WPS(WiFi Protected Setup)とは

WPS(Wi-Fi Protected Setup)とは、家庭やオフィスなどで無線LAN(Wi-Fi)を簡単に設定するための仕組みです。2007年にWi-Fiアライアンスが策定し、主に初心者や技術的な知識が少ない人でも手軽にWi-Fiの接続を行えるように設計されています。

具体的には、Wi-Fiルーターとデバイス(パソコンやスマートフォンなど)を簡単かつ迅速に接続できる方法の一つです。通常、Wi-Fi接続を行う際にはネットワーク名(SSID)を選び、パスワード(ネットワークキー)を手動で入力する必要がありますが、WPSを使うことでこれらの手順を大幅に簡略化することが可能です。

では、どのような方法でWPSが動作しているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

WPSの動作原理

WPSは、主に以下の方法でデバイスとWi-Fiルーターを接続します。

  1. ボタン方式(Push Button Configuration, PBC)
    ルーターにある「WPSボタン」を押すことで、ルーターが自動的に接続待機モードに入り、接続したいデバイス(例えばスマートフォンやパソコン)でもWPSの接続を開始します。これにより、ユーザーはパスワードを入力せずにデバイスをWi-Fiに接続できます。簡単に言えば、「ボタンを押すだけで接続完了」というわけです。
  2. PINコード方式(Personal Identification Number, PIN)
    もう一つの方法は、PINコードを使う方法です。ルーターに表示される8桁のPINコードを接続したいデバイスに入力することで接続が完了します。このPINはあらかじめルーターに設定されているため、ユーザーがそのPINをデバイス側で入力するだけで済みます。

この2つの方法がWPSの代表的な接続方式です。特にボタン方式は、非常にシンプルで多くの家庭で採用されています。

WPSのメリット

WPSにはいくつかの利点があります。

1. 簡単な操作

一番のメリットは、簡単にWi-Fi接続ができることです。通常、SSIDを探して、長いパスワードを入力する必要があるWi-Fi接続ですが、WPSではその手間が省けます。特に、機械や技術に慣れていない人でも、簡単にWi-Fi環境をセットアップできる点が大きな魅力です。

2. 素早い接続

ボタンを押すだけで接続が完了するため、短時間でWi-Fiに接続できるのも利点です。例えば、新しいデバイスをネットワークに追加する際、いちいちパスワードを確認して入力する手間が省けます。

3. デバイス追加が簡単

新しいスマホやパソコンをネットワークに追加する時、WPSを使えばすぐに接続できます。家族や友人が家に来た時も、簡単にWi-Fiを共有することが可能です。

WPSのデメリットとセキュリティリスク

一方で、WPSにはいくつかのデメリットやセキュリティ上の懸念もあります。

1. セキュリティが低い

WPSの最大の問題は、セキュリティの脆弱性です。特にPINコード方式では、PINが8桁であるため、総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)に対して弱く、ハッカーが簡単にPINを推測して不正にネットワークに侵入できる可能性があります。

2. 古いルーターでは危険

古いWi-Fiルーターは、WPSのセキュリティ対策が十分でない場合が多いです。そのため、WPSが有効なままの状態で放置すると、外部からの攻撃を受けやすくなる可能性があります。

3. 対応デバイスの限界

すべてのデバイスがWPSに対応しているわけではありません。特に、最近のスマートフォンや一部のデバイスでは、セキュリティ上の理由からWPSをサポートしなくなっている場合もあります。

WPSを使用すべきか?

Wi-Fiを使う上でWPSは非常に便利な機能です。しかし、セキュリティリスクを考慮すると、最新のWi-Fiルーターを使っている場合でも、WPSはオフにしておくことが推奨される場合があります。代わりに、強固なパスワードを設定し、他の接続方法(例えばQRコードや手動のパスワード入力)を使った方が安全です。

特に、重要なデータや個人情報をやり取りするネットワークでは、WPSを利用することに対して慎重になるべきです。

まとめ

WPS(Wi-Fi Protected Setup)は、Wi-Fi接続を簡単にする便利な機能です。しかし、セキュリティ面での脆弱性が指摘されており、特にPINコード方式にはリスクが伴います。Wi-Fiをより安全に使うためには、WPSの利用を慎重に考え、強固なパスワードや最新のセキュリティプロトコルを使用することが大切です。

今後、Wi-Fiの設定やセキュリティを学ぶ際には、WPS以外の接続方法や最新の暗号化技術(例えばWPA3)についても調べてみると、さらに安心してネットワークを活用できるでしょう。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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