事前学習とファインチューニングの違いとは?AIモデルが賢くなる2段階プロセスをやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、「事前学習とファインチューニングの違いとは?AIモデルが賢くなる2段階プロセスをやさしく解説!」というテーマで進めていきます。

AIモデルを育てるプロセスの中で必ず出てくるのが、
事前学習(Pretraining)」と「ファインチューニング(Fine-tuning)」という2つのフェーズです。

「どちらも“学習”だし、何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

実はこの2つは役割も規模もまったく違うんです!
この違いを正しく理解しておくと、AIの仕組みや応用も一気に見通しがよくなりますよ。


結論から:役割が全く違う!

比較項目事前学習(Pretraining)ファインチューニング(Fine-tuning)
目的一般的な知識や言語理解を獲得特定のタスクや分野に適応させる
データ大量の汎用データ(Wikipediaなど)タスクに関連した専門データ
モデルの変化基本モデルの「初期重み」を決めるモデルの「重みを微調整」する
学習の範囲すべてのパラメータを学習一部またはすべてのパラメータを調整
GPT、BERTの初期学習医療GPT、法務GPTへのカスタマイズ

① 事前学習(Pretraining)とは?

一言で言うと?

モデルが“世の中の一般常識”を身につけるフェーズ

まだ何も知らない状態のモデルに対して、「言語とは何か」「文の構造は?」「知識ってどう表現されるの?」というような、基礎中の基礎を大量に学ばせるプロセスです。


たとえばこんなデータで学習します:

  • Wikipedia、ニュース記事、SNS投稿、書籍、小説など
  • 英語、日本語、その他多言語のミックス
  • 特定のタスクに関係ない「一般文」

モデルの目的:

この段階では、「タスクを解く力」ではなく、「言語そのものの理解力」を養います。

たとえば:

  • 「リンゴを食べた」は自然な文 → OK
  • 「食べたをリンゴ」→ 不自然 → NG

このように、文脈や単語の関係性を大量に学ぶのが目的です。


よく使われる手法:

  • マスク言語モデル(Masked Language Modeling):一部の単語を隠して予測させる(BERT系)
  • 自己回帰モデル(Autoregressive):次の単語を予測させる(GPT系)

② ファインチューニング(Fine-tuning)とは?

一言で言うと?

すでに賢くなったモデルに、特定の“仕事”を教えるフェーズ

事前学習済みモデルは「知識」は持っていますが、「仕事のやり方」はまだ知りません。
そこで、そのモデルを特定のタスク用に調整するのがファインチューニングです。


たとえばこんなデータで調整:

  • 医療診断に関するQAペア
  • 特定企業のチャットログ
  • 法律相談の過去データ

これらを使って、「専門的な仕事」をこなせるようにします。


具体例:

モデルファインチューニングで得られるスキル
GPT法律相談に特化、感情に配慮した応答
BERTSNSの投稿感情を分類、商品レビュー分析
T5医療文書の要約、レポートの自動生成

例え話でイメージしよう!

● 事前学習 → 小学校〜高校までの「基礎学力」を育てる

  • 一般常識、言葉の使い方、社会知識を学ぶ

● ファインチューニング → 就職後の「専門職トレーニング」

  • 医者になる、弁護士になる、接客業になるなど
  • ベースは同じでも、目指す職種によって学ぶ内容が変わる

事前学習とファインチューニングは「分担作業」

両方ともAIモデルの成長には欠かせないものですが、それぞれ異なる役割を持っています。

フェーズ担当する内容対象となる能力
事前学習一般的な言語理解を習得「ことばの感覚」「世界の知識」
ファインチューニング特定の用途に応じた最適化「専門分野への応用力」

実はこの2つ、「蒸留」や「PEFT」とも関係がある!

  • 事前学習モデル → 蒸留 → 軽量化(DistilBERTなど)
  • ファインチューニング → PEFT(LoRA、Adapterなど) → 効率的学習

つまり、事前学習 × ファインチューニング × 蒸留が今のAIモデルのベースになっているとも言えます!


まとめ

  • 事前学習:汎用的な言語能力や知識を学ぶ
  • ファインチューニング:特定のタスクやドメインに適応させる
  • 両者は別物だけど、連携してモデルの実用化を支えている
  • 例えるなら「基礎教育」と「職業訓練」!

今後の学習の指針

AIモデルの構築フロー全体を理解するには、次のようなテーマにもチャレンジしてみましょう:

  1. 事前学習の実装方法(BERT/GPTの学習方式)
  2. タスク別ファインチューニング(テキスト分類、QA、要約など)
  3. PEFT(LoRA、Adapter)など軽量ファインチューニング手法
  4. 事前学習データの設計思想やバイアス問題

ご希望があれば、実際のコードや図解と一緒に、どのフェーズもより深掘りしていけますよ!
気になるテーマがあれば、ぜひ教えてくださいね。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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