依存と移譲の違いをJavaを例に新人エンジニア向けに解説

こんにちは。ゆうせいです。
今日は「依存」と「移譲」の違いについて、Javaを例に解説します。
新人エンジニアにとって、これらの概念はコードの設計やリファクタリングを行う際にとても重要です。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、噛み砕いて説明するので一緒に理解していきましょう!


依存とは何か?

まず「依存」とは何でしょうか?

簡単に言うと、あるクラスが別のクラスを利用する状態のことです。
依存しているクラスが変更されると、依存している側も影響を受けてしまうことがあります。

例えば、以下のようなコードを見てください。

依存の例

class Engine {
    public void start() {
        System.out.println("エンジンが始動しました");
    }
}

class Car {
    private Engine engine;

    public Car() {
        engine = new Engine(); // Engineに依存
    }

    public void startCar() {
        engine.start();
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Car car = new Car();
        car.startCar();
    }
}

この例では、CarクラスがEngineクラスに依存しています。
CarクラスはEngineクラスのインスタンスを直接生成し、メソッドを呼び出していますね。

問題点は何か?

  • Engineクラスの構造やメソッドが変わると、Carクラスにも影響が出ます。
  • CarクラスはEngineが必須となり、柔軟性に欠けます。

こういった依存が強すぎる設計は、メンテナンスがしづらくなる原因になります。


移譲とは何か?

次に「移譲」について説明します。

移譲(Delegation) とは、あるクラスの処理を別のクラスに任せることです。
自分で直接処理を行わず、他のクラスに仕事を依頼するイメージです。

例えば、さっきの「依存」の例を移譲に変えてみましょう。

移譲の例

class Engine {
    public void start() {
        System.out.println("エンジンが始動しました");
    }
}

class Car {
    private Engine engine;

    public Car(Engine engine) { // エンジンを外から受け取る
        this.engine = engine;
    }

    public void startCar() {
        engine.start();
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Engine engine = new Engine();
        Car car = new Car(engine); // 移譲
        car.startCar();
    }
}

ポイント

  • CarクラスがEngineクラスを直接生成せず、外から渡しています。
  • CarEngineの存在を知っていますが、インスタンスの生成には関与しません。
  • Engineを他のクラスに交換したり、モック化することが容易になります。

依存と移譲の違い

依存と移譲をまとめると、以下のようになります。

項目依存移譲
関係の強さ強い依存関係弱い依存関係
クラス設計依存するクラスが内部で直接生成される依存するクラスを外部から渡す
柔軟性変更に弱い変更に強い
メンテナンス影響範囲が広がりやすい影響範囲を小さくできる

移譲を使うメリット

移譲を使う最大のメリットは柔軟性テストのしやすさです。

  1. 柔軟性が高まる
    外部から依存オブジェクトを渡せるため、交換や拡張が容易です。
    例えば、Engineを「電気エンジン」に置き換えたい場合、Engineのインターフェースを実装すれば簡単に対応できます。
  2. テストがしやすくなる
    Carのテスト時に、Engineの代わりにモック(ダミーオブジェクト)を渡せば、Carの動作を単体でテストできます。

実際にどちらを使うべきか?

基本的には、移譲を意識した設計が推奨されます。
依存関係が強いコードは、変更や拡張が難しくなり、結果として保守コストが高くなります。

ただし、シンプルなプログラムや学習目的では、依存でも問題ありません。
大切なのは、「依存と移譲の違いを理解し、状況に応じて使い分けること」です。


まとめ

  • 依存は「他のクラスに直接依存する状態」
  • 移譲は「処理を他のクラスに任せる設計」
  • 移譲を使うと柔軟性やテストのしやすさが向上する

普段のコーディングでも「今の設計は依存が強すぎないか?」と考える習慣をつけましょう。
次のステップとしては、依存性注入(Dependency Injection)やデザインパターン(特にAdapterやProxy)に進むと、より深い理解が得られますよ!

頑張ってくださいね!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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