物体検出データセットの四天王を攻略せよ!

こんにちは。ゆうせいです。

画像認識や物体検出の世界に足を踏み入れると、必ず耳にするのがデータセットの名前です。

「どのデータセットを使って学習させるか」は、AIの賢さを決める非常に重要な選択なのですが、初心者の方にとってはアルファベットの羅列に見えて少し取っつきにくいですよね。

今日は、実務で「アノテーション形式を間違えてモデルが動かない!」という悲劇を防ぐために、主要なデータセットの個性を整理してお話しします。

皆さんは、AIに勉強を教えるとき、教科書を間違えて渡してしまったらどうなるか、想像したことはありますか?


物体検出データセットの四天王を攻略せよ!

物体検出の精度を高めるには、データの「質」と「形式」を正しく理解する必要があります。代表的な4つのデータセットを見ていきましょう。

1. PASCAL VOC(パスカル・ヴォック)

最も歴史があり、全ての基礎となるデータセットです。

ここで最も注意すべきなのが座標形式です。VOC形式は [左上x, 左上y, 右下x, 右下y] で物体の位置を定義します。

専門用語で言うところのバウンディングボックス(物体を囲む四角枠)の指定方法ですね。

これを「中心座標と幅・高さ」だと思い込んで学習コードを書くと、AIは全く別の場所に枠を描画してしまいます。

例えるなら、住所を教えるときに「建物の左上の角と右下の角の座標」で伝えるようなルールです。この基本を外すと、後で手痛いしっぺ返しを食らいますよ!

2. MS COCO(エムエス・ココ)

現在の実務におけるデファクトスタンダード(事実上の標準)です。

VOCよりも画像の中に小さな物体が多く含まれており、難易度が高いのが特徴です。

大きな違いは、アノテーションの細かさです。

単なる四角枠だけでなく、物体の輪郭を塗りつぶすセグメンテーションという情報が豊富に揃っています。

汎用性は高いですが、例えば「フリマアプリに出品された商品だけを検知したい」という特殊な環境で使う場合は、このデータだけで完結させず、追加で学習させるファインチューニング(微調整)が必要になります。

3. ImageNet / ILSVRC

「画像認識といえばImageNet」と呼ばれるほど有名な巨大プロジェクトです。

もともとは画像分類、つまり「この画像に写っているのは何?」という問いに答えるための練習問題がメインです。

物体検出でも使われますが、ピクセル単位で正確に形を捉えるInstance Segmentation(個体ごとの塗りつぶし)が標準的に揃っているのは、先ほどのCOCOの方だったりします。

用途に合わせて使い分けるのがプロの技ですね!

4. Open Images Dataset (OICID)

Googleが公開している、文字通り桁違いの規模を誇るデータセットです。

驚くべきはそのクラス数(物の種類)で、500クラス以上も存在します。

ただし、クラス数が多ければ良いというわけではありません。

例えば「特定の野菜だけ検知したい」という目標があるのに、500種類もの日常品を学習させるのは、計算リソースの無駄遣いになります。

それどころか、余計な知識が混ざることで誤検知を増やす原因にもなり得るのです。欲張りすぎは禁物ですよ!


データセットごとのメリット・デメリット比較

それぞれの特徴を表にまとめてみました。自分のプロジェクトにどれが合うか、比較してみてくださいね。

データセット名メリットデメリット
PASCAL VOC構造がシンプルで学習の基礎を学びやすい。データの種類が少なく、現代の実務には物足りない。
MS COCO小さい物体や重なりに強く、実戦向き。データが複雑で、処理に高い計算能力が必要。
ImageNet圧倒的な画像数で、AIの基礎体力を鍛えられる。物体検出専用のデータとしては、構成が少し古い。
Open Images非常に珍しい物体まで網羅されている。規模が大きすぎて、管理や学習にコストがかかる。

講師のアドバイスとまとめ

実務の現場では、データセットを「作る」段階で座標形式の勘違いが本当によく起こります。

VOC形式なのか、COCO形式なのか、はたまたYOLO形式なのか。

スクリプトを回して学習を始める前に、必ずGround-Truth(正解ラベル)を一度画像に描画して、自分の目で確認する癖をつけてください!

例えば、バウンディングボックスの面積を求める計算式を考えてみましょう。

面積 = \times 高さ

このシンプルな計算一つとっても、幅を「右下x - 左上x」で出すのか、それともデータとして与えられた「w」をそのまま使うのか、形式によって全く異なります。

いかがでしたか?データセットの正体が見えてきたでしょうか。

次のステップとしては、これらのデータセットを使って具体的にどうやってモデルを効率よく訓練させるのか、転移学習の具体的な手順について学んでいくことをお勧めします。

まずは、自分の使いたいライブラリがどの形式をサポートしているか、調べてみることから始めてみませんか?

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。