【初心者エンジニア向け】インスタンス・セグメンテーションとは?画像の中の“個体”を見分ける技術をやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。

今日は、コンピュータビジョンの中でも少し進んだテーマ「インスタンス・セグメンテーション(Instance Segmentation)」について解説していきます。

「セグメンテーションって何?」「物体検出とはどう違うの?」と思っている方、大丈夫です!この記事を読めば、違いも仕組みもきちんと理解できますよ。


インスタンス・セグメンテーションとは?

画像の中の「1つ1つの物体の形」を正確に見分ける技術

インスタンス・セグメンテーションとは、画像の中に写っている物体を1つずつ区別しながら、その形をピクセル単位で特定する技術です。

もっと簡単に言えば:

  • 「何があるか」だけでなく、
  • 「どこにあるか」だけでなく、
  • 「その形がどうなっているか(輪郭)」まで、

ピクセル単位で、しかも1体1体を区別して見分けるという、かなり賢い技術です!


他の画像認識との違いは?

下の表で、画像認識のレベルごとの違いを比べてみましょう。

技術何ができる?精度代表手法
画像分類画像に何が写っているかを分類★☆☆☆☆ResNetなど
物体検出どこに何があるか(四角で囲む)★★☆☆☆YOLO, SSDなど
セマンティック・セグメンテーション各ピクセルが何のカテゴリか★★★☆☆FCN, U-Netなど
インスタンス・セグメンテーション各ピクセルごとに「どの個体か」まで識別★★★★★Mask R-CNNなど

例で説明!

猫が2匹写った画像を考えてみましょう。

  • 物体検出:2つの猫を四角で囲むだけ
  • セマンティック・セグメンテーション:「ここは猫」と塗るが、2匹の区別はしない
  • インスタンス・セグメンテーション:それぞれの猫を別々に、輪郭まで正確に塗り分ける

どうやって動いているの?

代表的な手法:Mask R-CNN(マスク・アール・シー・エヌ・エヌ)

インスタンス・セグメンテーションの代表的なアルゴリズムが「Mask R-CNN」です。

これは、R-CNN(物体検出)にセグメンテーション用のマスク予測ネットワークを追加したものです。

構成をざっくり図にすると:

[画像]
   ↓
[特徴抽出(CNN)]
   ↓
[物体候補の抽出(Region Proposal Network)]
   ↓
[分類 & バウンディングボックス]
   +
[マスクのピクセル単位の予測]

ここでの「マスク」は、「このピクセルは猫1」「こっちは猫2」と物体の輪郭を塗り分けるための情報です。


数式で見るマスクR-CNN(簡単解説)

損失関数は以下のような形で定義されます: L=Lcls+Lbox+LmaskL = L_{cls} + L_{box} + L_{mask}

日本語で言うと:

全体の損失 = 分類誤差 + 位置誤差 + マスク予測誤差
  • LclsL_{cls}:物体のクラス分類(何が写っているか)
  • LboxL_{box}:物体の位置(四角の枠)
  • LmaskL_{mask}:マスク(輪郭)のピクセルごとの誤差

それぞれの誤差を合わせて学習を進めていきます。


どんなところで使われているの?

インスタンス・セグメンテーションは、精密な情報が必要な分野で非常に活躍しています!

分野活用例
医療MRIやCT画像で、がん組織の境界を正確に抽出
自動運転歩行者、車、信号機を1つ1つ認識して安全運転
農業畑の中の作物と雑草を区別して除草ロボットに活用
ロボティクスアームで物体をつかむとき、正確な輪郭が必要

たとえば、ロボットがりんごを収穫するとき、ただ「りんごがある」だけでは不十分で、どのピクセルがりんごかまでわかっていないと、つかめませんよね。


メリット・デメリット

メリットデメリット
複数の物体を個別に、かつ正確に識別できる計算コストが大きく、リアルタイムにはやや不向き
医療やロボットなど高精度が求められる場面で活躍学習に必要なアノテーション(ラベル付け)が手間

インスタンス・セグメンテーションは、精度重視の場面で非常に強力な武器となります!


実際に試すにはどうする?

初心者の方でも、インスタンス・セグメンテーションを動かすだけなら意外と簡単です。

スタートガイド:

  1. Google ColabでMask R-CNNの実装を動かしてみる
  2. Detectron2(Facebook製)を使えば簡単に試せる
  3. COCOデータセットを使って推論体験
  4. マスクの可視化で理解を深める

今後の学習の指針

インスタンス・セグメンテーションの基本が理解できたら、以下のステップに進んでみましょう!

  • Mask R-CNNの各モジュール(RPN、RoIAlign、Maskヘッド)を分解して学習する
  • より高速な手法(YOLACTやSOLOv2)と比較してみる
  • 自分の画像データで学習させて、マスクの精度を評価する
  • 軽量モデルでエッジ端末向けに展開することにも挑戦!

セグメンテーションの世界は奥が深く、知れば知るほどおもしろくなっていきます!

次は、実際に推論を試してみて、マスクがどのように描かれるのかを目で確認してみましょう。

質問があれば、いつでも聞いてくださいね!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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