失いたくない気持ちを味方につける!損失回避バイアスで相手の心を動かす説得術
こんにちは。ゆうせいです。
あなたは、何か新しいことを提案したときに、相手から「今のままでいいよ」と断られてしまった経験はありませんか?
人間には、得をすることよりも、損をすることを極端に嫌う性質があります。
この心理を理解して、オプションを「足す」のではなく「削る」アプローチをとるだけで、驚くほど説得の成功率は変わるのです。
今回は、心理学の強力な武器である損失回避バイアスについて、初心者の方にも分かりやすくお話しします。
損失回避バイアスとは何か
まずは言葉の意味から紐解いていきましょう。
損失回避バイアスとは、利益から得られる満足感よりも、同程度の損失から受ける苦痛の方が大きく感じられる心理現象を指します。
例えば、道で1万円を拾ったときの喜びを想像してみてください。
次に、財布から1万円を落としてしまったときのショックを想像してみてください。
どちらの感情が強く心に残りますか?
多くの人は、1万円を失ったショックの方が、拾った喜びよりも2倍近く強く感じると言われています。
この心理を数式のような関係性で表すと、以下のようになります。
損失の苦痛 利得の喜び
私たちは、無意識のうちに「損をしないこと」を最優先に選んでいるのですね。
あなたは、これまでに損をしたくない一心で、チャンスを逃してしまったことはありませんか?
専門用語の解説と身近な例え
この心理を深く理解するために、2つの重要なキーワードを解説します。
プロスペクト理論
プロスペクト理論とは、不確実な状況下で人がどのように意思決定を行うかを説明する行動経済学の理論です。
プロスペクトとは「見通し」や「期待」という意味があります。
これを料理に例えてみましょう。
目の前に「80パーセントの確率で絶品だけど、20パーセントの確率で激辛なカレー」と「100パーセントの確率で普通の味のカレー」があったとします。
お腹が空いているとき、多くの人は確実な普通のカレーを選びます。
失敗して「まずい思いをする」という損失を、本能的に避けようとするからです。
現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、変化によって得られるメリットよりも、変化に伴うリスクや損失を恐れて、今の状態を保とうとする心理です。
新しいスマートフォンに買い替えれば便利になると分かっていても、操作を覚える手間や、データ移行の失敗を恐れて古い機種を使い続ける。
そんな経験はありませんか?
「変わらないこと」は、脳にとって最も安全な選択肢に見えてしまうのです。
説得におけるメリットとデメリット
損失回避バイアスを活用した説得には、強力な効果がある一方で、注意点も存在します。
メリット
- 相手の行動を促す力が強い人は「得をしますよ」と言われるよりも、「今やらないと損をしますよ」と言われる方が、切迫感を持って動いてくれます。
- 決断のハードルを下げられる後述する「削る」手法を使うことで、相手に選ばせる負担を減らし、スムーズに合意へ導けます。
デメリット
- 煽りすぎると不信感につながる「今すぐ買わないと大損です!」といった過度な強調は、相手に恐怖心や不快感を与え、信頼関係を壊す恐れがあります。
- 長期的なモチベーションには向きにくい恐怖や損を避けたいという動機は、一時的な行動には効きますが、自発的に楽しく続けるための理由にはなりにくいのが難点です。
オプションを削るという逆転の発想
人を説得するとき、私たちはつい「これもできます、あれも付けます」と特典を盛り盛りにしがちです。
しかし、損失回避バイアスを最大限に活かすなら、その逆をいきましょう。
最初から全部入りのプランを提示し、そこから不要なものを削ってもらうのです。
なぜ削る方が効果的なのか
人は一度手にした(あるいは手にする前提の)ものを手放すことに、強い痛みを感じます。
これを「授かり効果」と呼びます。
例えば、自動車の商談をイメージしてください。
最低限の装備にオプションを足していく方法と、フル装備の状態から不要なものを外していく方法。
どちらが最終的な支払額が高くなるでしょうか。
正解は、フル装備から外していく方法です。
一度「自分のもの」として想像した便利な機能を、自らの手で捨てるのはとても勇気がいります。
「やっぱりこの機能がないと不便かも」という損失回避の心理が働き、結果として多くの機能を残すことになるのです。
具体的な説得のステップ
相手に何かを提案するときは、以下の表を参考に、伝え方を工夫してみてください。
| 項目 | 従来の伝え方(加点方式) | 損失回避を活かした伝え方(減点方式) |
| 提案の形 | 安いプランに機能を追加する | 充実プランから不要なものを省く |
| 言葉選び | これを使うと10万円得します | これを使わないと10万円損をします |
| 期限の設定 | いつでもお声がけください | この特別価格は明日で終了します |
相手に「手放す痛み」を少しだけ感じさせることが、説得のスパイスになります。
今後の学習の指針
いかがでしたか?
「損をしたくない」という人間の本能的な弱さを知ることは、相手を思い通りに操るためではなく、相手が迷っている背中を優しく押してあげるためにあります。
まずは日常の小さな場面から試してみましょう。
友人を食事に誘うとき、「あのお店、今行かないと期間限定メニューが終わっちゃうよ」と伝えてみるのはどうでしょうか。
さらに深く学びたい方は、行動経済学の本を手に取ってみてください。
ダニエル・カーネマンの理論を学ぶことで、人間がいかに非合理で、かつ愛すべき生き物であるかがもっと見えてくるはずです。
次は、相手のタイプに合わせた言葉の選び方について一緒に考えていきましょう。
あなたの提案が、誰かの未来をより良く変えるきっかけになることを願っています。
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。