【言葉の魔法】「私は彼が好き」は"I LOVE him"?"I love HIM"?話し言葉と書き言葉の決定的違い
こんにちは。ゆうせいです。
突然ですが、次の文章を読んでみてください。
「私は、彼が彼女と付き合っているとは言っていない」
何の変哲もない、ごく普通の文章ですよね。では、この文章を使って、友達と会話をするところを想像してみてください。実は、この一文、話し方ひとつで、全く違う意味を持つ爆弾に変わることがあるんです!
今回は、このように同じ文章でも意味がガラッと変わってしまう「書き言葉」と「話し言葉」の面白い違いについて、一緒に探っていきましょう。この謎を解くカギは、情報の伝わり方の「公式」に隠されています。
書き言葉のルール:文脈がすべてを決める
まず、私たちが本やメール、チャットなどで目にする「書き言葉」から見ていきましょう。書き言葉で意味がどう決まるか、その公式はこうです。
文脈 + 文章 = 意味
文章そのものが持つ意味に、その文章が置かれている前後の状況、つまり「文脈」が加わって、最終的な意味が決まります。
例えば、机の上にポツンと「走れ」と書かれたメモがあったら、どういう意味かよく分かりませんよね?でも、
- マラソン大会のスタートラインに書かれていれば、「さあ、スタートだ!」という意味になります。
- 火事が起きた建物の中からそのメモを見つけたら、「早く逃げろ!」という緊急メッセージになります。
このように、書き言葉は、文章が置かれた状況や文脈という「土台」があって初めて、その意味が正確に伝わるようにできています。まるで、一つ一つの部品(単語)を正確に組み合わせることで、誰が見ても同じものが完成する「設計図」のようですね。だからこそ、誤解を生まないように、読点「、」の位置がとても重要になったりするのです。
話し言葉の魔法:イントネーションが意味を操る
では、次に「話し言葉」の公式を見てみましょう。これが、今日のお話の主役です!
イントネーション + 文章 = 意味
お気づきでしょうか?「文脈」が「イントネーション」に変わりました。イントネーションとは、簡単に言うと「声の抑揚」や「どこを強く言うか」ということです。話し言葉では、このイントネーションが、文章の意味を自由自在に操る魔法の杖になるのです!
例えるなら、同じメロディの楽譜でも、ピアニストがどの音を強く弾くか(アクセントをつけるか)で、曲の雰囲気が情熱的になったり、悲しげになったりするのに似ています。
実践!「例の文章」を声に出してみよう!
さあ、いよいよ冒頭の文章の謎を解き明かします。
「私は、彼が彼女と付き合っているとは言っていない」
この文章の、強く言う部分(イントネーションを置く部分)を変えながら、その裏に隠された意味(ニュアンス)を想像してみてください。声に出して言ってみると、もっとよくわかりますよ!
強く言う部分 | 隠された意味(ニュアンス) |
私は、彼が彼女と付き合っているとは言っていない | (他の誰か、例えばAさんが言ったのかもしれないけど)少なくとも私が言ったんじゃない!濡れ衣だ! |
私は、彼が彼女と付き合っているとは言っていない | (いやいや、彼じゃなくて、B君が彼女と付き合ってるって話だよ)主語が違うよ! |
私は、彼が彼女と付き合っているとは言っていない | (彼が付き合ってるのは、彼女じゃなくて、Cさんの方だよ)相手が違うんだって! |
私は、彼が彼女と付き合っているとは言っていない | (付き合ってる、みたいな恋愛関係じゃなくて、ただの友達だって言っただけだよ)関係性を大げさに捉えないで! |
私は、彼が彼女と付き合っているとは言っていない | (そもそもそんな話、私の口から一言も出てないんだけど!?)言った・言わないの、事実そのものを否定している! |
どうでしょうか?
同じ文字の並びなのに、どこを強調するかで、責任の所在をはっきりさせたり、情報の訂正をしたり、まったく違うニュアンスになるのが面白いですよね。これが、イントネーションの持つ力なのです。
書き言葉と話し言葉のメリット・デメリット
この違いを理解すると、それぞれの得意なこと、苦手なことが見えてきます。
書き言葉 | 話し言葉 | |
メリット | 正確性・記録性<br>情報を誤解なく、正確に記録として残せる。 | 感情・ニュアンスの伝達<br>声のトーンや抑揚で、気持ちや微妙な意図を伝えやすい。 |
デメリット | 感情が伝わりにくい<br>文字だけだと冷たい印象を与えたり、意図が誤解されたりすることがある。 | 不正確さ・非記録性<br>「言った、言わない」問題が起きやすく、誤解されたまま話が進むことがある。 |
普段私たちが使うチャットやメールで、何気ない一言が相手を怒らせてしまった経験はありませんか?それは、書き言葉にはイントネーションがないため、文章が持つ「事実」の部分だけがストレートに伝わり、あなたの「気持ち」の部分が伝わりにくいために起こるすれ違いなのです。
絵文字や顔文字、「!」や「?」といった記号は、この書き言葉の弱点を補うために、イントネーションの代わりとして「感情」や「ニュアンス」を付け加えてくれる、大切な役割を果たしているんですね。
まとめと今後の学習指針
今回は、「書き言葉」と「話し言葉」の意味の決まり方の違いについて見てきました。
- 書き言葉 = 文脈 + 文章
- 話し言葉 = イントネーション + 文章
このシンプルな公式を覚えておくだけで、日々のコミュニケーションが少し変わって見えるかもしれません。
このテーマに興味が湧いたら、ぜひ「コミュニケーション論」や「言語学」の世界を少しだけ覗いてみることをお勧めします。特に、言葉が「どんな状況で、どんな意図で使われるか」によって意味が変わることを研究する「語用論(プラグマティクス)」という分野は、今日の話とまさにつながる、とても面白い学問です。
まずは、普段の会話やメールのやり取りの中で、「この文章、イントネーションを変えたらどう聞こえるかな?」「このメール、冷たく思われないかな?」と、少しだけ意識を向けてみてください。言葉の奥深さと面白さに、きっと気づくはずですよ!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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