プログラミング演習の途中で宿題として残す
    • 「このコード、なぜエラーが出るでしょう?明日までに考えてきてください。」
  • ロジックを途中で止めて問いを投げかける
    • 「ここまで実装しました。このままだとどんな問題が発生すると思いますか?」

2. 休憩のタイミングを工夫する

人間の集中力は長時間持続しません。しかし、ツァイガルニク効果を意識すると、課題が解決してから休憩するよりも、「まだ解決していない状態」で休憩に入る方が効果的です。

ポイント:

  • 問題を解き切らずに休憩に入る
    • 「あと少しで解ける!」という状態で休憩すると、休憩中も無意識に考え続けやすい。
  • 休憩前に振り返りの時間を設ける
    • 「今、何が気になっている?」とペアで話し合ってから休憩すると、休憩後の再開がスムーズに。

3. 小さな成功と未完了を組み合わせる

大きな目標を設定するよりも、小さなステップごとにゴールを設け、その手前で一旦ストップすると効果的です。

例:

  • 演習課題を小分けにして進める
    • 「次のステップを考えてみてください」と言って、受講者自身に先の展開を予測させる。
  • 発表前に一旦グループディスカッションを入れる
    • 「この結果について、どんなことが考えられますか?」と問いかけ、少しモヤモヤ感を残す。

ツァイガルニク効果を活用した研修の流れ

1. 導入(問題提示)

  • まず、新しい技術や概念を簡単に説明し、サンプルコードを見せる。
  • 「ここからどう拡張すれば〇〇が実装できると思いますか?」と質問する。

2. 演習(あえて中断)

  • 受講者同士でアイデアを出し合い、少しだけ実装してもらう。
  • 途中で「そろそろ休憩に入りましょう!」と声をかけ、中断する。

3. 休憩(ツァイガルニク効果の活性化)

  • 受講者は休憩中も「続きはどうなるのか?」と自然に考える。
  • 席を離れたり雑談をしていても、脳内では課題が残り続ける。

4. 再開(解法検討)

  • 休憩後、「どうですか? 何かアイデアが浮かびましたか?」と問いかける。
  • 未完了感が残っているため、議論が活発になりやすい。

5. 発表とフィードバック

  • 受講者それぞれが考えた解法を発表し、講師がフィードバックを行う。
  • 「明日はもっと複雑な課題に挑戦しますよ」と予告すると、さらに関心が持続。

まとめ

ツァイガルニク効果を活用することで、

  • 記憶の定着が向上する
  • 受講者の主体的な学びを促せる
  • モチベーションが持続しやすくなる

研修設計においては、“あえて完結させない演習”を適度に組み込み、休憩タイミングを工夫することで、受講者の「もっと知りたい」「もう少し考えたい」という気持ちを引き出せます。

ぜひ、次回の研修でツァイガルニク効果を試してみてください!

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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