「ELIZA(イライザ)」というAIについて

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、「ELIZA(イライザ)」についてお話しします!ELIZAは、人工知能の歴史においてとても有名なプログラムで、心理療法士のように会話をすることができるチャットボットです。

AIの基礎を知るためには欠かせない存在なので、わかりやすく解説していきますね。


ELIZAとは?

ELIZAは、1960年代にMIT(マサチューセッツ工科大学)のジョセフ・ワイゼンバウムによって開発されたプログラムです。このAIは、人間と会話することを目的としたもので、最初期のチャットボットの一つとして知られています。

心理療法士(特にロジャース派のセラピスト)の会話スタイルを模倣するプログラムとして作られました。心理療法士は、患者が話す内容を受け止めながら質問を返すことが多いですよね。それをシンプルなルールで再現したのがELIZAなんです。


ELIZAの仕組み

ELIZAは、非常に単純な仕組みで動いています。以下でその特徴を説明しますね。

1. キーワードマッチング

ELIZAの会話は、相手の言葉に含まれる「キーワード」を探し、それに対応する決まった返答を生成するというものです。

例えば、

  • 入力:「私は疲れています。」
  • ELIZA:「どうして疲れているのですか?」

この場合、「疲れています」というキーワードを拾って、「どうして〜なのですか?」というテンプレートで応答しています。


2. テンプレートベースの応答

ELIZAは、キーワードに基づいて固定されたテンプレートを使います。テンプレートを選ぶことで、あたかも相手の話に関心を持っているように見せることができます。

例:

  • 入力:「誰も私のことを理解してくれません。」
  • 応答:「なぜそう感じるのですか?」

このように、ユーザーが話した内容を一部繰り返すことで、会話が続いているように感じさせるんです。


3. 心理療法スタイルの模倣

ELIZAは、特に心理療法士の「受容的な態度」を再現するように設計されています。これにより、ユーザーは「聞いてもらっている」と感じるわけですね。

例:

  • ユーザー:「私は最近とても不安です。」
  • ELIZA:「どうしてそんなに不安なのでしょうか?」

質問を返すことで、ユーザーが話を続けやすくなる効果を狙っています。


ELIZAが生まれた背景

1960年代は、コンピュータ科学や人工知能が急速に進化し始めた時期でした。当時、AIは複雑な問題解決や数学的な処理を得意としていましたが、「人間らしい会話」ができるプログラムは存在していませんでした。

ジョセフ・ワイゼンバウムは、「シンプルなルールだけでも、あたかも人間と話しているような錯覚を生むことができるのでは?」と考え、ELIZAを開発しました。


ELIZAの影響

ELIZAは、AI研究やコンピュータ科学において大きなインパクトを与えました。その理由をいくつか挙げてみますね。

1. 会話型AIの基礎

ELIZAは、現在のチャットボット(例:SiriやChatGPT)の原型とも言える存在です。キーワードマッチングやテンプレートを活用するアイデアは、後の自然言語処理(NLP)の基盤となりました。


2. AIの限界を浮き彫りにした

ELIZAは、あくまで表面的な会話しかできませんでした。このことは、「AIが本当に理解して会話しているのか?」という哲学的な議論を生みました。

ジョセフ・ワイゼンバウム自身も、「ELIZAは思考しているわけではなく、単にルールに従って応答しているだけだ」と述べています。


メリットとデメリット

メリット

  1. シンプルな設計
  • プログラムが非常に簡単で、当時のコンピュータでも動作可能。
  1. 会話の錯覚を提供
  • 人々に「機械と話している」感覚を初めて体験させた。

デメリット

  1. 深い理解がない
  • キーワードマッチングに依存しているため、文脈を理解することができません。
  1. 制約のある応答
  • 想定外の入力に対しては不自然な返答になってしまう。

ELIZAの会話例

以下はELIZAとの簡単な会話例です。

ユーザー:「私は孤独を感じています。」
ELIZA:「なぜ孤独を感じるのですか?」

ユーザー:「誰も私の話を聞いてくれません。」
ELIZA:「あなたの話を聞かない人について、もっと教えてください。」

このように、質問を繰り返すことで、会話が続くように見せています。


まとめと今後の学び

ELIZAは、AIの歴史において非常にユニークで重要な役割を果たしました。このプログラムを学ぶことで、AIが人間のように振る舞う仕組みや、その限界について理解できます。

次に学ぶと良いテーマとしては、

  • 自然言語処理(NLP)の進化
  • 他の初期AIプログラム(例:MYCIN)
  • 現代のAIと人間の関係(例:感情AI)

などがあります!ぜひ引き続きAIの面白さを探求していきましょう。質問があればいつでもどうぞ!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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