【要注意】生成AIが“ハルシネーション”を起こしやすい理由とは?|固有名詞・事実調査との向き合い方
こんにちは。ゆうせいです。
ChatGPTやClaudeなど、生成AI(Generative AI)を使っていて、こんな経験ありませんか?
「それっぽいことを言っているけど、調べたら全然事実と違っていた!」
こうした現象は、ハルシネーション(hallucination)と呼ばれます。
今回は、生成AIがなぜこのような“うそのようなこと”を自然に言ってしまうのか、特に固有名詞や事実確認に関わる場面での注意点を、わかりやすく解説します。
🧠 そもそもハルシネーションとは?
ハルシネーション(hallucination)は本来、「幻覚」という意味ですが、AIの世界では次のように定義されます。
「事実に反する情報を、あたかも正確な情報であるかのように生成してしまう現象」
例:
- 実在しない学者を紹介する
- 出典のない論文タイトルを“それらしく”作ってしまう
- 間違った統計データや法律条文を提示する
🔍 なぜ生成AIはハルシネーションを起こすのか?
原因を理解するには、生成AIの仕組みを押さえる必要があります。
1. AIは“意味”ではなく“確率”で動いている
生成AIは、「この単語の次に最もふさわしい単語は何か?」を確率的に予測して文を組み立てます。
つまり、事実を「知っている」のではなく、「もっともらしい文」を作るだけなんです。
例:
ユーザー「“ジェフリー・ヒントン”の研究成果を教えて」
→ AI「彼は2012年に“DeepMind”を創業しました」(※本当は創業してない)
このように、正しさの根拠がなくても“文として自然なもの”を選んでしまうため、ハルシネーションが発生します。
2. 固有名詞や専門知識は文脈が弱く、間違えやすい
生成AIは、大量のインターネット文書を学習していますが、以下の情報には特に弱いです。
弱点 | 理由 |
---|---|
固有名詞 | 一字違いの名前、実在しない人物名を“合成”しがち |
地名・企業名 | 類似の単語から創作されることがある |
書籍・論文 | 存在しないタイトルを作る。著者名もよく混同する |
法律・制度 | 国や年によって違うが、1つの「正解」を仮定してしまう |
📘 実際のハルシネーション例
ユーザーの質問 | AIの誤った応答 | 問題点 |
---|---|---|
「スティーブ・ジョブズの弟は?」 | 「彼の弟、マイケル・ジョブズも技術者です」 | 実在しない人物 |
「国際量子研究機構(IQRI)とは?」 | 「1975年設立で、ノーベル賞を出した機関です」 | 架空の組織 |
「2021年の出生率を教えて」 | 「日本の出生率は2.3でした」 | 実際は1.3前後(誤データ) |
「この件の出典は?」 | 「Nature誌2020年号、Smith論文です」 | 存在しない論文 |
🛡 ハルシネーションを防ぐ・見抜くには?
✅ 固有名詞や数値データは 必ずクロスチェックする
- Wikipedia、PubMed、Google Scholar、政府統計などで裏を取る
- 生成AIが出した出典は実際に検索して存在するか確認する
✅ 「本当にそうか?」と問い直す
- AIに「その情報の出典は?」「具体的な証拠はある?」と聞いてみる
✅ ChatGPTなどでWeb検索ツールを有効にする(有料プランなど)
- 「GPT-4 + Webブラウジング機能付き」のようなモードを活用すれば、最新の事実に基づいて回答できます
✋ 生成AIは「知識の倉庫」ではなく「言語の模倣者」
これがもっとも大事な本質です。
AIは“知っている”のではなく、“それらしい文章を作るのが得意”なだけ。
とくに固有名詞・出典・数字・引用文のような「ピンポイントな事実」が求められる場面では、人間が必ず確認・補強しなければなりません。
今後の学習の指針
- 「信頼できる情報源の使い分け方」(官公庁データ、学術データベース)
- 「AIが嘘をついたときの見分け方」演習
- 「AIがハルシネーションを起こしやすい質問の型」を分析して避ける工夫
次回は、「ChatGPTなどを使って正しい情報を引き出す質問テクニック」もご紹介しましょうか!
生成AIはとても便利ですが、“事実確認”のパートナーには人間の目が不可欠です。
使う側が“賢く”なることが、AI時代のリテラシーですね。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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