新人エンジニアが最初に押さえたいIT基礎用語ロードマップ|開発・DB・ネットワーク・セキュリティまでやさしく解説

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、新人エンジニア向けに「IT基礎用語の全体像」を解説します。

IT業界に入ると、最初から大量の専門用語が出てきます。

ウォーターフォール
アジャイル
要件定義
単体テスト
SQL
API
SaaS
ファイアウォール
プロジェクトマネジメント
RFP
ROI
著作権
ハッシュ関数

正直、いきなり全部覚えようとすると大変です。

まるで、英単語帳を最初のページから最後のページまで丸暗記しようとするようなものです。

大切なのは、用語をバラバラに覚えることではありません。

どの分野の言葉なのか、実務のどこで使うのか、どの用語同士がつながっているのかを理解することです。

IT基礎用語は「地図」で覚える

新人エンジニアが用語学習でつまずく理由は、用語の数が多いからだけではありません。

もっと大きな理由は、「今どこの話をしているのか」が分からないことです。

たとえば、SQL、SLA、SFA、SaaSは、どれもアルファベット3文字です。

でも、意味する領域はまったく違います。

用語分野ざっくりした意味
SQLデータベースデータベースを操作する言語
SLAITサービス管理サービス品質に関する合意
SFA業務システム営業活動を管理する仕組み
SaaSクラウドインターネット経由で使うソフトウェア

似たような見た目でも、分野が違うと意味は大きく変わります。

だから、最初は「用語の地図」を作るイメージで学びましょう。

IT基礎用語は、大きく次の10分野に分けると理解しやすいです。

分野代表的な用語何を学ぶ分野か
開発プロセスウォーターフォール、アジャイル、スクラムシステムをどう作るか
要件定義・設計要件定義、機能要件、非機能要件、UML何を作るか、どう設計するか
テスト単体テスト、結合テスト、システムテスト正しく動くか確認する方法
プロジェクト管理WBS、クリティカルパス、EVM納期・コスト・品質を管理する方法
ITサービス管理ITIL、SLA、インシデント、問題管理システムを安定して運用する方法
クラウド・業務システムSaaS、PaaS、IaaS、ERP、CRM、SFA企業で使われるITサービス
経営・会計・法律SWOT、ROI、著作権、個人情報保護法ITとビジネスをつなぐ知識
アルゴリズム・データ構造配列、スタック、キュー、ソート、探索プログラムの考え方
コンピュータ・DB・ネットワークCPU、SQL、IPアドレス、DNS、TCPITシステムの土台
セキュリティマルウェア、暗号化、WAF、CSIRT情報やシステムを守る方法

この地図を持つだけで、用語学習はかなり楽になります。

まずは丸暗記するな。

どの分野の話なのかを先に押さえましょう!

1. 開発プロセス:システムをどう作るか

最初に押さえたいのが、開発プロセスです。

開発プロセスとは、システムを作るときの進め方です。

新人エンジニアは、まず「ウォーターフォール」と「アジャイル」の違いを理解しましょう。

ウォーターフォールモデル

ウォーターフォールモデルは、工程を上から下へ順番に進める開発モデルです。

名前の通り、滝の水が上から下へ流れるイメージです。

要件定義
        ↓
設計
        ↓
実装
        ↓
テスト
        ↓
リリース
        ↓
運用




ウォーターフォールは、最初に計画をしっかり決めてから進めます。

建物を建てるときに、設計図を作ってから工事を始めるのに似ています。

大規模な基幹システムや、変更が少ない案件では向いています。

ただし、途中で要件が大きく変わると手戻りが大きくなりやすいです。

アジャイル開発

アジャイル開発は、小さな単位で作って、確認して、改善しながら進める開発の考え方です。

全部を一気に作るのではなく、短いサイクルを繰り返します。

計画
        ↓
開発
        ↓
テスト
        ↓
確認
        ↓
改善
        ↓
また次のサイクルへ




アプリ開発やWebサービスのように、利用者の反応を見ながら改善したい場合に向いています。

たとえるなら、最初から完成版の料理を出すのではなく、試作品を少しずつ味見してもらいながら改善するような進め方です。

スクラム

スクラムは、アジャイル開発の代表的なフレームワークです。

フレームワークとは、進め方の型です。

スクラムでは、スプリントと呼ばれる短い期間で開発を進めます。

スプリントは、1週間から4週間程度の開発サイクルとして設定されることが多いです。

スクラムでよく出る役割も押さえましょう。

役割意味
プロダクトオーナー作るものの価値を最大化する責任を持つ人
スクラムマスターチームがスクラムを実践できるように支援する人
開発チーム実際に設計、実装、テストなどを行うチーム

新人エンジニアは、まず「ウォーターフォールは順番に進める」「アジャイルは短いサイクルで改善する」「スクラムはアジャイルの進め方の一つ」と覚えましょう。

2. 要件定義・設計:何を作るかを決める

システム開発は、いきなりコードを書くところから始まりません。

まず、「何を作るのか」を決めます。

この最初の重要な工程が要件定義です。

要件定義

要件定義とは、顧客や利用者がシステムに求める内容を明確にする工程です。

たとえば、勤怠管理システムを作る場合を考えてみましょう。

社員が出勤・退勤を登録できる
管理者が勤務時間を確認できる
残業時間を自動計算できる
月次レポートを出力できる
スマートフォンからも利用できる

こうした要望を整理し、システムとして実現すべき内容に落とし込むのが要件定義です。

要件定義で決めた内容を文書化したものが、要件定義書です。

機能要件と非機能要件

要件には、大きく分けて機能要件と非機能要件があります。

種類意味
機能要件システムが何をできるべきかログインできる、データを登録できる、検索できる
非機能要件性能や安全性など、機能以外の品質3秒以内に表示する、24時間稼働する、暗号化する

新人エンジニアは、機能要件ばかりに目が行きがちです。

しかし、実務では非機能要件がとても重要です。

たとえば、ログイン機能があっても、1万人が同時にアクセスしたら止まるなら困ります。

データ登録ができても、個人情報が漏れるなら使えません。

「何ができるか」だけでなく、「どの品質でできるか」まで考えましょう。

基本設計と詳細設計

要件定義の後は、設計に進みます。

設計は、大きく基本設計と詳細設計に分けられます。

工程意味新人向けのイメージ
基本設計システム全体の構成や外から見える動きを決める家の間取りを決める
詳細設計プログラム内部の処理や構造を決める柱の位置や配線を決める

基本設計では、画面、帳票、外部システム連携、データ構造などを決めます。

詳細設計では、クラス構成、処理手順、メソッド、SQLなど、開発者が実装できるレベルまで具体化します。

3. テスト:正しく動くかを確認する

システムは、作っただけでは終わりません。

正しく動くかを確認する必要があります。

その確認作業がテストです。

テストの種類

テスト確認すること
単体テスト部品単体が正しく動くか1つのメソッドやクラスを確認する
結合テスト複数の部品を組み合わせても動くか画面とDBの連携を確認する
システムテストシステム全体が要件通りに動くか業務フロー全体を確認する
受け入れテスト利用者視点で問題なく使えるか顧客や利用部門が確認する

たとえるなら、車づくりに似ています。

エンジン単体が動くかを見るのが単体テスト。

エンジンとタイヤとブレーキを組み合わせて見るのが結合テスト。

車全体として走れるかを見るのがシステムテスト。

実際に運転する人が使いやすいか確認するのが受け入れテストです。

ブラックボックステストとホワイトボックステスト

テストには、見る観点による分類もあります。

テスト手法意味イメージ
ブラックボックステスト内部構造を見ず、入力と出力で確認する自動販売機にお金を入れて商品が出るかを見る
ホワイトボックステスト内部構造や処理の流れを見て確認する自動販売機の中の配線や処理を見る

新人エンジニアは、「どのテストで何を確認するのか」を意識しましょう。

ただテスト項目を消化するだけではなく、テストの目的を理解することが大切です。

4. UML・図解:複雑な仕組みを見える化する

システム開発では、文章だけで説明すると分かりにくいことがあります。

そこで、図を使います。

代表的なものがUMLです。

UMLとは、システムの構造や動きを表現するための標準的なモデリング言語です。

モデリングとは、複雑なものを分かりやすい形に整理することです。

表すもの使う場面
ユースケース図誰がどの機能を使うか要件定義
シーケンス図処理の流れやメッセージの順番設計
クラス図クラス同士の関係オブジェクト指向設計
DFDデータの流れと処理業務プロセス整理

新人エンジニアは、最初から完璧な図を描けなくても大丈夫です。

まずは、「何を表す図なのか」を理解しましょう。

図は飾りではありません。

認識合わせのための道具です。

5. プロジェクトマネジメント:仕事を計画通りに進める

システム開発は、技術だけでは成功しません。

納期、コスト、品質、体制、リスクを管理する必要があります。

この管理活動がプロジェクトマネジメントです。

WBS

WBSとは、Work Breakdown Structureの略です。

作業を細かく分解して、管理しやすくするための図や一覧です。

たとえば、ユーザー登録機能を作る場合です。

ユーザー登録機能
        ↓
画面設計
入力チェック設計
DB設計
Controller実装
Service実装
Repository実装
単体テスト
結合テスト

このように作業を分けることで、誰が何をいつまでに行うのかが見えやすくなります。

クリティカルパス

クリティカルパスとは、プロジェクト全体の納期に直結する最も重要な作業経路です。

この経路上の作業が遅れると、プロジェクト全体が遅れます。

たとえるなら、電車の乗り継ぎです。

1本目の電車が遅れると、次の電車にも乗れず、目的地への到着も遅れますよね。

プロジェクトでも同じです。

EVM

EVMとは、Earned Value Managementの略です。

計画に対して、実際にどのくらい進んでいるか、コストはどうかを管理する手法です。

新人のうちは難しく感じるかもしれません。

まずは、「予定通り進んでいるかを数字で見る方法」と理解しておきましょう。

6. ITサービス管理:作った後に安定して動かす

システムは、リリースして終わりではありません。

むしろ、使われ始めてからが本番です。

ITサービスを安定して提供するための考え方として、ITILがあります。

ITILとは、ITサービス管理のベストプラクティスをまとめた考え方です。

ベストプラクティスとは、多くの現場で有効とされている良い実践方法のことです。

運用でよく出る用語

用語意味
SLAサービス提供者と利用者が合意するサービス品質の基準
インシデントサービスの中断や品質低下を引き起こす出来事
問題管理インシデントの根本原因を特定し、再発防止する活動
変更管理システム変更による影響を抑え、安全に変更する活動
サービスデスク利用者からの問い合わせ窓口

インシデントと問題管理は混同しやすいです。

インシデントは「今起きているトラブル」です。

問題管理は「なぜ起きたのかを調べて再発を防ぐ活動」です。

熱が出た状態がインシデント。

なぜ熱が出たのかを調べるのが問題管理。

このように考えると分かりやすいです。

7. クラウドと業務システム:企業ITの全体像を知る

現代のITでは、クラウドの理解が欠かせません。

クラウドとは、インターネット経由でITリソースやサービスを利用する仕組みです。

SaaS・PaaS・IaaS

種類意味新人向けのイメージ
SaaS完成済みのソフトウェアを利用する完成した料理を食べる
PaaSアプリを動かす土台を利用するキッチンを借りて料理する
IaaSサーバーやネットワークを利用する厨房設備から準備する

SaaSは、メール、チャット、勤怠管理、CRMなど、すぐに使えるサービスです。

PaaSは、アプリを開発して動かすための環境です。

IaaSは、仮想サーバーやネットワークなどを借りる仕組みです。

企業で使われる業務システム

用語意味
ERP企業の経営資源を統合管理するシステム
CRM顧客情報や顧客関係を管理する仕組み
SFA営業活動や商談状況を管理する仕組み
SCM調達、製造、物流、販売までの流れを管理する考え方
RPA定型的な事務作業をソフトウェアロボットで自動化する技術

新人エンジニアは、業務システムの用語も押さえておくと、顧客との会話が理解しやすくなります。

技術だけでなく、業務の言葉も学びましょう。

8. データベース:データを正しく扱う

多くのシステムは、データベースを使います。

データベースとは、データを整理して保存し、必要なときに取り出せるようにする仕組みです。

基本用語

用語意味
RDB表形式でデータを管理するデータベース
DBMSデータベースを管理するソフトウェア
SQLRDBを操作するための言語
主キー行を一意に識別するための列
外部キー別テーブルの主キーを参照する列
正規化データの重複や不整合を減らす設計作業

SQLの基本命令

SELECT:データを取得する
INSERT:データを追加する
UPDATE:データを更新する
DELETE:データを削除する
COMMIT:変更を確定する
ROLLBACK:変更を取り消す

SQLは、新人エンジニアが必ず学ぶべき基礎です。

アプリケーション開発でも、データ分析でも、運用保守でも使います。

まずはSELECT文から始めましょう。

9. ネットワーク:コンピュータ同士をつなぐ

ネットワークは、コンピュータ同士が通信するための仕組みです。

Webアプリを作る場合も、クラウドを使う場合も、ネットワークの理解は必要です。

基本用語

用語意味
LAN会社や家庭など限定された範囲のネットワーク
IPアドレスネットワーク上の住所
DNSドメイン名をIPアドレスに変換する仕組み
TCP信頼性を重視する通信プロトコル
UDP速度やリアルタイム性を重視する通信プロトコル
ファイアウォール不正な通信を防ぐ仕組み

IPアドレスは住所、DNSは電話帳のようなものです。

人間はドメイン名を覚えます。

コンピュータはIPアドレスで通信します。

DNSがその変換を助けています。

10. セキュリティ:情報とシステムを守る

セキュリティは、新人エンジニアでも避けて通れません。

どれだけ便利なシステムでも、情報漏えいや不正アクセスが起きれば大きな問題になります。

CIA

情報セキュリティの基本はCIAです。

要素意味
機密性許可された人だけが情報を見られるアクセス権限、暗号化
完全性情報が正しく改ざんされていないハッシュ、ログ管理
可用性必要なときに使える冗長化、バックアップ

代表的な脅威

脅威意味
マルウェア悪意のあるソフトウェアの総称
ランサムウェアファイルを暗号化し、復旧と引き換えに金銭を要求するマルウェア
フィッシング詐欺偽サイトに誘導してIDやパスワードを盗む手法
SQLインジェクション不正なSQLを入力し、DBを操作する攻撃
クロスサイトスクリプティング悪意あるスクリプトをWebページ上で実行させる攻撃
DDoS攻撃大量の通信でサービスを停止させる攻撃

セキュリティ用語は難しく感じます。

しかし、基本はシンプルです。

誰が、何に、どうアクセスできるのか。

データは正しい状態で守られているのか。

必要なときにシステムを使えるのか。

この3つを意識しましょう。

新人エンジニア向けの学習順序

ここまで多くの用語を紹介しました。

ただし、最初から全部を完璧に覚える必要はありません。

新人エンジニアには、次の順序がおすすめです。

順番学ぶ分野理由
1開発プロセス現場の会話が理解しやすくなる
2要件定義・設計・テストシステム開発の流れが分かる
3SQL・データベース多くのシステムで使う
4ネットワークWebやクラウドの理解に必要
5セキュリティ安全なシステム開発に必要
6プロジェクト管理チーム開発で必要になる
7業務システム・経営用語顧客や上流工程の理解に役立つ
8アルゴリズム・コンピュータ構成基礎力を深められる

現場で使う言葉から覚えると、記憶に残りやすいです。

知らない言葉が出てきたら、まず分類しましょう。

これは開発プロセスの言葉か
これはDBの言葉か
これはネットワークの言葉か
これはセキュリティの言葉か
これはマネジメントの言葉か





分類できるだけで、理解が一気に進みます。

まとめ

IT基礎用語は数が多いです。

しかし、分野ごとに整理すれば怖くありません。

新人エンジニアが最初に意識すべきことは、用語を単語として暗記することではなく、実務のどこで使われるのかを理解することです。

分野まず押さえる用語
開発プロセスウォーターフォール、アジャイル、スクラム
要件定義・設計要件定義、機能要件、非機能要件、基本設計、詳細設計
テスト単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテスト
プロジェクト管理WBS、クリティカルパス、EVM
ITサービス管理ITIL、SLA、インシデント、問題管理、変更管理
クラウド・業務システムSaaS、PaaS、IaaS、ERP、CRM、SFA
データベースSQL、主キー、外部キー、正規化、トランザクション
ネットワークIPアドレス、DNS、TCP、UDP、ファイアウォール
セキュリティCIA、マルウェア、暗号化、WAF、CSIRT

一言でまとめるなら、IT用語学習は「単語帳」ではなく「地図作り」です。

どの用語が、どの分野にあり、どの仕事で使われるのかをつなげて覚えましょう。

用語を見る
        ↓
分野を確認する
        ↓
実務での使いどころを考える
        ↓
似た用語との違いを整理する
        ↓
自分の言葉で説明する
        ↓
記憶に残る




今後の学習では、まず開発プロセス、要件定義、設計、テスト、SQL、ネットワーク、セキュリティの順に学ぶとよいです。その後、プロジェクトマネジメント、ITIL、クラウド、業務システム、経営戦略、会計、法律へ広げていきましょう。まずは今日出てきた用語の中から10個だけ選び、「これは何の分野の言葉か」「新人に説明するならどう言うか」を自分の言葉で書いてみてください!

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。