給与だけじゃ足りない?エンジニアのための「副業・投資の税金」攻略マップ

こんにちは。ゆうせいです。

新人エンジニアのみなさん、メインのクエスト(本業の仕事)には慣れてきましたか?

エンジニアという職業は、スキルさえあれば個人でも稼ぎやすいのが魅力ですよね。休日にアプリを作って広告収入を得たり、技術ブログを書いたり、あるいは仮想通貨(暗号資産)に投資をしてみたり。

そうした「給与以外の収入」が入ってきたとき、急に現れるラスボスが「確定申告」です。

会社員でいる限り、税金は会社が勝手に計算してくれます(年末調整)。しかし、会社の枠を一歩出ると、そこは自己責任の荒野。稼ぎ方によって、税金の計算ロジック(課税区分)が全く異なるのです。

今回は、給与と退職金以外の代表的な「所得」の種類と、その税金の仕組みについて解説します。副業や投資を始める前に、このマップを頭に入れておきましょう。

所得には「10個のバスケット」がある

日本の税法では、お金の稼ぎ方を10種類に分類しています。これを「所得の10種類」と呼びます。

みなさんが普段もらっている給与は「給与所得」というバスケットに入ります。では、それ以外にはどんなバスケットがあるのでしょうか。エンジニアに特に関係が深い3つを紹介します。

  1. 雑所得(ざつしょとく):副業、仮想通貨、年金など
  2. 配当所得・譲渡所得(はいとう・じょうと):株の配当や売却益
  3. 一時所得(いちじしょとく):懸賞金、競馬の払戻金、保険の満期金

それぞれ、計算ロジックが異なります。一つずつ見ていきましょう。

1. 雑所得:エンジニアの副業はだいたいこれ

一番身近なのがこの「雑所得」です。

「雑(ざつ)」という名前ですが、決して適当なものではありません。他のどの分類にも当てはまらない所得は、すべてここに入ります。Windowsのデスクトップにある「その他」フォルダみたいなものですね。

具体例

  • 技術記事の執筆料
  • 個人開発アプリの広告収入
  • 暗号資産(仮想通貨)の売買益
  • アフィリエイト収入

計算ロジック

ここでのポイントは、「売上」=「所得」ではないということです。サーバー代や参考書代などの「経費」を引くことができます。

総収入金額 - 必要経費 = 雑所得の金額

注意点:総合課税という沼

雑所得の最大の特徴は、「給与所得と合算して税率が決まる(総合課税)」という点です。

日本の所得税は、稼げば稼ぐほど税率が上がる「累進課税」です。もし本業でたくさん稼いでいて、さらに仮想通貨で大儲けした場合、その合計額に対して最大45%(住民税合わせると55%)もの税率がかかることがあります。

仮想通貨で「億り人」になった人が、翌年の税金で破産するのはこの仕様のせいです。

2. 配当所得・譲渡所得:投資家の領域

次は、株式投資などによる収入です。NISAやiDeCoをやっている人もいるかもしれませんね。

具体例

  • 上場株式の配当金(配当所得)
  • 株や投資信託を売って出た利益(譲渡所得)

計算ロジック:申告分離課税

ここが雑所得との大きな違いです。株や投資信託の利益は、原則として「給与とは切り離して」計算します。これを「申告分離課税(しんこくぶんりかぜい)」と言います。

どんなに本業で稼いでいても、株で何億円儲けても、税率は一律です。

税率 \approx 20.315%

内訳は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。

システム設計で言うなら、メインシステム(給与)とは別のマイクロサービス(投資)として独立しており、API(税率)が固定されているイメージです。非常にシンプルで予測しやすいのが特徴です。

3. 一時所得:ラッキーパンチによる収入

最後は、継続的ではなく、突発的に入ってきた収入です。

具体例

  • 生命保険の一時金(満期金など)
  • 懸賞や福引の賞金
  • 競馬や競輪の払戻金
  • ふるさと納税の返礼品(実はこれも所得扱いです!)

計算ロジック:特別控除50万円

一時所得には、「50万円までは見逃してあげるよ」という特別控除があります。さらに、その残った金額を「2分の1」にしてから税金を計算します。

( 総収入 - その収入を得るための支出 - 50万円 ) \times 1/2 = 課税対象額

つまり、競馬で少し勝ったくらいでは税金はかかりませんし、もし大きく勝っても税金はかなり優遇されています。

副業エンジニアが知るべき「20万円の壁」

ここで、よくある質問に答えておきます。

「副業をしたら、必ず確定申告をしなきゃいけないんですか?」

答えは、条件分岐(if文)になります。

  • 利益(所得)が20万円を超える場合: 確定申告が必要(True)
  • 利益(所得)が20万円以下の場合: 確定申告は不要(False)

ただし、これは「所得税」の話です。住民税については、1円でも利益があれば市役所に申告する必要があります。ここを勘違いしている人が多いので注意してください。

メリットとデメリット

給与以外の所得を得ることの良し悪しを整理しましょう。

メリット

  • リスク分散: 会社の給料だけに依存しないため、本業の会社が傾いても生活防衛ができる。
  • 経費が使える: 雑所得や事業所得(本格的な副業の場合)なら、PC代やネット代の一部を経費にして、利益を圧縮できる。
  • 税率の最適化: 株式投資なら、一律約20%の税率で済むため、高所得者ほど有利になる。

デメリット

  • 事務コスト増: 自分で帳簿をつけたり、確定申告をしたりする手間(工数)が発生する。
  • 税金の知識が必要: 知らないと「無申告」になってしまい、後からペナルティ(追徴課税)を受けるリスクがある。
  • 会社バレのリスク: 住民税の金額が変わることで、会社に副業がバレる可能性がある(対策方法はあります)。

今後の学習の指針

いかがでしたか?

「所得」といっても、その中身によって税金の計算ロジックが全く違うことが理解できたかと思います。

  • 雑所得(副業・仮想通貨) \rightarrow 給与と合体して税率アップの可能性あり
  • 譲渡所得(株・投資信託) \rightarrow 切り離して一律約20%
  • 一時所得(懸賞・保険) \rightarrow 半額セールのような優遇あり

エンジニアのみなさんへの次のアクションは、まず「自分がやろうとしていることが、どのバスケットに入るのか」を確認することです。

特に、流行りの「仮想通貨」は雑所得(総合課税)になるため、利益が出すぎると税金が大変なことになる、という仕様だけは絶対に覚えておいてください。

まずは、小さく始めて、経費のレシートを集めるところから「自分株式会社」の経営をスタートさせてみましょう。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。