心が折れても生活は守る!エンジニアのための「傷病手当金」完全ガイド
こんにちは。ゆうせいです。
新人エンジニアのみなさん、毎日のコーディングお疲れ様です。エラーログと格闘する日々、メンタルやフィジカルのコンディションは万全ですか?
エンジニアという職業は、デスクワークによる腰痛や、プレッシャーによるメンタルヘルス不調のリスクと常に隣り合わせです。
もし明日、あなたが病気やケガで「長期間、会社に行けなくなったら」どうしますか?
有給休暇はせいぜい数週間で尽きてしまいます。「働けない=給料ゼロ」という事態になったら、家賃も払えなくなってゲームオーバー……?
いいえ、安心してください。そんな緊急事態のために、健康保険には「傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」という強力なバックアップシステムが実装されています。
今回は、エンジニアのキャリアを守る命綱とも言えるこの制度について、分かりやすく解説します。
傷病手当金とは何か
傷病手当金とは、病気やケガで会社を休んだときに、健康保険から生活費が支給される制度です。
労災保険が「業務中のケガ(サーバー室で転んだなど)」をカバーするのに対し、傷病手当金は「プライベートや原因不明の病気」をカバーします。
エンジニアによくあるケースで言えば、以下のような状況が対象です。
- 休日にスノーボードで足を骨折して入院した。
- うつ病や適応障害と診断され、ドクターストップがかかった。
- インフルエンザが重症化して長期間寝込んだ。
システム運用に例えるなら、メインサーバー(あなた)が故障して稼働停止(休職)している間、クラウドベンダー(健康保険組合)から代替リソース(お金)が供給される仕組みです。これにより、システム全体(あなたの生活)をダウンさせずに済みます。
もらえるための4つの条件(IF文)
この手当をもらうには、以下の4つの条件をすべて満たす(TRUEになる)必要があります。
1. 業務外の事由であること
仕事が原因なら「労災」になります。それ以外(プライベートや原因不明)なら傷病手当金です。
2. 仕事に就くことができないこと
単に「働きたくない」ではダメです。医師の診断書などで「労務不能」という証明が必要です。
3. 給与の支払いがないこと
会社から給料が出ている間はもらえません(給料が少額の場合は、差額が支給されます)。
4. 連続する3日間を含み、4日以上休んでいること
ここが一番のポイントです。専門用語で「待期期間(たいききかん)」と言います。
休み始めてから最初の3日間は「待機」としてカウントされ、手当が出ません。支給が開始されるのは「4日目」からです。
この3日間は、連続している必要があります。
- OKパターン: 月・火・水と休んだ(3連休)
木曜日から支給対象 - NGパターン: 月・火と休んで、水曜に出勤し、木曜にまた休んだ
リセットされてカウントし直し
システム再起動には時間がかかるように、最初の3日間は準備期間として無給になる仕様だと思ってください。なお、この3日間は有給休暇を使ってもOKです。
いくらもらえる?計算のアルゴリズム
一番気になる金額ですが、ざっくり言うと「給料の3分の2」がもらえます。
正確な計算式は以下の通りです。
支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 30日 2/3 1日あたりの支給額
例えば、月給30万円のエンジニアの場合:
30万円 30日 1万円(日額)
1万円 2/3 6,667円
毎日約6,700円が支給されます。月額にすると約20万円です。
「えっ、給料より減っちゃうの?」と不安になるかもしれませんが、ここには大きなメリットがあります。この手当金には「所得税」や「住民税」がかかりません(非課税)。
額面は減りますが、手取りベースで考えると、働いている時の8割近い水準が維持できることが多いですよ。
期間はどれくらい?(2022年のアップデート)
支給される期間は、支給開始日から「通算して1年6ヶ月」です。
実はこれ、2022年に法改正(アップデート)が入って、すごく使いやすくなりました。
- 以前の仕様: カレンダー上で1年6ヶ月経ったら、途中で復職していても強制終了。
- 現在の仕様: 実際に休んで「支給された日数」が1年6ヶ月分に達するまで有効。
メンタルヘルスの不調は、良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。「3ヶ月休んで復帰したけど、また調子が悪くて休む」という場合でも、この「通算化」のおかげで、残りの期間(バッファ)を無駄なく使えるようになりました。
メリットとデメリット
最後に、制度の良い点と注意点を整理しましょう。
メリット
- 生活の安定: 給料がゼロになっても、家賃や光熱費を払う現金が確保できる。
- 非課税: 受け取るお金に税金がかからない。
- 退職後も継続可能: 条件を満たせば、会社を辞めた後も期間満了までもらい続けられる。
デメリット
- 社会保険料はかかる: お金をもらっている間も、健康保険料と厚生年金保険料は払う必要があります(ここが痛いです!)。会社から請求書が届くので注意しましょう。
- 書類仕事が多い: 申請書には医師の証明と会社の証明が必要で、毎月(または数ヶ月ごと)提出する必要があります。
- 給付制限: 会社から給料が出ている場合や、障害年金をもらっている場合は、減額または支給停止になります。
今後の学習の指針
いかがでしたか?
「傷病手当金」は、エンジニアとして長く走り続けるためのピットイン(修理)のための資金です。
特にメンタルヘルスに関しては、「まだ頑張れる」と無理をして、再起不能になるまで自分を追い込んでしまう人が後を絶ちません。しかし、この制度があることを知っていれば、「ヤバくなったら休んでも、金銭的にはなんとかなる」という心理的安全性を持てるはずです。
新人エンジニアのみなさんへのネクストアクションは、会社の就業規則にある「休職規定」を一読することです。
「最大で何ヶ月休職できるのか」
「その間の給与の扱いはどうなっているか」
法律(健康保険)と、会社のルール(就業規則)の両方を知っておくことが、最強のリスクヘッジになりますよ。
セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。
投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。