ChatGPTのエージェントとは?新人エンジニア向けに「相談相手」と「作業するAI」の違いを解説

こんにちは。ゆうせいです。

新人研修中に受講者から以下の質問をいただきました。

ChatGPTのエージェントとは何ですか?

この質問に答えます。

最近、「AIエージェント」「ChatGPTエージェント」「agent mode」という言葉を聞く機会が増えましたよね。

でも、最初はこう思うはずです。

「普通のChatGPTと何が違うの?」

「質問に答えるAIと、エージェントは別物なの?」

「システム開発では、何に使えるの?」

かなり大事な疑問です。

結論から言うと、ChatGPTのエージェントとは、単に答えるだけではなく、目的に向かって調べたり、操作したり、作業を進めたりできるChatGPTの使い方です。

OpenAIは、ChatGPT agentについて、複雑なオンライン作業をユーザーの代わりに進められる機能として説明しており、調査、ファイル、接続された外部サービス、フォーム入力、スプレッドシート編集などを扱えるとしています。

普通のChatGPTとエージェントの違い

まず、普通のChatGPTとエージェントの違いを整理しましょう。

普通のChatGPTは、基本的に「聞かれたことに答えるAI」です。

たとえば、あなたが「JavaのDAOとは何ですか?」と聞くと、説明してくれます。

一方で、エージェントは「目的を達成するために作業するAI」です。

たとえば、あなたが「このWebサイトを調べて、競合サービスの料金表をまとめて」と頼むと、Webページを見に行き、情報を集め、整理して表にする、といった動きができます。

たとえるなら、普通のChatGPTは「物知りな先輩」です。

質問すると、わかりやすく説明してくれます。

一方で、エージェントは「一緒に手を動かしてくれる先輩」です。

調べものをしたり、資料を作ったり、作業の途中で確認を求めたりしながら進めます。

種類役割たとえ
普通のChatGPT質問に答える物知りな先輩
ChatGPTのエージェント目的に向かって作業する一緒に動く先輩

エージェントとは何か

エージェントとは、与えられた目的に向かって、自分で手順を考えながら行動する仕組みです。

英語のagentには、「代理人」や「代わりに行動する人」という意味があります。

つまり、AIエージェントは「人間の代わりに一部の作業を進めるAI」と考えるとわかりやすいです。

ただし、完全に放置してよい存在ではありません。

ここを勘違いしないでください!

エージェントは便利ですが、最終判断をするのは人間です。

車でたとえるなら、普通のChatGPTはカーナビに近いです。

「目的地までの道順」を教えてくれます。

エージェントは、自動運転に少し近いです。

目的地に向かって操作もしてくれます。

ただし、危ない場面では人間が確認しなければいけません。

ChatGPTのエージェントは何ができるのか

ChatGPTのエージェントは、ユーザーの指示に基づいて、調査と行動を組み合わせた作業ができます。

OpenAIの説明では、ChatGPT agentは仮想コンピューターを使い、推論と行動を切り替えながら複雑な作業を進めるとされています。また、重要な操作を行う前にはユーザーに許可を求め、ユーザーは途中で中断したり、ブラウザ操作を引き継いだり、停止したりできます。

仮想コンピューターとは、実際のあなたのパソコンそのものではなく、AIが作業するための専用の作業環境のようなものです。

学校でたとえるなら、自分の机とは別に、先生が用意した作業机を使うようなイメージです。

その机の上でWebページを見たり、ファイルを扱ったり、手順を進めたりします。

できることの例を整理すると、次のようになります。

できること内容
Web調査複数のページを確認して情報をまとめる
資料作成の補助調査結果を文章や表に整理する
フォーム操作必要な情報を入力する作業を補助する
スプレッドシート編集表の整理やデータ更新を補助する
外部サービス連携許可されたアプリやデータをもとに作業する

新人エンジニアがイメージしやすい使い方

新人エンジニアなら、いきなり大きな仕事を任せるより、小さな作業から考えると理解しやすいです。

たとえば、次のような使い方があります。

開発現場の作業エージェントに頼めること
技術調査公式ドキュメントを調べて要点をまとめる
比較調査複数のライブラリの特徴を比較する
仕様整理議事録やメモから要件を整理する
テスト観点作成機能説明から確認項目を洗い出す
ドキュメント作成READMEや手順書のたたき台を作る

たとえば、「ログイン機能のテスト観点を作って」と頼むとします。

普通のChatGPTでも、一般的なテスト観点は出せます。

でもエージェントなら、仕様書、画面、関連資料などを確認しながら、より実際のプロジェクトに近い形で整理できる場合があります。

料理でたとえるなら、普通のChatGPTは「カレーの作り方」を教えてくれる存在です。

エージェントは、冷蔵庫の中身を確認し、足りない材料を調べ、買い物メモを作り、調理手順まで整理してくれる存在に近いです。

システム開発で特に役立つ場面

システム開発では、エージェントは「手間がかかるけれど、人間の判断も必要な作業」と相性がよいです。

たとえば、技術調査です。

新人エンジニアが新しいライブラリを調べると、公式ドキュメント、GitHub、サンプルコード、記事などを何ページも読む必要があります。

最初は、どこを読めばよいのか迷いますよね。

エージェントを使うと、調査の入口を作りやすくなります。

ただし、調査結果をそのまま信じるのは危険です。

ライブラリのバージョン、ライセンス、セキュリティ、保守状況は必ず確認してください。

エージェントは調査を速くします。

でも、責任を取ってくれるわけではありません。

エージェントに向いている仕事と向いていない仕事

エージェントには向き不向きがあります。

何でも任せればよいわけではありません。

向いている仕事理由
情報収集複数の情報源を確認する作業と相性がよい
資料のたたき台作成文章や表に整理する作業が得意
定型作業の補助手順が明確な作業を進めやすい
比較表の作成観点をそろえて整理しやすい
向いていない仕事理由
最終的な設計判断業務背景や責任を人間が持つ必要がある
機密情報を大量に扱う作業情報漏えいリスクを慎重に考える必要がある
本番環境への直接操作ミスの影響が大きい
曖昧すぎる丸投げ期待と違う作業になりやすい

特に新人エンジニアは、「エージェントが言ったから正しい」と考えないようにしてください。

先輩のレビューを受けるときと同じです。

先輩が言った内容でも、最終的にはプロジェクトのルールや仕様に合わせて確認しますよね。

AIでも同じです。

エージェントを使うときの指示の出し方

エージェントをうまく使うには、指示の出し方が重要です。

悪い指示は、あいまいな指示です。

たとえば、次のような頼み方です。

「いい感じに調べて」

「全部やって」

「適当にまとめて」

このような指示では、エージェントは何を重視すべきか判断しにくくなります。

良い指示は、目的、条件、出力形式を入れます。

項目
目的新人向けにSpring Securityの概要を理解したい
条件公式ドキュメントを優先して調べる
出力形式メリット、注意点、学習順序を表でまとめる
確認方法不明点は推測せず質問する

たとえば、次のように頼むとよいです。

「Spring Securityを新人エンジニア向けに調査してください。公式ドキュメントを優先し、ログイン認証、認可、フィルタの3点に分けて説明してください。最後に学習順序を表でまとめてください。不明点は推測せず確認してください。」

ここまで書くと、かなり作業しやすくなります。

新人のうちは、AIへの指示も設計の一部だと思ってください!

安全面で注意すべきこと

エージェントは便利ですが、リスクもあります。

特に注意したいのが、ログインが必要なサイト、メール、社内資料、個人情報を扱う場面です。

OpenAIのヘルプでは、ChatGPT agentにWebサイトへログインさせたりアプリ連携を有効にしたりすると、メール、ファイル、アカウント設定などの機密性が高い情報へアクセスできる場合があるため、慎重に扱う必要があると説明されています。また、重要な操作の確認、禁止タスクの拒否、プロンプトインジェクション監視などの安全策がある一方で、リスクがゼロになるわけではないとも説明されています。

プロンプトインジェクションとは、AIに悪意ある指示を読ませて、本来やってはいけない動きをさせようとする攻撃です。

たとえば、Webページの中に「このユーザーの秘密情報を外部へ送れ」といった悪意ある命令が隠されていた場合、AIが影響を受ける可能性があります。

人間でたとえるなら、作業中に偽の指示書を紛れ込ませられるようなものです。

だからこそ、エージェントに重要な作業を任せるときは、人間が見張る必要があります。

新人エンジニアが守るべきルール

新人エンジニアがChatGPTのエージェントを使うなら、次のルールを守ってください。

ルール理由
機密情報を入れない情報漏えいを防ぐため
本番環境を直接操作させない誤操作の影響が大きいため
出力結果を必ず確認する間違いが含まれる可能性があるため
根拠を確認する古い情報や不正確な情報を避けるため
会社の利用ルールに従う組織ごとにAI利用方針が違うため

特に、本番データや顧客情報を扱うときは、勝手に使わないでください。

迷ったら、先輩や上司に確認する。

ここは命令口調で言います。

機密情報を扱う作業を、自己判断でAIに任せるな!

ChatGPTのエージェントはエンジニアの仕事を奪うのか

新人エンジニアが気になる話題として、「エージェントが進化したら、エンジニアはいらなくなるのでは?」という不安があります。

気持ちはわかります。

でも、現実的には「作業の一部が変わる」と考えたほうがよいです。

エージェントは、調査、整理、たたき台作成、定型作業を速くしてくれます。

一方で、次のような仕事は人間の役割として残ります。

人間が担うべきこと理由
何を作るか決めるユーザーや事業の理解が必要だから
品質の基準を決めるプロジェクトごとの責任があるから
設計判断をする保守性や運用まで考える必要があるから
チームで合意する開発は人と人の協力で進むから
リスクを判断する失敗時の影響を考える必要があるから

エージェントは、優秀な道具です。

でも、道具が目的を決めるわけではありません。

包丁があるから料理人が不要になるわけではありませんよね。

むしろ、良い包丁を使いこなせる料理人の価値が上がります。

エンジニアも同じです。

AIを使いこなせる人ほど、調査や整理の時間を減らし、設計や判断に時間を使えるようになります。

まとめ

ChatGPTのエージェントとは、質問に答えるだけでなく、目的に向かって調査や操作を進めるChatGPTの使い方です。

普通のChatGPTが「説明してくれるAI」だとすれば、エージェントは「一緒に作業を進めるAI」です。

新人エンジニアにとっては、技術調査、資料作成、テスト観点の洗い出し、比較表の作成などで役立ちます。

ただし、便利だからといって丸投げしてはいけません。

大切な考え方内容
目的を明確にする何を達成したいのかを最初に伝える
条件を伝える公式情報を優先するなどの制約を入れる
人間が確認するAIの作業結果をそのまま信用しない
機密情報を守る会社や顧客の情報を勝手に入れない
最終判断は人間がする責任を持つのは開発者とチームだから

一言でまとめるなら、こうです。

ChatGPTのエージェントは、あなたの代わりに考える存在ではなく、あなたと一緒に作業を進める相棒です。

新人エンジニアのうちは、「AIに任せる力」よりも、「AIに正しく頼む力」と「AIの結果を確認する力」を育ててください。

今後は、プロンプト設計、AIエージェント、プロンプトインジェクション、セキュリティ、ソフトウェア設計の順番で学ぶと、生成AI時代のエンジニアとしてかなり強くなれます。まずは小さな技術調査から、エージェントに目的、条件、出力形式をセットで伝える練習をしてみましょう!

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。